価値がないと言われた私を必要としてくれたのは、隣国の王太子殿下でした

風見ゆうみ

文字の大きさ
17 / 50

15.5 恋するルピノ視点

しおりを挟む
※ ルピノの一人称になります。







「どうしたらいいんだ。こんなはずじゃなかったのに…」

 ファラ様は私達に呆れて部屋を出ていかれてしまったので、私とセイン殿下は二人きりになってしまった。

 セイン殿下は情けない事に、ソファーに座って頭を抱えている。

 ああ。
 どうして、私はこんな男を選んじゃったのかしら。
 お姉様の婚約者だし、王太子だし、すぐに落ちそうだから、なんて安易に手を出したのがいけなかったわ。

 でも、身近にいた顔の良い人っていったら、セイン殿下しか浮かばなかったのよ。

 それに、お姉様から奪った、なんて、物語みたいで素敵じゃない?

 元々は、お父様が婚約者を作れ作れとうるさかったからいけないのよ。

 私にはアズがいるって何度も伝えたのに…。

 もちろん、アズの行方がわからないままだったら、諦めてセイン殿下と結婚したかもしれないけれど、その前にアズが自分から現れてくれたの。

 これって運命よね?

 セイン殿下と私が婚約する前に現れたんだから、神様は私とアズの事を応援してくれているはず。

 もちろん、アズがお姉様の事を好きな事は知ってたわ。

 だけど、お姉様にはセイン殿下がいたから、言葉にできなかったみたい。
 そういう所も好きだわ。

 そして、セイン殿下もお姉様が好きだった。

 お姉様のどこが良いのかわからない。

 公爵令嬢のくせに気は強いし、自分の身を守るためだとか言って、小さい頃から護身術や剣術なんかを学んでた。

 子供の頃は男の子よりも強かったのよね。

 セイン殿下はその事をずっと気にしていた。
 今だってそう。
 グチグチと、その事を言っている時があるから。

 セイン殿下は、私の事が好きだとか言っておきながら、なんだかんだ言って、まだお姉様に未練がある。

 まあ、私だってアズに未練があるから人の言事は言えないんだけど。

 ううん。

 運命なんだから、未練じゃないわ。

 とにかく、これからどうするか考えなくちゃ。

「婚約破棄は決定事項なのですね…」
「ああ、そうだよ。ルピノ、これからどうするつもりなんだ? 君は俺の事が好きなんだろ? 仕事の事をもうちょっと親身になって考えてくれてもいいんじゃないか?」
「嫌です。私はアズアルド殿下が好きなんです」
「……アズアルド殿下のどこがいいんだ? 顔か?」

 全く、くだらない質問をしてくるわよね。
 それだけで、ここまで執着できるわけないじゃない。

 しょうがないので答えてあげる。

「お姉様は顔かもしれませんが、私はアズアルド殿下の全てが好きなんです。絶対に私のものにするつもりです」
「そうなると、俺はどうなるんだ? それに、君は俺と婚約するんだぞ!?」
「婚約して解消すればいいじゃないですか」
「でも、ルリとアズアルド殿下は…!」
「2人も婚約解消させればいいんです」

 私の言葉を聞いたセイン殿下は俯いていた顔を上げて、向かい側に座っている私を見た。

「その間の仕事はどうするんだ?」
「そこは、殿下が頑張ってください。私が仕事をしない事により、婚約解消しやすくなるはずです」
「そうなったら、俺は廃嫡なんだぞ!?」
「あとを継げなくなるだけじゃないですか。それで、お姉様とよりを戻せるなら良いでしょう? 再婚約して、今度こそ結婚して仕事をしてもらえばいいんです」
「……そうか、そうだな。俺が王子である事は変わりはないものな」

 セイン殿下はうんうんと頷くと、私の方を見る。

「では、一緒に策を練るか」
「そうですわね」

 そんな事をする前に、とっとと仕事をしなさいよ。

 と言ってあげたいけど言っても無駄でしょうね。
 それに、今は私達の婚約を駄目にしないといけないのだから、殿下は遊ばせていても良いでしょう。

 アズをお姉様になんか渡さない。

 アズを一番に愛せるのは私だし、アズが求めているのも私なのよ。


 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

そんなに妹が好きなら死んであげます。

克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。 『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』 フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。 それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。 そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。 イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。 異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。 何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……

【完結】次期聖女として育てられてきましたが、異父妹の出現で全てが終わりました。史上最高の聖女を追放した代償は高くつきます!

林 真帆
恋愛
マリアは聖女の血を受け継ぐ家系に生まれ、次期聖女として大切に育てられてきた。  マリア自身も、自分が聖女になり、全てを国と民に捧げるものと信じて疑わなかった。  そんなマリアの前に、異父妹のカタリナが突然現れる。  そして、カタリナが現れたことで、マリアの生活は一変する。  どうやら現聖女である母親のエリザベートが、マリアを追い出し、カタリナを次期聖女にしようと企んでいるようで……。 2022.6.22 第一章完結しました。 2022.7.5 第二章完結しました。 第一章は、主人公が理不尽な目に遭い、追放されるまでのお話です。 第二章は、主人公が国を追放された後の生活。まだまだ不幸は続きます。 第三章から徐々に主人公が報われる展開となる予定です。

幼馴染と仲良くし過ぎている婚約者とは婚約破棄したい!

ルイス
恋愛
ダイダロス王国の侯爵令嬢であるエレナは、リグリット公爵令息と婚約をしていた。 同じ18歳ということで話も合い、仲睦まじいカップルだったが……。 そこに現れたリグリットの幼馴染の伯爵令嬢の存在。リグリットは幼馴染を優先し始める。 あまりにも度が過ぎるので、エレナは不満を口にするが……リグリットは今までの優しい彼からは豹変し、権力にものを言わせ、エレナを束縛し始めた。 「婚約破棄なんてしたら、どうなるか分かっているな?」 その時、エレナは分かってしまったのだ。リグリットは自分の侯爵令嬢の地位だけにしか興味がないことを……。 そんな彼女の前に現れたのは、幼馴染のヨハン王子殿下だった。エレナの状況を理解し、ヨハンは動いてくれることを約束してくれる。 正式な婚約破棄の申し出をするエレナに対し、激怒するリグリットだったが……。

婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました

由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。 彼女は何も言わずにその場を去った。 ――それが、王太子の終わりだった。 翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。 裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。 王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。 「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」 ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。

結婚したけど夫の不倫が発覚して兄に相談した。相手は親友で2児の母に慰謝料を請求した。

佐藤 美奈
恋愛
伯爵令嬢のアメリアは幼馴染のジェームズと結婚して公爵夫人になった。 結婚して半年が経過したよく晴れたある日、アメリアはジェームズとのすれ違いの生活に悩んでいた。そんな時、机の脇に置き忘れたような手紙を発見して中身を確かめた。 アメリアは手紙を読んで衝撃を受けた。夫のジェームズは不倫をしていた。しかも相手はアメリアの親しい友人のエリー。彼女は既婚者で2児の母でもある。ジェームズの不倫相手は他にもいました。 アメリアは信頼する兄のニコラスの元を訪ね相談して意見を求めた。

【完結】婚約者にウンザリしていたら、幼馴染が婚約者を奪ってくれた

よどら文鳥
恋愛
「ライアンとは婚約解消したい。幼馴染のミーナから声がかかっているのだ」  婚約者であるオズマとご両親は、私のお父様の稼ぎを期待するようになっていた。  幼馴染でもあるミーナの家は何をやっているのかは知らないが、相当な稼ぎがある。  どうやら金銭目当てで婚約を乗り換えたいようだったので、すぐに承認した。  だが、ミーナのご両親の仕事は、不正を働かせていて現在裁判中であることをオズマ一家も娘であるミーナも知らない。  一方、私はというと、婚約解消された当日、兼ねてから縁談の話をしたかったという侯爵であるサバス様の元へ向かった。 ※設定はかなり緩いお話です。

善人ぶった姉に奪われ続けてきましたが、逃げた先で溺愛されて私のスキルで領地は豊作です

しろこねこ
ファンタジー
「あなたのためを思って」という一見優しい伯爵家の姉ジュリナに虐げられている妹セリナ。醜いセリナの言うことを家族は誰も聞いてくれない。そんな中、唯一差別しない家庭教師に貴族子女にははしたないとされる魔法を教わるが、親切ぶってセリナを孤立させる姉。植物魔法に目覚めたセリナはペット?のヴィリオをともに家を出て南の辺境を目指す。

〈完結〉妹に婚約者を獲られた私は実家に居ても何なので、帝都でドレスを作ります。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」テンダー・ウッドマンズ伯爵令嬢は両親から婚約者を妹に渡せ、と言われる。 了承した彼女は帝都でドレスメーカーの独立工房をやっている叔母のもとに行くことにする。 テンダーがあっさりと了承し、家を離れるのには理由があった。 それは三つ下の妹が生まれて以来の両親の扱いの差だった。 やがてテンダーは叔母のもとで服飾を学び、ついには? 100話まではヒロインのテンダー視点、幕間と101話以降は俯瞰視点となります。 200話で完結しました。 今回はあとがきは無しです。

処理中です...