あなた方には後悔してもらいます!

風見ゆうみ

文字の大きさ
7 / 45

6   クレイ殿下

しおりを挟む
 クレイ様との婚約は顔合わせの後に、お互いが了承した時点で正式に決定する事になりました。
 なぜかというと、それがクレイ様の希望だからです。
 お母様とお姉様はクレイ様が私を嫌がって、婚約を先延ばしにしようとしているのだと言ってこられましたが、二人の言う事など気にしない事にしました。
 その日が来るまで、今までの反動の様に話しかけてくる二人を何とかやり過ごす事にしました。
 あと、お姉様は今のところ、オッサムとアール様の二人共を婚約者認定して、自分が女王だとわかった時点で夫を決めるという話でまとまったそうです。
 自分が女王になる事は確実と思っているところがすごいです。

 私の誕生日から約一週間後の事。
 とうとう私の婚約者になる予定の人、クレイ様が、城にやって来る事になりました。
 ちなみにクレイ様には結婚する際は、婿入りしてもらう話は通っています。

 クレイ様について、お父様から聞いたりして調べてみたところ、私より2つ年上の19歳。
 小さい頃に遊んだ事があるようですが、あまり記憶にはありません。
 クレイ様は整った顔立ちなんだそうですが、婚約者以外に好きな人がいらっしゃり、今まではその人一筋だったようです。
 もちろん、婚約者の方はそれを承知しておられたみたいです。
 けれど、好きな方にフラレてしまい、そのせいかはわかりませんが、同じ時期くらいに婚約者ともうまくいかなくなり、婚約が破断になったみたいです。

 失恋されたショックで、うまくいかなくなったのでしょうか?
 でも、好きな人がいるという事は知っていたみたいですし…。

 私でしたら、お飾りの妻として、って駄目ですね。
 私は女王になる可能性が高いのですから、お飾りではいけません。
 クレイ様には少しずつ、彼女を忘れてもらうか、もしくは、わりきってビジネスライクな関係になってもらわなくては。
 
 そう、クレイ様にお飾りの夫になってもらいましょう!

 元々、私は初恋はまだですし、恋愛に興味もありません。
 ですから、クレイ様が好きな人を思い続けていても、文句はありません!

 さあ、どんな方なのでしょう!
 ワクワクしますね!

 ドキドキしながら、すっなり元気になったお父様とクレイ様を、モコモコのコートを着込んで、城の入口で迎えます。
 本来ならば、お母様やお姉様も一緒にお出迎えするべきなのでしょうけれど、体調不良との事で来られていません。
 仮病でしょうね。
 私に対して悔しいという気持ちもあるのでしょう。
 
 豪華な馬車から降りてきたクレイ様はシルバーの瞳と髪色で前髪は目に少しかかるほど長く、長髪とまではいかないですが、全体的に長めです。
 というよりか、あまり、髪の毛を手入れされていない感じでしょうか。
 伸ばしっぱなしで整えていないような感じです。
 もちろん、髪を洗っていないとか、そういう感じではありません。
 眉間にシワを寄せられていて、取っ付きにくそうな感じがしますが、整った顔立ちをしておられます。

「はじめまして。リサ・ミノワーズと申します。クレイ様にお会いできて光栄ですわ」

 カーテシーをして微笑んだけれど、クレイ様はニコリともせずに「お出迎えいただき、ありがとうございます」と頭を下げただけです。

 お疲れなのか、それともこういう無愛想な人なのかはわかりませんが、あまり気にしない事にします。
 あーだこーだ言って、嫌われても嫌ですしね。
 お互い、好きでも嫌いでもないという関係が、長くやっていける様な気がするのです。

「リサ、クレイ殿下をご案内さしあげたらどうだ?」
「承知いたしました」

 本来ならば、メイドにお願いすべきなのでしょうけれど、お話をしてみたいので、私が案内する事に決めておりました。
 ですから、お父様の言葉に促され、私はクレイ様に声を掛けます。

「ご案内いたしますね」
「…ありがとう」
 
 無愛想な方ではありますが、ちゃんとお礼などは言えるみたいです。
 まあ、大人ですからね。
 それくらいは出来て当たり前なのかもしれません。

「クレイ様のお部屋は私の隣の部屋になります。あの、少しお話したい事がありますので、落ち着かれましたら、お時間をいただけないでしょうか」
「…今でもかまわないが…」
「でしたら、私の部屋でお話させていただいても良いですか? クレイ様のお部屋は荷物の搬入があるでしょうから、慌ただしいかと思いますので」

 笑顔で言いますと、クレイ様は少し戸惑った顔をされました。
 やはり、女性の部屋に行くのに抵抗があるのでしょうか。

「あの、クレイ様、私はあなたを応援しております」

 クレイ様に近寄り、背の高い彼を見上げて、小声で両拳を握りしめて伝えてみました。

「…は?」
「他の女性を愛してらっしゃった事は聞き及んでおります。そして、無理に忘れる必要もないと思っております! 相手の方に迷惑にならない程度でありましたら、どうぞ思い続けて下さいませ!」
「ちょ、ちょっと待て。何の話をしてるんだ?」
「あら、お話ができるのですね!」
「さっきも会話してただろ…」

 クレイ様の話す声が大きくなったのは良いですが、話し方が少し乱暴な気がします。

 少し戸惑っていると、クレイ様は小声で言います。

「俺は言葉遣いが悪すぎるという理由でふられたんだ。だから出来るだけ会話をしたくない」
「そんなに言葉遣いが悪いのですか」
「悪い。一応、言い訳はあるけどな」
「では、その言い訳とやらを聞かせていただきましょう! どうぞこちらへ」

 笑顔で私の部屋の方を手で示すと、なぜかクレイ様は呆れた様な顔をされましたが、まあ、気にしない事にします。
しおりを挟む
感想 72

あなたにおすすめの小説

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

あなたのおかげで吹っ切れました〜私のお金目当てならお望み通りに。ただし利子付きです

じじ
恋愛
「あんな女、金だけのためさ」 アリアナ=ゾーイはその日、初めて婚約者のハンゼ公爵の本音を知った。 金銭だけが目的の結婚。それを知った私が泣いて暮らすとでも?おあいにくさま。あなたに恋した少女は、あなたの本音を聞いた瞬間消え去ったわ。 私が金づるにしか見えないのなら、お望み通りあなたのためにお金を用意しますわ…ただし、利子付きで。

全てを捨てて、わたしらしく生きていきます。

彩華(あやはな)
恋愛
3年前にリゼッタお姉様が風邪で死んだ後、お姉様の婚約者であるバルト様と結婚したわたし、サリーナ。バルト様はお姉様の事を愛していたため、わたしに愛情を向けることはなかった。じっと耐えた3年間。でも、人との出会いはわたしを変えていく。自由になるために全てを捨てる覚悟を決め、わたしはわたしらしく生きる事を決意する。

悪女と呼ばれた王妃

アズやっこ
恋愛
私はこの国の王妃だった。悪女と呼ばれ処刑される。 処刑台へ向かうと先に処刑された私の幼馴染み、私の護衛騎士、私の従者達、胴体と頭が離れた状態で捨て置かれている。 まるで屑物のように足で蹴られぞんざいな扱いをされている。 私一人処刑すれば済む話なのに。 それでも仕方がないわね。私は心がない悪女、今までの行いの結果よね。 目の前には私の夫、この国の国王陛下が座っている。 私はただ、 貴方を愛して、貴方を護りたかっただけだったの。 貴方のこの国を、貴方の地位を、貴方の政務を…、 ただ護りたかっただけ…。 だから私は泣かない。悪女らしく最後は笑ってこの世を去るわ。  ❈ 作者独自の世界観です。  ❈ ゆるい設定です。  ❈ 処刑エンドなのでバットエンドです。

【完結】新婚生活初日から、旦那の幼馴染も同居するってどういうことですか?

よどら文鳥
恋愛
 デザイナーのシェリル=アルブライデと、婚約相手のガルカ=デーギスの結婚式が無事に終わった。  予め購入していた新居に向かうと、そこにはガルカの幼馴染レムが待っていた。 「シェリル、レムと仲良くしてやってくれ。今日からこの家に一緒に住むんだから」 「え!? どういうことです!? 使用人としてレムさんを雇うということですか?」  シェリルは何も事情を聞かされていなかった。 「いや、特にそう堅苦しく縛らなくても良いだろう。自主的な行動ができるし俺の幼馴染だし」  どちらにしても、新居に使用人を雇う予定でいた。シェリルは旦那の知り合いなら仕方ないかと諦めるしかなかった。 「……わかりました。よろしくお願いしますね、レムさん」 「はーい」  同居生活が始まって割とすぐに、ガルカとレムの関係はただの幼馴染というわけではないことに気がつく。  シェリルは離婚も視野に入れたいが、できない理由があった。  だが、周りの協力があって状況が大きく変わっていくのだった。

【完結】旦那様、その真実の愛とお幸せに

おのまとぺ
恋愛
「真実の愛を見つけてしまった。申し訳ないが、君とは離縁したい」 結婚三年目の祝いの席で、遅れて現れた夫アントンが放った第一声。レミリアは驚きつつも笑顔を作って夫を見上げる。 「承知いたしました、旦那様。その恋全力で応援します」 「え?」 驚愕するアントンをそのままに、レミリアは宣言通りに片想いのサポートのような真似を始める。呆然とする者、訝しむ者に見守られ、迫りつつある別れの日を二人はどういった形で迎えるのか。 ◇真実の愛に目覚めた夫を支える妻の話 ◇元サヤではありません ◇全56話完結予定

仕事で疲れて会えないと、恋人に距離を置かれましたが、彼の上司に溺愛されているので幸せです!

ぽんちゃん
恋愛
 ――仕事で疲れて会えない。  十年付き合ってきた恋人を支えてきたけど、いつも後回しにされる日々。  記念日すら仕事を優先する彼に、十分だけでいいから会いたいとお願いすると、『距離を置こう』と言われてしまう。  そして、思い出の高級レストランで、予約した席に座る恋人が、他の女性と食事をしているところを目撃してしまい――!?

アルバートの屈辱

プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。 『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

処理中です...