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第十三章

暗闇から泣声

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「ご主人様」

 司令塔からPちゃんが顔を出した。

「スキャンしたデータの解析が終わりました。カートリッジには何も問題ありません」
「そうか。ありがとう」

 カートリッジを艦内に運び込むと、ミールとPちゃんを伴って医務室へミクの様子を見に行った。

「ああ! カイト殿。ミクなら今、眠ったところだ」

 ミクのベッドの横には、キラとミーチャがいた。

「キラ。君も戦闘で疲れているだろう。看病ならミーチャに……」
「いやいや、ミーチャ一人では大変だな、と思ってな」

 ミーチャが不満そうな顔をする。

「看病ぐらい、僕一人大丈夫ですよ。僕は戦闘に出ていないのだから、このくらい……」
「いやいや、そうは行かないだろう。ミーチャはこんな可愛い顔をしているが男の子だ。女の子の世話をするには、いろいろと不都合があるだろう」
「不都合?」
「ミクが身体を拭いて欲しいと言ったら、ミーチャはできるか?」

 とたんにミーチャは顔が真っ赤になった。

「そ……そ……それは無理です!」
「そうだろう。だから、私も一緒にいるのだ」

 とりあえず、ミクは大丈夫そうだな。

 医務室を出ると、ミールが悩ましそうな顔して頭を押さえた。

「ミール。頭が痛いのか?」
「いえ……ちょっとキラの事で……」

 え?

「カイトさん。キラがどうしてミクちゃんの看病しているのか分かりますか?」
「ええっと……二人とも、いつの間にか仲良くなったのかな?」
「ミールさん。無理です。ご主人様は、こういう事にうといですから」

 え? え? Pちゃんまで何を?

「ご主人様。キラさんは、ミーチャさんをミクさんに取られないかと警戒しているのですよ」

 あ! そういう事か。

「しかし、ミーチャはミクが苦手みたいだったぞ」
「カイトさんは、そう思っていても、キラはそう思っていないのですよ。あたしとしても、いつまでキラの恋に気が付かないフリをしてあげられるか」

 フリ?

「修行中は恋愛御法度と言った手前もあるので、恋愛に気が付いてしまっては、あたしの面子が……」

 なるほど。ミールはキラの恋愛を見て見ぬフリをしてやっていたのか。

「ミール。キラは分身体の制御ができるようになったけど、まだ修行の必要があるの?」
「そうですね。まだ二ヶ月は修行の必要があります。それまでは気が付かないフリをしていてあげましょう」

 そんな事を話しながら歩いているうちに、僕たちは貨物室の前に着く。この中に置いてあるロボットスーツ着脱装置の様子を見に来たのだが……

 扉を開くと、中は真っ暗……ん?

「しくしくしく」

 な……暗闇から泣声!?
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