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第十二章

サラの本体

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 Pちゃんとキラに担がれて、役所の中から出てきたサラはまだ気を失っていた。

 背後より忍び寄ったPちゃんから電撃を食らったらしい。

 それにしても……

「この人がサラ?」

 芝生 (の様な草)の上に横になったサラの姿は、さっき見た分身体と若干容姿が違っていた。

 分身体は身長百七~八十センチはある筋肉質の身体だったのに、本人はほっそりとした体格で身長も百五~六十センチほど。半袖からのぞいている腕には、そんなに筋肉はない。顔も童顔で二十八歳には見えない。

 いや、まあ僕も人のことは言えんが……就職してからも童顔のために中高生とよく間違えられたし……

 それはともかく……

「分身体と、本人の容姿が少し違うように見えるけど……」
「カイトさん。それはよくある事なのです」
「よくあるの?」
「あたしの分身体も、容姿を変える事はできますよ。面倒だから、やらないだけで」

 そういうものなのか?

「ほかにも他の術者が作った分身体を操る事もありますよ。ミクちゃんの使っている式神なんか、まさにそれです」

 ミクの方を振り向いた。

「そうなのか?」
「そうだよ。アクロもオボロも赤目も、平安時代の陰陽師が作った式神を受け継いできたのだよ。あたしもオリジナルの式神を作った事あるけど、安定しなくてすぐに消えちゃうの」
「なるほど」

 視線をミールに戻した。

「このサラという人、二十八歳だといったね。ミールと同じぐらいの歳に見えるけど」
「童顔なのです。だから『お姉さま』と呼ぶと、機嫌がよくなるのですよ。だけど、機嫌を取りすぎて、あたしも同性愛者と誤解されてしまったようですね」
「誤解を解かなかったの?」
「それ以前に、あたしもお姉さまが同性愛者とは長い間気がつかなかったのです。なんか変だな? と思うことはありましたが……」
「いつ、気がついた?」
「分身魔法のお師匠様から、突然『火炎魔法を習って来い』とダモン様への紹介状を渡された時でした。その時に師匠から、お姉さまの性癖を聞かされたのです」
「つまり、ミールを引き離すために……」

 ミールは、こくっと頷いた。

「あたし、お姉さまと仲違いしたくはありませんが、だからと言ってお姉さまとそういう関係になるのはちょっと……それには距離を置くしかありませんでした。あたしに彼氏ができたら、諦めてくれると思っていたのですが……」
「諦めるどころか、その彼氏は極悪人で、ミールさんが騙されていると思いこんでしまったのよ」

 口を挟んできたのは相模原月菜。

「役所の建物の中でミールさんと遭遇した時に、サラは頭に血が上ったのか『ミール! 目を覚まさせてやる!』と叫んで、私たちが止めるのも聞かないで襲いかかっていったの。それで乱戦状態になってしまったのよ」
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