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第十一章

攻撃開始(天竜過去編)

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 着弾まで三十秒しか無かった。

「馬 美玲さん、白龍君。この弾丸は、私が受け止める。二人とも後は頼むわね。上手く行けば、あなた達二人ともレーザーの射程内に飛び込めるわ」
「分かった。アーニャ」「私たちに任せて」

 アーニャ機が、エアバックを展開した。

 レーダー画面の中で爆散円とアーニャ機が交差する。

 アーニャのエアバックが、たちまちのうちに吹き飛んだ。

「スラスターをやられたわ。馬 美玲さん。私の機体をレーザーで排除して」
「分かった」
「後は頼むわ。白龍君を守って」
「任せて」
「白龍君。《朱雀》で待っているわ」

 アーニャのアバターが消えた。
 後に残った球体宇宙機に向けて、馬美玲はレーザー撃つ。
 レーザーの命中した箇所がガス化して、その反動で球体宇宙機は離れていく。

 敵の方は、まだ次弾を撃ってくる様子はない。
 映像を拡大して見ると、敵の護衛機が一機大破している様子が見えた。
 青龍隊か白虎隊の生き残りがやったのだろう。 
 僕達以外にも、戦っている人がいるんだ。

チャン君。ミクちゃんは、君の事をふったわけじゃないと思う」
「え?」
「君はいきなりプロポーズしちゃったのだろ。ミクちゃんも動転しちゃって、あんな事言ったのじゃないかな? 結婚はともかく、おつき合いまで断る気は無かったと思う」
「そうだね。僕も、なんかそんな気がしていたんだ」
「だから、《イサナ》が来たら、もう一度コクってみなよ」
「うん。そうする」
「しかし、君も大胆だね。いきなりプロポーズなんて」
「実は、僕も最初はプロポーズまでする気は無かったのだけど……あの時舞い上がってしまって……」
「言ったでしょ。恋は人を盲目にするって。君はその時、盲目だったのだよ」
「そうだよね」

 確かにあの時、『結婚してください』と言ってから『しまった! なんて事を』と思っていた。断られて当然と……

「章君」
「なに?」
「もうすぐレーザーの射程に入る。私の横に並んで」
「分かった」

 僕の機体は、馬 美玲の機体の横につく。

 同時に僕達は、電磁砲レールキャノンの残弾を撃ち切った。
 向こうはまだ撃ってこない。

「白龍君。分かっていると思うけど、射程に入ったら向こうからもレーザーを撃ってくるわ」
「分かっている」
「攻撃に使える時間はあまりないわ。確実に倒すために、攻撃を一機に集中しましょう」
「うん」
「どれを狙うか君が決めて」
「分かった」

 映像を拡大した。

 球形陣の中心にいる五機のレーザー機。その中で、一番手前にいる機体に照準を合わせる。そのデータを馬 美玲に送った。

「あいつね」
「うん」

 彼女も照準を定めた。

 射程に入ると同時に、僕達はトリガーを引いた。
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