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第二章 宮藤喜左衛門
第022話 鉈
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「小助様、せわれた通り持ってきたど」
「これは有難い。さ、それをわしに寄越せ。礼はたっぷりするからな」
「おらは礼が欲しくてやってるんでねえ。小助様が娘様に会えねえってのがもうらしいから手伝ってるまでだ」
「おおそうであったな。本当におぬしのお陰で娘に会えるというものだ。感謝をしてもしきれぬぞ」
目頭を拭ってそう言った後、早くのこぎりを渡すよう小助は促した。
それを受け取るや否や格子を斬り落とし、人が一人通れる隙間を拵えると、身体をねじって、見事をそこを通り抜けた。
「小助様やったなあ」
「ああ本当におぬしのお陰だ。わしはこれから急ぎ松代へ行き、里へ返した妻に金のありかを告げてくる。娘に会ったその後は、金を持参してここへ戻って来るからな。おぬしも百両の金があれば、江戸で一生遊んで暮らせるぞ。吉原で遊女を買うのもいいかもしれんな」
「いやあありがとござんした。おらも小助様にしこたま礼をせわねばならねえ」
「ところで和市、脇差か鉈を持ってきてくれたか?あれがないと道中が不安での。金を持っていると賊に狙われるかもわからん」
「へえせわれた通り鉈を持ってきたど。脇差はさすがにおらには手に入らんだで」
「いや鉈でけっこう。おぬしを殺るにはこれで十分だ」
「へっ?」
小助は鉈を受け取ると、真っすぐ、和市の脳天めがけて振り下ろした。
「これは有難い。さ、それをわしに寄越せ。礼はたっぷりするからな」
「おらは礼が欲しくてやってるんでねえ。小助様が娘様に会えねえってのがもうらしいから手伝ってるまでだ」
「おおそうであったな。本当におぬしのお陰で娘に会えるというものだ。感謝をしてもしきれぬぞ」
目頭を拭ってそう言った後、早くのこぎりを渡すよう小助は促した。
それを受け取るや否や格子を斬り落とし、人が一人通れる隙間を拵えると、身体をねじって、見事をそこを通り抜けた。
「小助様やったなあ」
「ああ本当におぬしのお陰だ。わしはこれから急ぎ松代へ行き、里へ返した妻に金のありかを告げてくる。娘に会ったその後は、金を持参してここへ戻って来るからな。おぬしも百両の金があれば、江戸で一生遊んで暮らせるぞ。吉原で遊女を買うのもいいかもしれんな」
「いやあありがとござんした。おらも小助様にしこたま礼をせわねばならねえ」
「ところで和市、脇差か鉈を持ってきてくれたか?あれがないと道中が不安での。金を持っていると賊に狙われるかもわからん」
「へえせわれた通り鉈を持ってきたど。脇差はさすがにおらには手に入らんだで」
「いや鉈でけっこう。おぬしを殺るにはこれで十分だ」
「へっ?」
小助は鉈を受け取ると、真っすぐ、和市の脳天めがけて振り下ろした。
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