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第三章「ナイスなコンビでいざ遠足⁉︎」

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 夕日ヶ丘君の笑顔以外の顔を知れてから、早くも一週間が経った。わたしは今教室の窓ぎわに立って、グラウンドを見下ろしている。昼休み、たくさんの子たちが楽しそうに遊んでるのを、うらやましいと思いながら眺める。
「朝日さん、今日もフキゲンそうだね……」
「うん、こわいよね……」
 この地獄耳が、いやになるなぁもう。いつかポジティブなことで役に立つ日が来ると良いんだけど。
「一心はおれらのチームな!」
「いやいや、こっちだろ!」
「ハハッ、おれってモテモテ~」
 夕日ヶ丘君は、グラウンドでも大人気。そりゃそうだ、だって頭だけじゃなくて運動神経もバツグンなんだから。その上笑顔まで上手なんて、最高じゃん。絶対努力してるよね、カッコいいさすが師匠。
「なんか下の方をにらんでない?」
「きらいな人でもいるのかなぁ……」
 違うよいないよ、キラキラした人をキラキラした目で見つめてるだけだよ。
 
バチッ
 
 ふいに、夕日ヶ丘君がこっちを見上げる。しっかり目が合ったけど、手を振る勇気はさすがに出ない。笑っても、わたしじゃいい感じに見えないし。
「おーい!」
 いろいろ考えてたら、なんと夕日ヶ丘君の方から手を振ってくれた。しかも笑顔で、両手いっぱいに。
 どうしよう、これは振り返した方が良いんじゃない⁉︎もしかしてわたしと、と、と、友達になってくれるとか……。
「夕日ヶ丘君、頑張ってー!」
 勇気を振りしぼって両手をあげようとした瞬間、わたしのひとつとなりの窓から、女子二人が彼に向かって叫んだ。夕日ヶ丘君は師匠スマイルで、その子達をメロメロにした。
 おお、さすがだ!やっぱり師匠はすごい。エンカクソーサで心をガシッとつかんじゃうんだから。ていうか、わたしにじゃなかったのか。ザンネン、ハズカシイ。

 ずっと前から、彼が人気者だっていうことは知ってた。だって有名人だし。キラキラのモテモテで、なんでも出来る。あの日、笑顔だけじゃない夕日ヶ丘君を知っても、一ミリもゲンメツしたりしなかった。むしろもっともっとすごいなって思ったし、わたしもあんな風になりたい。それは、そうなんだけど。
「やっぱ疲れちゃうよね……」
 ダルい、めんどいって言ってたし。そりゃそうだよね。笑いたくない時だって、あるに決まってる。ホント、わたしとは逆だ。笑いたいのに、笑えない。
 
ピコン!
 
あれ、今聞こえた?気のせい?いや絶対聞こえたよ!良いこと思いついた時になる音、あるよねなんか。明日は遠足があるでしょ?一日中笑顔でいなきゃいけない夕日ヶ丘君は当然いつも以上に疲れちゃうから、そこでわたしがめちゃくちゃ頑張って、彼の負担を減らす!なんかおいしいおやつも、持ってこう。うん、決めた。めっちゃ良い作戦だ。そりゃ、ピコン!って音もなっちゃうよ。
 よし、そうと決まればさっそく準備!やることリスト、書かなくちゃ。
「フフフ……」
 机に戻って、ついニヤニヤ。気をつけてても勝手にそうなるから、もうノートを書くことに集中した。
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