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第七章「わたしたちの覚悟」
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もう、旅を始めてから何日経っただろう。魔女の城に近づくにつれて魔獣は増えるし、アルファみたいに負の力に引っ張られた人たちが襲ってくることもある。
「光の女神よ、負の糸をたち切れ!」
「うわわぁぁっ!!」
魔獣はソルに任せて、わたしは感情を操られた人たちを、ラランとソララの力を借りながら正気に戻すことに専念する。
「ルミエール姫さま、本当にありがとうございます!魔女の討伐に行かれたというウワサは本当だったのですね!」
「違うわ、ルミエールはわたくしよ!」
髪を切ってもわたしと姫はソックリだから、助けた人たちはわたしのことをルミエールだと勘違いする。
その度にルミエール姫が全力で否定するから、みんな混乱してる。
この世界を救いたいって気持ちは変わらないんだから、勘違いされたままでもいいとわたしは思うけど、ルミエール姫はそうは思ってないみたい。
変なところで律儀というか、プライドもあるのかもしれない。最初わたしを身代わりにしようとしてたあの姫からは、とても考えられない。
「今後はよく考えて生きることね!魔女に操られてしまう負の感情なんて、捨ててしまいなさい!」
「はっ、はい!姫さま!」
正気に戻って落ち込んでる人に声をかけるのは、ルミエール姫の役目。彼女らしいセリフと態度だけど、ちゃんと気持ちに寄り添ってるようにわたしには見える。
ルミエール姫だって、辛い気持ちをたくさん持ってるのに。それを隠して胸を張る姿に、わたしも勇気をもらえるんだ。
「あれだ!見えたぞ魔女の城!」
パタパタと忙しなく羽根を羽ばたかせながら、ソララが指を指す。そびえ立つ崖の上に小さく見える、禍々しいオーラの城。
「た、たぶん近くで見ると大きいんだろうね…」
「もうなんなのよ!わたくしの美しい脚が取れてしまいそうだわ!」
文句を言いながも、ルミエール姫は歩くことをやめない。
「これ、登るしかないよね」
「大丈夫か、メイ」
「ちょっとソル!どうしてわたくしの心配はしないのよ!」
「それだけ口が動けば大丈夫だろ」
「なんですって!?」
ダンダン!と地団駄を踏みながら、ルミエール姫が思いっきりソルを睨みつけた。
「足取れそうなんじゃないのかよ!」
「ダメよソララ!姫さまだって大変なんだから!」
「ちょっとメイ、妖精たちがわたくしに失礼なことを言っている気がするわ」
「あ、アハハ…」
だから、聞こえてないのに鋭すぎるよ!
「光の女神よ、負の糸をたち切れ!」
「うわわぁぁっ!!」
魔獣はソルに任せて、わたしは感情を操られた人たちを、ラランとソララの力を借りながら正気に戻すことに専念する。
「ルミエール姫さま、本当にありがとうございます!魔女の討伐に行かれたというウワサは本当だったのですね!」
「違うわ、ルミエールはわたくしよ!」
髪を切ってもわたしと姫はソックリだから、助けた人たちはわたしのことをルミエールだと勘違いする。
その度にルミエール姫が全力で否定するから、みんな混乱してる。
この世界を救いたいって気持ちは変わらないんだから、勘違いされたままでもいいとわたしは思うけど、ルミエール姫はそうは思ってないみたい。
変なところで律儀というか、プライドもあるのかもしれない。最初わたしを身代わりにしようとしてたあの姫からは、とても考えられない。
「今後はよく考えて生きることね!魔女に操られてしまう負の感情なんて、捨ててしまいなさい!」
「はっ、はい!姫さま!」
正気に戻って落ち込んでる人に声をかけるのは、ルミエール姫の役目。彼女らしいセリフと態度だけど、ちゃんと気持ちに寄り添ってるようにわたしには見える。
ルミエール姫だって、辛い気持ちをたくさん持ってるのに。それを隠して胸を張る姿に、わたしも勇気をもらえるんだ。
「あれだ!見えたぞ魔女の城!」
パタパタと忙しなく羽根を羽ばたかせながら、ソララが指を指す。そびえ立つ崖の上に小さく見える、禍々しいオーラの城。
「た、たぶん近くで見ると大きいんだろうね…」
「もうなんなのよ!わたくしの美しい脚が取れてしまいそうだわ!」
文句を言いながも、ルミエール姫は歩くことをやめない。
「これ、登るしかないよね」
「大丈夫か、メイ」
「ちょっとソル!どうしてわたくしの心配はしないのよ!」
「それだけ口が動けば大丈夫だろ」
「なんですって!?」
ダンダン!と地団駄を踏みながら、ルミエール姫が思いっきりソルを睨みつけた。
「足取れそうなんじゃないのかよ!」
「ダメよソララ!姫さまだって大変なんだから!」
「ちょっとメイ、妖精たちがわたくしに失礼なことを言っている気がするわ」
「あ、アハハ…」
だから、聞こえてないのに鋭すぎるよ!
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