オーバーリンカー/OVER-LINKER

水定ユウ

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第2章:黄昏時の獅子

■11 黄昏時の対決①

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「いや、マジかよ。まさか俺以外にいたなんてな」
「そう、みたいですね」

 私は軽く話に乗った。
 でも本当にいたなんてな思わなかった。もしかして……

「アルルが感じてたのって、〈レオネス〉だったの?」
「うん。多分」
「そうか。お主も同様と言うわけか」
「そうみたいだね。それじゃあよろしくねレオネス」
「うむ」

 如何やら早速アルルとレオネスは仲良くなったみたいだ。私もレオさんと仲良くなりたい。

「ねえレオさん」
「レオでいいぜ。見たところ、同い年だろ」
「じゃあレオ。対戦する?」
「おう!そうこなくっちゃな。いやー、最近この公園で対戦相手見つけようにも全然相手してくんなくてよ」
「じゃあもしかしてだけど、最近噂になってた獅子って」
「ん?なんだよそれ」
「えっ、知らないの!?」

 私は最近噂になっていることをレオに話した。
 私もそんなに詳しくはないのでかいつまんでだけど、それを聞いたレオは苦い顔をしていた。

「マジ?」
「うん。私の友達はそう言ってたよ」

 私も渋々同意する。
 するとレオは落胆した。

「いやーマジかよ。通りで」
「うん」
「まあいいや。彩葉は俺のこと、怖くないんだろ?」
「えっ!?」
「まあそんな噂聞いちまったら最初は怖がるだろうけどな。今はどうよ」
「今?すっごく話しやすいよ」
「そっか。じゃあ、いいや。そんなことより、対戦しようぜ!」
「うん!」

 レオはかなりノリが良かった。と言うか楽観的だった。
 本当に美咲ちゃんっぽい。
 でもプレイシートも持ってきてないのに、カードが傷ついちゃうかも。

「ではレオよ。行くか」
「そうだな」
「行くってどこに?」
「決まってんだろ。対戦空間バトルフィールドだっうの」
対戦空間バトルフィールド?」

 私は首を傾げた。
 しかしそんな私にアルルが教えてくれる。

「彩葉、対戦空間っていうのはね、私達みたいな喋るカードを持ってる人だけが入れる特別な空間なんだよ」
「えっ?」
「時間とか場所とか、そんな縛りもないんだ。だから安心して遊べるよ!」
「凄いね。それ」
「うんうん。じゃあ行こ!」
「うん!」

 私はちょっぴり興奮していた。
 それを見たレオもニカッと笑った。

「じゃあ行こうぜ。展開!」

 レオが〈レオネス〉を前に突き出して叫んだ。
 すると私とレオを眩い閃光が包み込む。一瞬目を閉じた私。気がつくと、私とレオは不思議な空間にいた。
 真っ暗な世界。
 雑音も聞こえてこない。

「ここは……」
「驚いただろ。まあ俺も初めて入ったけどな」
「そうなんだ」
「おう!」

 レオは短く首を縦に振る。
 それにしても不思議な場所だ。行ったことはないけど、宇宙みたい。

「凄いね、アルル!」
「まだまだ。こんなもんじゃないよ!ねっ、レオネス」
「左様。これを見ろ」
「これを見ろって……えっ!?」

 そこに映し出されたのは外の景色だった。
 しかしそこに私達の姿はない。これって一体何が起こっているの?

「私達がいた場所の空間を切り取って、そのまま見せてるんだよ!」
「ホログラムってこと?」
「それはよくわかんないけど、とにかく外の景色を映してるんだって!」

 アルルの説明はえらくざっくりしていた。
 だけどまあ何となく理解はした。
 そんなことをしている間にもレオは対戦がしたくてウズウズしている。

「そんなことより早くやろうぜ!」
「あっ、うん!」

 レオに急かされる形で、私は対戦の準備を始めた。
 しかしレオとの距離は離れてるし、これじゃあシャッフルとか出来ないんじゃないかな?それにプレイシートやマットもない。

「彩葉、下見て」
「下?って、なにコレ」

 アルルに言われるがまま私が下に視線を向けると、そこにあったのは透明な板だった。
 しかもただの板ではない。オーバーリンカーのプレイシートに描かれているものと同じ枠がしてある。もしかしてコレが?

「ほらほらデッキ置いて!」
「う、うん」

 私はデッキをプレイシートの上に置いた。
 するとデッキが淡く光り出す。そして自動的にシャッフルされたみたいだ。

「これでいいのかな?」
「うん。自動的にシャッフルされたみたいだよ」
「そうなんだ。でもなんでこんなことができるんだろ」
「それはね、ここが私達のいた世界と彩葉達の住む世界とのちょうど中間に位置するからだよ」
「えっ?」

 アルルの説明はそんなだった。
 私の頭で考えると、つまり私達の住んでる世界とアルル達ユニオンの世界。この二つがちょうど交わる空間に穴を空けた。そんな感じかもしれない。うーん、自分で言っててよくわからん。

「わかんない……」
「彩葉!そんなこと後回しだ。とっととやろうぜ!」
「そ、そうだよね。ごめんレオ!」
「気にすんなって。じゃあ行くぞ!」
「うん!」

 私はレオは揃えて叫ぶ。

「「Let's OVER LINKER」」
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