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第二章「ハランの幕が開けました⁉︎」
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「誰かに言ったりしないけど、別にどっちもキラキラしてて良いのに」
「は?そんなわけないだろ?いつものおれの方が良いに決まってる」
「そうやって言い切れるのもそれはそれですごい」
だってわたしは、笑いたいのに笑えない。ウソの笑顔だってなんだって、それは相手をいやな気持ちにしないためのアイテムだと思うから。それを持ってないわたしには、夕日ヶ丘君は最強の装備をつけた勇者にしか見えない。
「……変なヤツだな。普通ドン引きするか、弱み握ったから言うこと聞けっていうかだろ?」
「いや、それはちょっと……マンガとかドラマの見過ぎなんじゃ?」
「ふざけんなよ師匠とか言ってるやつに言われたくないんだよ!」
あ、今夕日ヶ丘君舌打ちした。これも初めてされた。うん、いやじゃない。
「ああ、もういい。帰ろう」
「うん、そうだね」
「いや、一緒には帰らないからな⁉︎しれっとトナリに立つのやめろ!」
なんだ、ダメなのか。残念。
「明日からも、これまで通りにしてろよ。変に話しかけてきたりしたらアンタのこともバラすかな!」
「えっ、『悪役令嬢は実はポンコツだからみんなも話してみて』って言ってくれるってこと?」
「……なんなのもう。疲れるんだけど」
それはダメだ。今日はもう、大人しく帰ることにしよう。
「おれは職員室にカギ返してから帰るから、先に帰れよ⁉︎絶対待つなよ⁉︎」
「えっと、それはもしや」
「フリじゃないからな!」
「はい」
これ以上怒らせちゃうと夕日ヶ丘君の体力が心配だから、大人しくうなずいた。結局最後まで相手してくれるんだから、やっぱり優しいと思う。
「カギ、ありがとう」
「別に!」
「待たないから大丈夫。あ、でもこれからもクラス委員としてはよろしくね?」
「……うわ、そうだった」
心の底からイヤそうな顔してるの、おもしろい。
それから夕日ヶ丘君はあっという間に先に行っちゃって、ありがとうもさよならも、言うヒマなかった。わたしは言われた通り、彼を待たないで先にローファーをはく。さっき帰ろうとしていた時とは、気持ちが全然違ってた。
「バイバイ、夕日ヶ丘君。カギ、ありがとう」
本人には言えないから、下駄箱に一つだけ残ってるクツに向かって、小さく手を振ったのだった。
「は?そんなわけないだろ?いつものおれの方が良いに決まってる」
「そうやって言い切れるのもそれはそれですごい」
だってわたしは、笑いたいのに笑えない。ウソの笑顔だってなんだって、それは相手をいやな気持ちにしないためのアイテムだと思うから。それを持ってないわたしには、夕日ヶ丘君は最強の装備をつけた勇者にしか見えない。
「……変なヤツだな。普通ドン引きするか、弱み握ったから言うこと聞けっていうかだろ?」
「いや、それはちょっと……マンガとかドラマの見過ぎなんじゃ?」
「ふざけんなよ師匠とか言ってるやつに言われたくないんだよ!」
あ、今夕日ヶ丘君舌打ちした。これも初めてされた。うん、いやじゃない。
「ああ、もういい。帰ろう」
「うん、そうだね」
「いや、一緒には帰らないからな⁉︎しれっとトナリに立つのやめろ!」
なんだ、ダメなのか。残念。
「明日からも、これまで通りにしてろよ。変に話しかけてきたりしたらアンタのこともバラすかな!」
「えっ、『悪役令嬢は実はポンコツだからみんなも話してみて』って言ってくれるってこと?」
「……なんなのもう。疲れるんだけど」
それはダメだ。今日はもう、大人しく帰ることにしよう。
「おれは職員室にカギ返してから帰るから、先に帰れよ⁉︎絶対待つなよ⁉︎」
「えっと、それはもしや」
「フリじゃないからな!」
「はい」
これ以上怒らせちゃうと夕日ヶ丘君の体力が心配だから、大人しくうなずいた。結局最後まで相手してくれるんだから、やっぱり優しいと思う。
「カギ、ありがとう」
「別に!」
「待たないから大丈夫。あ、でもこれからもクラス委員としてはよろしくね?」
「……うわ、そうだった」
心の底からイヤそうな顔してるの、おもしろい。
それから夕日ヶ丘君はあっという間に先に行っちゃって、ありがとうもさよならも、言うヒマなかった。わたしは言われた通り、彼を待たないで先にローファーをはく。さっき帰ろうとしていた時とは、気持ちが全然違ってた。
「バイバイ、夕日ヶ丘君。カギ、ありがとう」
本人には言えないから、下駄箱に一つだけ残ってるクツに向かって、小さく手を振ったのだった。
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