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3章
第27話 黄金の龍:ファフニール
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黄金の龍。略称だと黄金龍と呼ばれている。
それは体の色が黄金色に輝き、金色の姿を鎧として手に入れたようだった。
けれどその姿は完全に金でできており、金メッキではない。
実際に黄金を食うことでその姿を維持しており、口から吐くブレスは全てのものを金に変化させる。最強種の龍の一種類。
それが今、俺達の前にいる。
「マジかよ、まさかこんなところであの龍に出会えるなんてな」
「でも少し小さいよ?」
「おそらく幼体のはずだ。だがその姿に威圧感は本物だよ、アレが黄金龍ファフニール」
かつて大国を金に変貌させたとされる巨悪の龍。
圧倒的な存在感を放ち、その姿は炎には脆いが全てを金に変化させてしまう。
マジで最強。巷ではそんな風に言われている。
「とは言え巷も何もないか。何せこんなモンスター、普通相手にはしない」
「凄いね、迫力が圧倒的だよ」
「怖気づいたのか?」
「ううん、私今凄く楽しい。命が燃えて闘志が呼び起こされているのかな?」
どうやら逃げる気はないらしい。それもそうか、こんな盛り上がる展開をエクレアが見逃す恥がない。
本当は俺は逃げてもいい。何故ならこんな奴を相手にする義務はないからだ。
本当はもっと高ランク。+でもいいところだ。
幼体とは言え勝てるかどうか……いや、勝てるんだがな。俺1人でも。
「倒すんだな。それとも一撃当てて離脱か?」
「もちろん倒すに決まっているよ! こんなチャンス滅多にないんだよ?」
「そうだな。それで、策はあるのか?」
「ない! だから全力全開、全霊でぶった切る!」
エクレアは太陽の聖剣を鞘から抜いた直後に、既に魔力を溜め込んでいた。
太陽の聖剣が震えている。光に包まれて剣身が眩しい。
「おい、まさかとは思うが愚直にやる気か?」
「そうだよ。私にはこれしかないから」
「もう少し頭を使え……って聞いていないし。まあいいか、適当な所で助けてやるか」
俺は腕組をしてエクレアの奮闘を見守ることにした。
しかしあまりに単純な作戦に本当に突貫だと気が付いた。
エクレアは右手をかざすと、《黄昏の陽射し》を発動した。
「行くよ! 太陽の聖剣。私に応えてくれる?」
太陽の聖剣が《黄昏の陽射し》を受けて、剣はもっと輝く。
眩しい光はファフニールの目にも届き、目障りに思ったのかブレスを吐こうとした。
けれどエクレアの方が身のこなしが軽く、一歩先に移動した。
「せーのっ、からのも一回」
エクレアはファフニールの懐に飛び込むと、腹を引き裂いた。
ファフニールは痛みで絶叫し、間髪入れずに左翼をへし折る。これで飛ぶことはできない。逃げ道を完全に断った。
だがこれで本気を出させ、怒らせたことになる。
グルガァァァァァァァァァァァァァァァ!
涎をだらだらと垂らしながらファフニールは叫んだ。
絶叫が飛び交い、一番近い距離にいたエクレアを睨みつける。
右の前脚で踏みつけようとしたが、エクレアは身のこなしが軽く簡単に避けてしまった。無駄にバク転を決めている。本当に無駄な動きだ。パフォーマンスでしかない。
「おーい、エクレアその動きは無駄だぞ」
「いいよ。無駄な動きの方が好都合だもん」
「好都合? 馬鹿なことを言うな。お前は身のこなしが軽いんだ。しかもただでさえ目立つ。もっと小刻みにかわした方が的確だ。それとも何か? わざと攻撃を一手に引き受けるなんて真似をしているのか?」
「うわぁ、人の考えていることズバズバ当てるんだね」
「当たるのかよ……おっ、次来るな」
「嘘だ、立ち上がり早いよっ!」
エクレアは意外過ぎて目を丸くした。
それにしても楽しそうだ。本人のポテンシャルを最大限に引き出すのは良い薬になる。
これはあれだ。今調子がかなり上がっている。ボルテージが上がりアドレナリンがドパドパ。もう凄い。モチベーションが最高潮で目がキマっていた。
とは言え、ファフニールも這い出てきたのでここからが問題だ。俺も動かざるおえなくなるかもしれない。
それは体の色が黄金色に輝き、金色の姿を鎧として手に入れたようだった。
けれどその姿は完全に金でできており、金メッキではない。
実際に黄金を食うことでその姿を維持しており、口から吐くブレスは全てのものを金に変化させる。最強種の龍の一種類。
それが今、俺達の前にいる。
「マジかよ、まさかこんなところであの龍に出会えるなんてな」
「でも少し小さいよ?」
「おそらく幼体のはずだ。だがその姿に威圧感は本物だよ、アレが黄金龍ファフニール」
かつて大国を金に変貌させたとされる巨悪の龍。
圧倒的な存在感を放ち、その姿は炎には脆いが全てを金に変化させてしまう。
マジで最強。巷ではそんな風に言われている。
「とは言え巷も何もないか。何せこんなモンスター、普通相手にはしない」
「凄いね、迫力が圧倒的だよ」
「怖気づいたのか?」
「ううん、私今凄く楽しい。命が燃えて闘志が呼び起こされているのかな?」
どうやら逃げる気はないらしい。それもそうか、こんな盛り上がる展開をエクレアが見逃す恥がない。
本当は俺は逃げてもいい。何故ならこんな奴を相手にする義務はないからだ。
本当はもっと高ランク。+でもいいところだ。
幼体とは言え勝てるかどうか……いや、勝てるんだがな。俺1人でも。
「倒すんだな。それとも一撃当てて離脱か?」
「もちろん倒すに決まっているよ! こんなチャンス滅多にないんだよ?」
「そうだな。それで、策はあるのか?」
「ない! だから全力全開、全霊でぶった切る!」
エクレアは太陽の聖剣を鞘から抜いた直後に、既に魔力を溜め込んでいた。
太陽の聖剣が震えている。光に包まれて剣身が眩しい。
「おい、まさかとは思うが愚直にやる気か?」
「そうだよ。私にはこれしかないから」
「もう少し頭を使え……って聞いていないし。まあいいか、適当な所で助けてやるか」
俺は腕組をしてエクレアの奮闘を見守ることにした。
しかしあまりに単純な作戦に本当に突貫だと気が付いた。
エクレアは右手をかざすと、《黄昏の陽射し》を発動した。
「行くよ! 太陽の聖剣。私に応えてくれる?」
太陽の聖剣が《黄昏の陽射し》を受けて、剣はもっと輝く。
眩しい光はファフニールの目にも届き、目障りに思ったのかブレスを吐こうとした。
けれどエクレアの方が身のこなしが軽く、一歩先に移動した。
「せーのっ、からのも一回」
エクレアはファフニールの懐に飛び込むと、腹を引き裂いた。
ファフニールは痛みで絶叫し、間髪入れずに左翼をへし折る。これで飛ぶことはできない。逃げ道を完全に断った。
だがこれで本気を出させ、怒らせたことになる。
グルガァァァァァァァァァァァァァァァ!
涎をだらだらと垂らしながらファフニールは叫んだ。
絶叫が飛び交い、一番近い距離にいたエクレアを睨みつける。
右の前脚で踏みつけようとしたが、エクレアは身のこなしが軽く簡単に避けてしまった。無駄にバク転を決めている。本当に無駄な動きだ。パフォーマンスでしかない。
「おーい、エクレアその動きは無駄だぞ」
「いいよ。無駄な動きの方が好都合だもん」
「好都合? 馬鹿なことを言うな。お前は身のこなしが軽いんだ。しかもただでさえ目立つ。もっと小刻みにかわした方が的確だ。それとも何か? わざと攻撃を一手に引き受けるなんて真似をしているのか?」
「うわぁ、人の考えていることズバズバ当てるんだね」
「当たるのかよ……おっ、次来るな」
「嘘だ、立ち上がり早いよっ!」
エクレアは意外過ぎて目を丸くした。
それにしても楽しそうだ。本人のポテンシャルを最大限に引き出すのは良い薬になる。
これはあれだ。今調子がかなり上がっている。ボルテージが上がりアドレナリンがドパドパ。もう凄い。モチベーションが最高潮で目がキマっていた。
とは言え、ファフニールも這い出てきたのでここからが問題だ。俺も動かざるおえなくなるかもしれない。
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