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第十三章

かつての仲間1

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 視線を転じた。

 その先で空中に浮かんでいるのは、クリームイエローの九十九式と銀色の九十九式。

 クリームイエローは矢部だな。以前に戦ったので分かる。と言うことは、銀色が古淵か。

「先にこいつらと戦うことになりそうだな」

 と、僕がつぶやいたその時、通信が入った。

 通信相手は矢部。

『隊長。ここはお互い引きませんか? どちらも消耗が激しいでしょう』

 確かにこちらも消耗しているが……

「それはできない」

 矢部がわざわざそう言ってきたという事は、何か不利な事があるのだろう。

 例えそうでないとしても、今ここで矢部と古淵を《アクラ》の方へ行かせるわけにはいかない。ここに足止めしておかないと作戦に支障がでる。

『やれやれ。隊長はそう言うと思いました。ただ、聞いて下さい。俺がそんな提案をしたのは、隊長と芽衣ちゃんを殺さずに生け捕りにしたいからです。今の状況でやると、どちらかが死ぬまで戦うことになる。それでもやりますか?』
「やる」
『また即答ですか。そんなに俺たちを殺したいのですか? あなたは記憶にないかもしれないけど、俺たちは先代の北村さんの部下だったのですよ』
「戦いを先延ばしにしたところで、いずれはやることになる。ならば、今戦っても同じだ」
『では、交渉決裂ですね。隊長一つだけ言っておきます。今回は手加減しませんよ』

 やはり、前回は手を抜いていたのか。

「北村さん」

 不意に芽衣ちゃんが話しかけてきた。

「お願いがあります」
「どうしたんだい?」
「矢部さんの相手は私がやります。古淵さんの相手は北村さんにお願いしたいのです」
「君の手で矢部を殺したいのか?」

 芽衣ちゃんは首を横にふった。

「古淵さんとは、戦いたくないのです」

 そうか。レムの支配下にあるとは言え、芽衣ちゃんにとって古淵はかつての仲間。戦いにくいのだろう。

 では、矢部は……聞くまでもないな。あいつは、味方でなかったら、殺したいぐらいだったのだろう。

「分かった。古淵の相手は僕がやる。芽衣ちゃんは矢部をやってくれ」
「ありがとうございます」

 再び視線を敵に向けると、二つのロボットスーツがこっちに向かってくるのが見えた。

「芽衣ちゃん。行くよ」
「はい」

 僕たちも敵に向かって加速した。

 芽衣ちゃんはクリームイエローの機体に向かって。

 僕は銀色の機体へ向かう。
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