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ルミナがシュナイデンで成果を上げている中、宮廷では反対のことが起こっていた。
山積みの書類、終わらない錬成。
素材が無造作に床に落ちている部屋に、室長がやってくる。
「リエリアさん、また納期を遅れていますね」
「も、申し訳ありま――」
「謝罪は何度も聞きました。まずは状況を教えてください。いつごろ終わりそうですか?」
「す、すぐに終わります。明日までには……」
「……そうですか。終わるようには見えませんが」
「っ……」
リエリアは与えられた仕事量に、キャパオーバーを起こしていた。
すでに四度、納期遅れを起こしてしまっている。
こうして室長に催促される光景も、当たり前のようになってきてしまった。
「……仕方ありませんね。手の空いた者に回しましょう」
「わ、私はまだ!」
「できないから、こうなっているのですよ。いい加減に自覚してください」
「っ……申し訳ありません」
室長が部屋から出て行く。
書類を握りしめ、悔しさが全身から漏れ出る。
彼女のプライドはズタズタだった。
妹に出来た仕事が自分一人ではできないこと。
自分をもてはやしてくれる男性と会う機会が減り、徐々に疎遠になりつつあること。
それらが同時に襲い掛かり、彼女の自信は崩壊していた。
「こんなはずじゃ……私はもっと……」
優秀なはずだった。
天才だと思っていた。
錬金術師としての才能も、彼女よりはるか上だと。
女性としても、人間としても上位にいるのだと。
しかし、少なくとも錬金術師として、宮廷で働く者としては、明らかな差が浮き彫りになった。
同僚の錬金術師たちからも聞こえてくる本音。
優秀だったのは、ルミナだけだった、と。
多くの者たちは二人の関係を知らない。
押し付けていた事実も、まだ知られていない。
だが、薄々勘づき始めるだろう。
何かある。
ルミナがいなくなってから、リエリアの能力が露呈した。
それが意味するものは?
「まだ、まだよ。本気になれば私だって」
だが、長年プライドを頼りに生きてきた彼女にとって、それを認めてしまうことは死にも等しい。
故に諦めない。
その諦めの悪さは、評価されるべきかもしれない。
山積みの書類、終わらない錬成。
素材が無造作に床に落ちている部屋に、室長がやってくる。
「リエリアさん、また納期を遅れていますね」
「も、申し訳ありま――」
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「す、すぐに終わります。明日までには……」
「……そうですか。終わるようには見えませんが」
「っ……」
リエリアは与えられた仕事量に、キャパオーバーを起こしていた。
すでに四度、納期遅れを起こしてしまっている。
こうして室長に催促される光景も、当たり前のようになってきてしまった。
「……仕方ありませんね。手の空いた者に回しましょう」
「わ、私はまだ!」
「できないから、こうなっているのですよ。いい加減に自覚してください」
「っ……申し訳ありません」
室長が部屋から出て行く。
書類を握りしめ、悔しさが全身から漏れ出る。
彼女のプライドはズタズタだった。
妹に出来た仕事が自分一人ではできないこと。
自分をもてはやしてくれる男性と会う機会が減り、徐々に疎遠になりつつあること。
それらが同時に襲い掛かり、彼女の自信は崩壊していた。
「こんなはずじゃ……私はもっと……」
優秀なはずだった。
天才だと思っていた。
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女性としても、人間としても上位にいるのだと。
しかし、少なくとも錬金術師として、宮廷で働く者としては、明らかな差が浮き彫りになった。
同僚の錬金術師たちからも聞こえてくる本音。
優秀だったのは、ルミナだけだった、と。
多くの者たちは二人の関係を知らない。
押し付けていた事実も、まだ知られていない。
だが、薄々勘づき始めるだろう。
何かある。
ルミナがいなくなってから、リエリアの能力が露呈した。
それが意味するものは?
「まだ、まだよ。本気になれば私だって」
だが、長年プライドを頼りに生きてきた彼女にとって、それを認めてしまうことは死にも等しい。
故に諦めない。
その諦めの悪さは、評価されるべきかもしれない。
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