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第一章「わたしは悪役令嬢です⁉︎」
⑤
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《六年華組 朝日 麗》
「フフフ……」
昇降口に貼られたクラス表を見上げながら、自然とゆるむ頬を指で持ち上げる。ウチの学校は、月・光・虹・華の四クラスに分けられている。今まで華組になったことなんてなかったし、これは良いスタートだ。
「ちょっとあれ見て。悪役令嬢が不敵な笑みを浮かべてる……」
「まさか、もう標的を見つけたんじゃ」
「あんな顔でクラス表見てる人、初めて見た」
そんなことを言われてるなんて気付きもしないわたしは、いざ!戦場に向かう気分で教室の扉を開けた。
「おはよう!」
「あ、おはよう!」
「同じクラスでうれしい!」
一瞬、何が起こったのか分からずフリーズ。新クラスメイト達がこっちに向かって、うれしそうにそんな言葉を投げかけてきた。
うそ、まさか春休みのスマイル特訓の成果が実った……⁉︎神様ありがとう!これでわたしはこの一年楽しく幸せに……。
「ハハッ、これからよろしく!」
皆からの挨拶に応えるために片手を上げようとしたわたしの後ろから、別の声。するとさっきよりもさらに、教室が沸き立つような雰囲気になった。
え、ま、まさか。今の「おはよう」とか「同じクラスうれしい」とかって、わたしにじゃない……?
片手を上げかけたまま後ろを振り返ると、見知らぬ顔とバチッと目が合う。
「おはよ!」
その瞬間彼はわたしに向かって、ニコッと笑顔でそう言った。
「フフフ……」
昇降口に貼られたクラス表を見上げながら、自然とゆるむ頬を指で持ち上げる。ウチの学校は、月・光・虹・華の四クラスに分けられている。今まで華組になったことなんてなかったし、これは良いスタートだ。
「ちょっとあれ見て。悪役令嬢が不敵な笑みを浮かべてる……」
「まさか、もう標的を見つけたんじゃ」
「あんな顔でクラス表見てる人、初めて見た」
そんなことを言われてるなんて気付きもしないわたしは、いざ!戦場に向かう気分で教室の扉を開けた。
「おはよう!」
「あ、おはよう!」
「同じクラスでうれしい!」
一瞬、何が起こったのか分からずフリーズ。新クラスメイト達がこっちに向かって、うれしそうにそんな言葉を投げかけてきた。
うそ、まさか春休みのスマイル特訓の成果が実った……⁉︎神様ありがとう!これでわたしはこの一年楽しく幸せに……。
「ハハッ、これからよろしく!」
皆からの挨拶に応えるために片手を上げようとしたわたしの後ろから、別の声。するとさっきよりもさらに、教室が沸き立つような雰囲気になった。
え、ま、まさか。今の「おはよう」とか「同じクラスうれしい」とかって、わたしにじゃない……?
片手を上げかけたまま後ろを振り返ると、見知らぬ顔とバチッと目が合う。
「おはよ!」
その瞬間彼はわたしに向かって、ニコッと笑顔でそう言った。
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