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林直人の話
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近頃、気になっているある高校生の男の子がいる。
それを幼馴染でもある秘書に話すと、信じられないようなものを見る目で、これ以上犯罪を犯さないでくれと釘を刺された。
分かってないなぁと言うと、分かってないのは貴方の方ですと返される。
本当に分かっていない。今までとは違うんだよ。可愛くて可愛くて可愛くて握りつぶしたくなるような子なんだ。
その子を見つけたのは会社から自宅絵帰る途中、車を走らせている時だった。
信号待ちの時間に何気なく歩道を見ていると、1人で歩いている男の子がいた。
線の細い身体付きで、サラサラの黒い髪、ぷっくりとした唇、制服を着ているにも関わらず漂い出る色香に思わず釘付けになった。
迷わず近くのパーキングエリアに車を止め、男の子を追いかける。
暫くついて歩いていると、その男の子に話しかける高校生のカップルがいた。
同じ制服を着ていることから、同じ高校の生徒なのだろう。
話しかけられた瞬間、男の子の頬にはほんのりと赤みが差し笑顔が浮かぶ。
だが、カップルが繋いでいる手を見た瞬間その表情が幾分か暗くなった。
じっくりと観察していないと気づかないような変化だが、確実に変わった表情にカップルのうちのどちらかが好きなのか、それとも恋人がいる友人への嫉妬かと推測をする。
そこから暫くは3人で歩いていたが、どうやらカップルの女の方の友達が合流し、そのまま女は違う方へ歩いて行った。
男の子の声を聞く為、怪しまれない程度に近づく。
すると、男の子と男の会話を聴くことができた。
「こんな風に2人で帰るのって久しぶりだよね」
「そーだよな、俺に彼女できてからずっと別だったもんな」
「彼女とはいい感じ?」
「あー、まぁまぁかな」
「ふーん、そっか、、幸せそうで羨ましいわ」
「大翔も早く作れよ。あ、てか電車やばくね?走ろうぜ」
そのまま2人は走って駅へ行ってしまい、その後の会話は聞くことができなかった。
だが、男の子の名前が大翔で電車通学なこと、男に恋をしていることが視線の熱さや表情からありありと分かった。
思わず笑みが漏れる。男に恋をしているなら俺のものになるのもそう遅くはないかもしれないな、、、
その後、毎日大翔の跡をつけ、高校名や乗っている電車、最寄駅から朝の通学時刻まで把握する事に成功した。
また、大翔が想う男が幼馴染であることも分かり、心を掴むのは長丁場になるかもしれないと自分の予想が外れたことを悔しがった。
大翔を知って約1ヶ月が経った日、いつものように下校中の大翔を眺めていると急に立ち止まってしまった。
どうしたのかと呆然と立ちすくむ視線の先を見ると、大翔の想い人である幼馴染が女と腕を組んで笑いながら歩いていた。
「どうして僕は女の子じゃないんだ、」
そう大翔は呟くと、反対を向きこちらに向かって歩いてきた。
大翔の顔を見ようと視線を移すと、涙を滲ませ喪失と絶望が混ざったような表情を浮かべていた。
その顔を見た時、時が止まったように目が離せなくなった。
自分だけが隔離されたように体が動かなくなる。
ばくばくと心臓が揺れ体温が上がるのが自分でも分かった。
気づくと大翔も女と腕を組んだ男もいなくなっており、ずっと立ち止まっている俺は通行人に不審な目で見られていた。
その日から私は大翔を毎日のように追いかけるのをやめ、その代わりに大翔を本格的に手に入れるための計画を考え始めた。
今でも脳裏に浮かべるとドキドキしてくる、あの絶望の表情を自分の手でさせたい。
最初は大翔の心を手に入れたいと思っていた私だが、今ではそう思うようになった。
その為には身体から堕とすのもありだなぁと計画を考えながら笑みを溢した。
こんなにも強く人を想って行動をしたことがない。
私は今初めての恋というものをしているのかもしれない。
それを幼馴染でもある秘書に話すと、信じられないようなものを見る目で、これ以上犯罪を犯さないでくれと釘を刺された。
分かってないなぁと言うと、分かってないのは貴方の方ですと返される。
本当に分かっていない。今までとは違うんだよ。可愛くて可愛くて可愛くて握りつぶしたくなるような子なんだ。
その子を見つけたのは会社から自宅絵帰る途中、車を走らせている時だった。
信号待ちの時間に何気なく歩道を見ていると、1人で歩いている男の子がいた。
線の細い身体付きで、サラサラの黒い髪、ぷっくりとした唇、制服を着ているにも関わらず漂い出る色香に思わず釘付けになった。
迷わず近くのパーキングエリアに車を止め、男の子を追いかける。
暫くついて歩いていると、その男の子に話しかける高校生のカップルがいた。
同じ制服を着ていることから、同じ高校の生徒なのだろう。
話しかけられた瞬間、男の子の頬にはほんのりと赤みが差し笑顔が浮かぶ。
だが、カップルが繋いでいる手を見た瞬間その表情が幾分か暗くなった。
じっくりと観察していないと気づかないような変化だが、確実に変わった表情にカップルのうちのどちらかが好きなのか、それとも恋人がいる友人への嫉妬かと推測をする。
そこから暫くは3人で歩いていたが、どうやらカップルの女の方の友達が合流し、そのまま女は違う方へ歩いて行った。
男の子の声を聞く為、怪しまれない程度に近づく。
すると、男の子と男の会話を聴くことができた。
「こんな風に2人で帰るのって久しぶりだよね」
「そーだよな、俺に彼女できてからずっと別だったもんな」
「彼女とはいい感じ?」
「あー、まぁまぁかな」
「ふーん、そっか、、幸せそうで羨ましいわ」
「大翔も早く作れよ。あ、てか電車やばくね?走ろうぜ」
そのまま2人は走って駅へ行ってしまい、その後の会話は聞くことができなかった。
だが、男の子の名前が大翔で電車通学なこと、男に恋をしていることが視線の熱さや表情からありありと分かった。
思わず笑みが漏れる。男に恋をしているなら俺のものになるのもそう遅くはないかもしれないな、、、
その後、毎日大翔の跡をつけ、高校名や乗っている電車、最寄駅から朝の通学時刻まで把握する事に成功した。
また、大翔が想う男が幼馴染であることも分かり、心を掴むのは長丁場になるかもしれないと自分の予想が外れたことを悔しがった。
大翔を知って約1ヶ月が経った日、いつものように下校中の大翔を眺めていると急に立ち止まってしまった。
どうしたのかと呆然と立ちすくむ視線の先を見ると、大翔の想い人である幼馴染が女と腕を組んで笑いながら歩いていた。
「どうして僕は女の子じゃないんだ、」
そう大翔は呟くと、反対を向きこちらに向かって歩いてきた。
大翔の顔を見ようと視線を移すと、涙を滲ませ喪失と絶望が混ざったような表情を浮かべていた。
その顔を見た時、時が止まったように目が離せなくなった。
自分だけが隔離されたように体が動かなくなる。
ばくばくと心臓が揺れ体温が上がるのが自分でも分かった。
気づくと大翔も女と腕を組んだ男もいなくなっており、ずっと立ち止まっている俺は通行人に不審な目で見られていた。
その日から私は大翔を毎日のように追いかけるのをやめ、その代わりに大翔を本格的に手に入れるための計画を考え始めた。
今でも脳裏に浮かべるとドキドキしてくる、あの絶望の表情を自分の手でさせたい。
最初は大翔の心を手に入れたいと思っていた私だが、今ではそう思うようになった。
その為には身体から堕とすのもありだなぁと計画を考えながら笑みを溢した。
こんなにも強く人を想って行動をしたことがない。
私は今初めての恋というものをしているのかもしれない。
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