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第十三章

キャプター機雷

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《アクラ》は今まで使わなかったレーダーを使った。レーダーを使えば敵を発見できるが、同時に自分の位置を敵に教えることになる。

 それにも関わらずレーダーを使ったという事は、自分の位置をわざとこっちに教ているという事か。罠に誘い込むために……

 その罠を突破するには……

 僕はエラの方向いた。

「エラ。君を《水龍》に残したのは、実はそれだけじゃない。この作戦で君の能力を発揮してもらうためだ」
「私の能力?」
「さっきの空中機雷はみごとだったよ」
「ああ! あれはカミラが思いついた」

 そう言ってエラは、もう一人 《水龍》に残った紫髪の美女を指さした。

 カミラは照れくさそうに言う。

「私もああ上手く行くとは……エラのプラズマボールは速度がないので、高速で飛び回る飛行体を相手するには不向き。だけど、予め進行方向が分かっているなら、その予想進路に大量のプラズマボールを放っておけば、嫌がらせ程度にはなると思っていたので、彼女が出かける前にあの戦法を伝えておいたのです」
「私も嫌がらせのつもりでやったのだが、まさかフライング・トラクターを落とせるとは思っていなかった」

 まあ、なんにせよ、このことでエラのプラズマボールを使った作戦を思いついたわけだ。

 僕は艦長席に目を向けた。

「レイホー。魚雷は?」
「装填済みね。いつでも撃てるよ」

 よし、後は《アクラ》の動き次第だな。

 程なくして《アクラ》に新た動きがあったことをロンロンが報告してきた。

「《アクラ》より飛行体が二つ飛び立ちました。ロボットスーツです」

 レーダーを見ていると、ロボットスーツはフライング・トラクターのいる浅瀬へ向かっていた。

 ロボットスーツが浅瀬に到着するところを見計らって僕は叫ぶ。

「レイホー。魚雷発射」
「アイサー! 一番、二番発射管オープン。魚雷発射!」

 二発の魚雷が放たれた。

 魚雷に気が付いた《アクラ》は進路反転して猛スピードで逃げ出す。あの速度なら、こちらの魚雷は振り切られてしまうだろう。

 同時に向こうからも、魚雷らしき物体を水中に投下する音が四回伝わってくる。

 程なくしてソナーが二つのスクリュー音を捉えた。

 魚雷だ。

「魚雷防御」
「アイサー! 三番、四番発射管オープン。デコイ射出」

 デコイ魚雷が飛び出していく。

 程なくして、敵の魚雷はデコイに騙されて《水龍》かられていった。

 しかし《アクラ》から聞こえた物体を水中に投下する音は四回。

 そのうち二つはさっきの魚雷だとして、残りの二つは恐らく……

「レイホー。水上に出て《アクラ》を追って」
「アイサー! 《水龍》急速浮上。全速前進」
「レイホー。分かっていると思うけど、さっき《アクラ》が居た辺りには……」
「分かっているね。おにいさん。あそこには落とし穴が待っているね。でも、穴なら飛び越えてしまえばいいね」
「その通りだ」

 程なくして、さっきまで《アクラ》が居た水域に近づいた。

 ロンロンが緊急事態を報告してくる。

「ピンガーをキャッチしました。魚雷です」

 やはり来たか。

 魚雷発射管四つのうち二つから通常魚雷を発射した後、残り二つからキャプター機雷を発射していたな。

  
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