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3章
第29話 フレイム=バーナー
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俺は完成させた炎の剣をひっさげ、エクレアの前に躍り出る。
しかし盾役ではない。本気で切り刻む風切り音が空気を振動させた。
ファフニールの攻撃がまるでカスのように、俺の攻撃は止められない。
「全力で切り刻むぜ。もう一段上げるか」
俺の握る剣は最高だ。炎が高ぶり、剣身が赤く変色する。
高熱に踊らされ、剣身の硬度が増す。だけどそのためには一瞬の間が必要になる。
何故ならこの剣は段階式に変化する。高温は高熱の刃になり、全てを溶かしてしまうからだ。
「フレアありがとう。それからエクレア。おかげで完成したんだ。超が付くほどピーキーだけど」
俺の使う剣はフレアから貰った火炎石と呼ばれる魔鉱石でできている。
シンプルな名前故に誤解されがちだが、かなり珍しく魔力も多分に含まれる。
それがこの魔鉱石のもたらす力だ。
けれどその高温に耐えうる基が必要になる。
エクレアのクレタ鉄鋼刃がまさに適していた。
そこにエクレアの動きを参考に編み出された剣だ。弱いはずがない。
デザインは少し歪で、よくわからないパイプとガチャガチャできるシフトが付いている。
溜め込んだ魔力を吸収し吐き出す。この剣はまさしくバーナー。そう、この剣の名前は……
「フレイム=バーナー。さぁ、二段階目に移行しようか」
俺はシフトを一回ガチャンとした。
するとパイプから煙が噴き上がり、剣身がより一層赤くなる。全部で四段階。
高温になればなるほど消耗は激しいが、それでもこの剣は並大抵のことをしても壊れない。全力で叩きつける。
グルヴァァァァァァァァァァァァァァァッ!
「怒っているね。でもそれぐらいで止めない」
ファフニールは絶叫した。俺に威圧でもしているのか。馬鹿げている。
そんなことで怯むわけでもなく、俺はファフニールの左脚に剣を叩きつける。
高熱でジリジリと音を立て、ファフニールが悲鳴を上げた。俺の耳には入らない。
「そらぁそらぁそらぁそらぁ!」
ファフニールの金が剥がれ落ちていく。俺の剣の連続切りに耐えられないんだろう。
だけどそれだけこの剣が凄いわけだ。俺の無茶な動きにも的確に付いて来てくれる。
ファフニールの攻撃を避けることはなく、俺は真っ向から迎え撃つ。
グルガァァァァァァァァァァァァァァァ!
「叫んでも無駄だ」
俺はファフニールの長い尻尾を切断した。
再び絶叫が轟き、俺の耳を直につんざいたのだが不敵な笑みを浮かべてしまう。
ファフニールの背中を引き裂き、頭までやっていると俺はファフニールに聞いた。
「聞こえているんだろ金ピカ。これで最後だ。喋らないモンスターだ。悪いとは思うが、一つ聞くぞ」
その時の俺はもはや……
「俺を敵に回したことを後悔しろ」
ぐさりと俺はファフニールの頭に剣を突き立てた。
あまりにグロい。だがその後は残ることなく、大きめの魔石に変わった。
どうやら勝ったらしい。手応えはいつも以上にあった。しかも楽しかった。
「終わったか。それにしてもいい剣だ。ありがとな」
俺は《武器庫の空間》に剣を放り込む。
良く手に馴染んでくれて、血行が促進されていた。
それにしても今の俺の姿。完全に魔剣を振るう魔王だった。何となく絵本の中の敵を思い浮かべてしまう俺は、もしかしたら毒されているのかもしれないな。
「とは言え、まさかファフニールを倒せるなんてな。自分に掛けたハッタリも伊達じゃないのか」
正直この武器が間に合ってくれなかったら、俺もエクレアもヤバかった。
最悪逃げる手はあったが、そうなるとエクレアを置いていくことになっていた。
兎にも角にも無事に倒せてよかった。体から力が抜けてしまい、俺も少し休みたかった。
体の力を抜いて座り込むと、胡坐をかいてエクレアが起きるのを待った。
しかし盾役ではない。本気で切り刻む風切り音が空気を振動させた。
ファフニールの攻撃がまるでカスのように、俺の攻撃は止められない。
「全力で切り刻むぜ。もう一段上げるか」
俺の握る剣は最高だ。炎が高ぶり、剣身が赤く変色する。
高熱に踊らされ、剣身の硬度が増す。だけどそのためには一瞬の間が必要になる。
何故ならこの剣は段階式に変化する。高温は高熱の刃になり、全てを溶かしてしまうからだ。
「フレアありがとう。それからエクレア。おかげで完成したんだ。超が付くほどピーキーだけど」
俺の使う剣はフレアから貰った火炎石と呼ばれる魔鉱石でできている。
シンプルな名前故に誤解されがちだが、かなり珍しく魔力も多分に含まれる。
それがこの魔鉱石のもたらす力だ。
けれどその高温に耐えうる基が必要になる。
エクレアのクレタ鉄鋼刃がまさに適していた。
そこにエクレアの動きを参考に編み出された剣だ。弱いはずがない。
デザインは少し歪で、よくわからないパイプとガチャガチャできるシフトが付いている。
溜め込んだ魔力を吸収し吐き出す。この剣はまさしくバーナー。そう、この剣の名前は……
「フレイム=バーナー。さぁ、二段階目に移行しようか」
俺はシフトを一回ガチャンとした。
するとパイプから煙が噴き上がり、剣身がより一層赤くなる。全部で四段階。
高温になればなるほど消耗は激しいが、それでもこの剣は並大抵のことをしても壊れない。全力で叩きつける。
グルヴァァァァァァァァァァァァァァァッ!
「怒っているね。でもそれぐらいで止めない」
ファフニールは絶叫した。俺に威圧でもしているのか。馬鹿げている。
そんなことで怯むわけでもなく、俺はファフニールの左脚に剣を叩きつける。
高熱でジリジリと音を立て、ファフニールが悲鳴を上げた。俺の耳には入らない。
「そらぁそらぁそらぁそらぁ!」
ファフニールの金が剥がれ落ちていく。俺の剣の連続切りに耐えられないんだろう。
だけどそれだけこの剣が凄いわけだ。俺の無茶な動きにも的確に付いて来てくれる。
ファフニールの攻撃を避けることはなく、俺は真っ向から迎え撃つ。
グルガァァァァァァァァァァァァァァァ!
「叫んでも無駄だ」
俺はファフニールの長い尻尾を切断した。
再び絶叫が轟き、俺の耳を直につんざいたのだが不敵な笑みを浮かべてしまう。
ファフニールの背中を引き裂き、頭までやっていると俺はファフニールに聞いた。
「聞こえているんだろ金ピカ。これで最後だ。喋らないモンスターだ。悪いとは思うが、一つ聞くぞ」
その時の俺はもはや……
「俺を敵に回したことを後悔しろ」
ぐさりと俺はファフニールの頭に剣を突き立てた。
あまりにグロい。だがその後は残ることなく、大きめの魔石に変わった。
どうやら勝ったらしい。手応えはいつも以上にあった。しかも楽しかった。
「終わったか。それにしてもいい剣だ。ありがとな」
俺は《武器庫の空間》に剣を放り込む。
良く手に馴染んでくれて、血行が促進されていた。
それにしても今の俺の姿。完全に魔剣を振るう魔王だった。何となく絵本の中の敵を思い浮かべてしまう俺は、もしかしたら毒されているのかもしれないな。
「とは言え、まさかファフニールを倒せるなんてな。自分に掛けたハッタリも伊達じゃないのか」
正直この武器が間に合ってくれなかったら、俺もエクレアもヤバかった。
最悪逃げる手はあったが、そうなるとエクレアを置いていくことになっていた。
兎にも角にも無事に倒せてよかった。体から力が抜けてしまい、俺も少し休みたかった。
体の力を抜いて座り込むと、胡坐をかいてエクレアが起きるのを待った。
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