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6章
第53話 最近何かと噂の森で
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俺とエクレアは冒険者活動を続けていた。
相変わらずモンスターを狩りまくっている。
「せーのっ!」
エクレアが太陽の聖剣を叩きつけた。
襲って来たゴブリンを切り裂くと、続けざまに《黄昏の陽射し》で攻撃を拡張する。
「せーのっ!」
光を熱に変換する、エクレアお得意の《黄昏の陽射し》を食らったゴブリンは次々に倒れていく。
その光景を見ていた仲間のゴブリンたちは、3匹まとまって仕掛ける。
手に持った棍棒や石斧を振り回してエクレアを襲おうと画策するが、エクレアの圧倒的なポテンシャルと身体能力の凄みに容易く裏を取られ、魔法無しでやられてしまった。
「せーのっ!」
太陽の聖剣をぶん回し、ゴブリンたちを次々魔石に変えていく。
俺はエクレアが頑張っている裏でひそひそとゴブリンが残した魔石を回収して袋の中に入れていた。
「エクレア、その調子でいいぞ」
「うん。まだまだ調子あげていくよ!」
「それからせーのっ! ばっかりじゃつまらん。もう少し何か言え」
「何か言えって何を! でも、そうだね。うーん、じゃあどっこいしょー!」
「いや、同じだろ」
俺のツッコミは全く冴えなかった。
けれどエクレアの攻撃は冴え渡っていて、いつも以上に機敏で鋭かった。
太陽の聖剣も生き生きしているのか、エクレアの動きに合わせて的確に敵を切り続けている。
「これで最後だねっ!」
エクレアはやって来た20匹近いゴブリンの群れを難なく倒してしまった。
おまけに逃げようとするゴブリンたちも、本当は俺が倒す予定だったが、エクレアが追いかけて魔石だけ回収して戻ってくる。
ゴブリンたちには相当な恐怖心が募っていることだろう。
けれど優しいはずのエクレアはけろっとした様子で、剣を振り回していた。
「どうしたんだエクレア。らしくないぞ」
「そうかな? もしかしたら最近体が鈍っていたせいかも。だから動きたいんだよね」
「そんなものなのか?」
「そんなものだよ。だから気・に・し・な・い・で・ねっ!」
エクレアの笑みが不気味で怖かった。
普段から動じないはずの俺は全身に剣に加えて銃口を突きつけられているような威圧感を感じる。
けれどエクレアがたまに見せる雰囲気を比べればまだ可愛いものだった。
息が詰まるような感覚はしないからだ。
「さてと、それじゃあ帰りたいんだけどね」
「どうしたエクレア?」
「何だかおかしくない? 前来た時って、この森ももう少し賑やかだったよね?」
「そうだったか? 俺は覚えていないな」
「そんなぁー! 前もカイ君1人で狩りに来たって言ってたでしょ? 私だって狩りに来てるけど、こんなに寂しくなかったよ!」
確かに言われてみればそんな気もしなくもない。
ここにはよくゴブリンを狩りに来ていた。
最近もむしゃくしゃすることがあると、いち早く冒険者ギルドでゴブリン討伐の依頼を引き受けていた。
その度にゴブリンの素材ばかり集まるので正直飽き飽きしている。
「まさか、俺たちが狩り過ぎたのか?」
「どうかな? ゴブリンは数が多いから、私たちが狩ったところで村内数は減らないと思うけど」
「まさか何かの前触れか?」
「そうかもね。怪物隊列とか……」
「フラグを立てるな。全力で折れ」
「ご、ごめん……私なら倒せるけど……」
エクレアが小言を吐いていた。
とは言え、俺が気にしても仕方ない。
それにエクレアが何を言ったか気にしても仕方ないし、仮にどんな強敵でも余裕だろう。
「だがこの森の静けさにも何かあるはずだ。もしかしたら何かの前触れかもしれないな」
「あはは、カイ君も面白いことを言うね。何かの予感?」
「さあな。俺はお前の発言の方が気になるぞ」
「またお前って言った!」
「悪い、いつものお前だったな」
「謝ってない! それじゃあ私が変な子みたいでしょ!」
「いや、変な子だろ」
「酷い! 気にしないけどね」
エクレアはいつもの超ポジティブシンキングで乗り切った。
するとまたしてもゴブリンが現れ、俺はベルトからナイフを取り出してゴブリンの眉間に投げつける。
「まあ、余裕だな」
「そうだね。余裕余裕!」
俺が振り返ると、エクレアがゴブリンの大群を瞬く間に倒してしまっていた。
いつも以上に好調な様子で、エクレアの《黄昏の陽射し》が太陽の聖剣に相まってすさまじい効力を発揮してくれたのだろう。
肩の凝りも取れて快調だった。
「お前凄いな。やっぱりモンスター討伐している時の方が性に合っているんじゃないのか?」
「そうかも。でも私お店やってるときとか旅している時も楽しいよ」
「それならいいが……全くこの森はどうなっているんだ。こんなにゴブリンいなかっただろ。しかもお前にばっかり……」
「もしかして私が女の子だからかな?」
ゴブリンは確かに女を狙う。だがこれだけ圧倒的なら諦めればいいのにと、俺は考えてしまった。
相変わらずモンスターを狩りまくっている。
「せーのっ!」
エクレアが太陽の聖剣を叩きつけた。
襲って来たゴブリンを切り裂くと、続けざまに《黄昏の陽射し》で攻撃を拡張する。
「せーのっ!」
光を熱に変換する、エクレアお得意の《黄昏の陽射し》を食らったゴブリンは次々に倒れていく。
その光景を見ていた仲間のゴブリンたちは、3匹まとまって仕掛ける。
手に持った棍棒や石斧を振り回してエクレアを襲おうと画策するが、エクレアの圧倒的なポテンシャルと身体能力の凄みに容易く裏を取られ、魔法無しでやられてしまった。
「せーのっ!」
太陽の聖剣をぶん回し、ゴブリンたちを次々魔石に変えていく。
俺はエクレアが頑張っている裏でひそひそとゴブリンが残した魔石を回収して袋の中に入れていた。
「エクレア、その調子でいいぞ」
「うん。まだまだ調子あげていくよ!」
「それからせーのっ! ばっかりじゃつまらん。もう少し何か言え」
「何か言えって何を! でも、そうだね。うーん、じゃあどっこいしょー!」
「いや、同じだろ」
俺のツッコミは全く冴えなかった。
けれどエクレアの攻撃は冴え渡っていて、いつも以上に機敏で鋭かった。
太陽の聖剣も生き生きしているのか、エクレアの動きに合わせて的確に敵を切り続けている。
「これで最後だねっ!」
エクレアはやって来た20匹近いゴブリンの群れを難なく倒してしまった。
おまけに逃げようとするゴブリンたちも、本当は俺が倒す予定だったが、エクレアが追いかけて魔石だけ回収して戻ってくる。
ゴブリンたちには相当な恐怖心が募っていることだろう。
けれど優しいはずのエクレアはけろっとした様子で、剣を振り回していた。
「どうしたんだエクレア。らしくないぞ」
「そうかな? もしかしたら最近体が鈍っていたせいかも。だから動きたいんだよね」
「そんなものなのか?」
「そんなものだよ。だから気・に・し・な・い・で・ねっ!」
エクレアの笑みが不気味で怖かった。
普段から動じないはずの俺は全身に剣に加えて銃口を突きつけられているような威圧感を感じる。
けれどエクレアがたまに見せる雰囲気を比べればまだ可愛いものだった。
息が詰まるような感覚はしないからだ。
「さてと、それじゃあ帰りたいんだけどね」
「どうしたエクレア?」
「何だかおかしくない? 前来た時って、この森ももう少し賑やかだったよね?」
「そうだったか? 俺は覚えていないな」
「そんなぁー! 前もカイ君1人で狩りに来たって言ってたでしょ? 私だって狩りに来てるけど、こんなに寂しくなかったよ!」
確かに言われてみればそんな気もしなくもない。
ここにはよくゴブリンを狩りに来ていた。
最近もむしゃくしゃすることがあると、いち早く冒険者ギルドでゴブリン討伐の依頼を引き受けていた。
その度にゴブリンの素材ばかり集まるので正直飽き飽きしている。
「まさか、俺たちが狩り過ぎたのか?」
「どうかな? ゴブリンは数が多いから、私たちが狩ったところで村内数は減らないと思うけど」
「まさか何かの前触れか?」
「そうかもね。怪物隊列とか……」
「フラグを立てるな。全力で折れ」
「ご、ごめん……私なら倒せるけど……」
エクレアが小言を吐いていた。
とは言え、俺が気にしても仕方ない。
それにエクレアが何を言ったか気にしても仕方ないし、仮にどんな強敵でも余裕だろう。
「だがこの森の静けさにも何かあるはずだ。もしかしたら何かの前触れかもしれないな」
「あはは、カイ君も面白いことを言うね。何かの予感?」
「さあな。俺はお前の発言の方が気になるぞ」
「またお前って言った!」
「悪い、いつものお前だったな」
「謝ってない! それじゃあ私が変な子みたいでしょ!」
「いや、変な子だろ」
「酷い! 気にしないけどね」
エクレアはいつもの超ポジティブシンキングで乗り切った。
するとまたしてもゴブリンが現れ、俺はベルトからナイフを取り出してゴブリンの眉間に投げつける。
「まあ、余裕だな」
「そうだね。余裕余裕!」
俺が振り返ると、エクレアがゴブリンの大群を瞬く間に倒してしまっていた。
いつも以上に好調な様子で、エクレアの《黄昏の陽射し》が太陽の聖剣に相まってすさまじい効力を発揮してくれたのだろう。
肩の凝りも取れて快調だった。
「お前凄いな。やっぱりモンスター討伐している時の方が性に合っているんじゃないのか?」
「そうかも。でも私お店やってるときとか旅している時も楽しいよ」
「それならいいが……全くこの森はどうなっているんだ。こんなにゴブリンいなかっただろ。しかもお前にばっかり……」
「もしかして私が女の子だからかな?」
ゴブリンは確かに女を狙う。だがこれだけ圧倒的なら諦めればいいのにと、俺は考えてしまった。
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