518 / 848
第十三章
橋本晶
しおりを挟む
十分後、多少ズタボロになりながらも、事情をなんとか説明できた。
「なんだ浮気ではなかったのか。すまぬ、司令官殿」
だからエラ、電撃をする前に人の話を聞けよ。
「きゃあ! カイトさん。血が出ています! いったい、誰がこんなヒドい事を……」
ミール……それ、君に引っかかれた傷なのだが……
「本当にヒドい人達ですね。ご主人様は、何も悪いことしていないのに」
手当をしてくれるのはいいのだが、Pちゃんはこの騒ぎの中何をしていたんだ?
いつもは僕に香子以外の女が近づくと、真っ先に妨害してきていたのに、なんで芽依ちゃんにだけ……ひょっとして虫除けプログラムって……
チラっと芽依ちゃんに視線を向けると、芽依ちゃんは慌てて視線をそらした。
やはりそうか。芽依ちゃん、香子だけでなく自分も虫除けプログラムから除外していたな。
「芽依ちゃん」
「ち……違います! 違います! P0378はたまたま忙しかっただけで、私だけ除外していたわけでは……」
分かりやすい子だ……でも、今はその話がしたいのではなくて……
「小淵さんから、橋本さんへのメッセージですか?」
「ああ。芽依ちゃんなら橋本さんと面識があるだろ」
「はあ、面識はありますけど、私もあの人とは仕事以外の事でお話したことがなくて……」
「そうなの。世間話ぐらいしなかったの?」
「橋本さんって、あまり自分から話をしない人ですから……」
「コミュ障という事?」
「それとはちょっと違います。必要な事は話しますよ。ただ橋本さんは寡黙な人で……とにかく、橋本さんにメッセージを伝えればよいのですね。分かりました。P0371。リトル東京と繋いで下さい」
「かしこまりました」
「待って。芽依ちゃん、今は深夜だから朝になってから」
「大丈夫です。私達は深夜でも、リトル東京はまだ日が暮れたばかりの頃です」
「そうか。時差があったか」
そうこうしている間に、Pちゃんが司令塔の壁にプロジェクションマッピングで映像を映した。
映像には、リトル東京の町並みを背景に『ただいま呼び出し中です』のメッセージが表示されている。
そんな映像がしばらく続いて映像が変わった。
そこに現れたのは、長い髪をポニーテイルに束ねた、着物姿の女性。歳は二十歳ぐらいだろうか?
彼女が橋本晶か?
女性は驚いたような顔をしてこっちを見ていた。
『森田さん! それに隊長!』
「なんだ浮気ではなかったのか。すまぬ、司令官殿」
だからエラ、電撃をする前に人の話を聞けよ。
「きゃあ! カイトさん。血が出ています! いったい、誰がこんなヒドい事を……」
ミール……それ、君に引っかかれた傷なのだが……
「本当にヒドい人達ですね。ご主人様は、何も悪いことしていないのに」
手当をしてくれるのはいいのだが、Pちゃんはこの騒ぎの中何をしていたんだ?
いつもは僕に香子以外の女が近づくと、真っ先に妨害してきていたのに、なんで芽依ちゃんにだけ……ひょっとして虫除けプログラムって……
チラっと芽依ちゃんに視線を向けると、芽依ちゃんは慌てて視線をそらした。
やはりそうか。芽依ちゃん、香子だけでなく自分も虫除けプログラムから除外していたな。
「芽依ちゃん」
「ち……違います! 違います! P0378はたまたま忙しかっただけで、私だけ除外していたわけでは……」
分かりやすい子だ……でも、今はその話がしたいのではなくて……
「小淵さんから、橋本さんへのメッセージですか?」
「ああ。芽依ちゃんなら橋本さんと面識があるだろ」
「はあ、面識はありますけど、私もあの人とは仕事以外の事でお話したことがなくて……」
「そうなの。世間話ぐらいしなかったの?」
「橋本さんって、あまり自分から話をしない人ですから……」
「コミュ障という事?」
「それとはちょっと違います。必要な事は話しますよ。ただ橋本さんは寡黙な人で……とにかく、橋本さんにメッセージを伝えればよいのですね。分かりました。P0371。リトル東京と繋いで下さい」
「かしこまりました」
「待って。芽依ちゃん、今は深夜だから朝になってから」
「大丈夫です。私達は深夜でも、リトル東京はまだ日が暮れたばかりの頃です」
「そうか。時差があったか」
そうこうしている間に、Pちゃんが司令塔の壁にプロジェクションマッピングで映像を映した。
映像には、リトル東京の町並みを背景に『ただいま呼び出し中です』のメッセージが表示されている。
そんな映像がしばらく続いて映像が変わった。
そこに現れたのは、長い髪をポニーテイルに束ねた、着物姿の女性。歳は二十歳ぐらいだろうか?
彼女が橋本晶か?
女性は驚いたような顔をしてこっちを見ていた。
『森田さん! それに隊長!』
0
お気に入りに追加
139
あなたにおすすめの小説

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない
一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。
クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。
さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。
両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。
……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。
それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。
皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。
※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。
タイムワープ艦隊2024
山本 双六
SF
太平洋を横断する日本機動部隊。この日本があるのは、大東亜(太平洋)戦争に勝利したことである。そんな日本が勝った理由は、ある機動部隊が来たことであるらしい。人呼んで「神の機動部隊」である。
この世界では、太平洋戦争で日本が勝った世界戦で書いています。(毎回、太平洋戦争系が日本ばかり勝っ世界線ですいません)逆ファイナルカウントダウンと考えてもらえればいいかと思います。只今、続編も同時並行で書いています!お楽しみに!
200万年後 軽トラで未来にやってきた勇者たち
半道海豚
SF
本稿は、生きていくために、文明の痕跡さえない200万年後の未来に旅立ったヒトたちの奮闘を描いています。
最近は温暖化による環境の悪化が話題になっています。温暖化が進行すれば、多くの生物種が絶滅するでしょう。実際、新生代第四紀完新世(現在の地質年代)は生物の大量絶滅の真っ最中だとされています。生物の大量絶滅は地球史上何度も起きていますが、特に大規模なものが“ビッグファイブ”と呼ばれています。5番目が皆さんよくご存じの恐竜絶滅です。そして、現在が6番目で絶賛進行中。しかも理由はヒトの存在。それも産業革命以後とかではなく、何万年も前から。
本稿は、2015年に書き始めましたが、温暖化よりはスーパープルームのほうが衝撃的だろうと考えて北米でのマントル噴出を破局的環境破壊の惹起としました。
第1章と第2章は未来での生き残りをかけた挑戦、第3章以降は競争排除則(ガウゼの法則)がテーマに加わります。第6章以降は大量絶滅は収束したのかがテーマになっています。
どうぞ、お楽しみください。

異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。
異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。
せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。
そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。
これは天啓か。
俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。
月が導く異世界道中
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
漫遊編始めました。
外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。
【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします
*
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!?
しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です!
めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので!
本編完結しました!
『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編をはじめる予定ですー!

2回目チート人生、まじですか
ゆめ
ファンタジー
☆☆☆☆☆
ある普通の田舎に住んでいる一之瀬 蒼涼はある日異世界に勇者として召喚された!!!しかもクラスで!
わっは!!!テンプレ!!!!
じゃない!!!!なんで〝また!?〟
実は蒼涼は前世にも1回勇者として全く同じ世界へと召喚されていたのだ。
その時はしっかり魔王退治?
しましたよ!!
でもね
辛かった!!チートあったけどいろんな意味で辛かった!大変だったんだぞ!!
ということで2回目のチート人生。
勇者じゃなく自由に生きます?
男装の麗人と呼ばれる俺は正真正銘の男なのだが~双子の姉のせいでややこしい事態になっている~
さいはて旅行社
BL
双子の姉が失踪した。
そのせいで、弟である俺が騎士学校を休学して、姉の通っている貴族学校に姉として通うことになってしまった。
姉は男子の制服を着ていたため、服装に違和感はない。
だが、姉は男装の麗人として女子生徒に恐ろしいほど大人気だった。
その女子生徒たちは今、何も知らずに俺を囲んでいる。
女性に囲まれて嬉しい、わけもなく、彼女たちの理想の王子様像を演技しなければならない上に、男性が女子寮の部屋に一歩入っただけでも騒ぎになる貴族学校。
もしこの事実がバレたら退学ぐらいで済むわけがない。。。
周辺国家の情勢がキナ臭くなっていくなかで、俺は双子の姉が戻って来るまで、協力してくれる仲間たちに笑われながらでも、無事にバレずに女子生徒たちの理想の王子様像を演じ切れるのか?
侯爵家の命令でそんなことまでやらないといけない自分を救ってくれるヒロインでもヒーローでも現れるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる