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第1章:それは始まりの夢
■3 カードショップに行ってみます
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ガチャ
自室に篭り、私は部屋の鍵を掛けた。
完全に個室となった空間で私は一息ついた。今さっき起きたことがもしかしたら幻覚か何かで、私はただ単純に疲れているだけ。だからさっき私の身に起きたことは嘘っぱち。単なる夢。そう思い込むことにした。
だけどカード中の女の子はキョロキョロしていて私に語りかけてくる。何だろ。今思うと、こう言う展開とか何かのアニメか漫画で読んだことがあるような内容な……
「ねえねえ彩葉!」
「やっぱり喋ってる」
「やっぱりってなに!」
アルルは否定して怒鳴った。
力強い。はっきりとした言葉と力強い眼。この子は本当になんなんだろう。
「ねえアルル、聞いてもいい?」
「なに彩葉!」
「貴女は誰でどこから来たの?まさか異世界とかそんなベタな展開じゃないよね?」
「うーん……よく覚えてないし、異世界かどうかはわかんないけど、私は確かユニオン達の世界から来たよ」
「ユニオン達の世界?」
「うん。ユニオンって言うのはね、その世界に住んでる生き物のことだよ!」
「生き物」
「うん!」
ハキハキ、シャキシャキと元気よく答えるアルル。
ただまあ私の頭の中はアルルの言う奇想天外な答えにてんやわんやでグルグルしていた。だからぜーんぜん話がまとまってこなかったけど、要するにアルルは別の世界からやって来た。と言うとになる。えっ!?別の世界って!
「ちょっと待ってよ。オーバーリンカーってただのカードゲームでしょ?」
「そんなの知らないよ。それよりそんな細かいことよりもさ、対戦しに行こ!」
「えっ、対戦!」
「うん!」
アルルはなにを言っているんだろ。
そもそも私、オーバーリンカーなんてやったことないもん。ルールもさっきちょびっとだけ説明書読んだだけでまださっぱり。そんな私が対戦なんてとても。
「大丈夫だって。だって彩葉には私が付いてるんだから!」
「いや、そんなこと言われても。ってもうこんな時間、学校行かないと」
「ねえねえ彩葉!」
「わかったから。わかったから、もう。じゃあ学校が終わったらカードショップ行ってみよ。確かこの近くに〈オリオン〉って言うカードショップがあるはずだから、そこに行ったらなにかわかるかも」
「やったー!」
(はぁ、もう一体どうなってるの!)
私はフッと息を吐いた。
溜息にも似たそれはこれから会う人との出会いを予見していたのかもしれない。
◇◇◇
学校が終わり放課後。
私は制服姿で駅近くのカードショップにやって来ていた。
雑居ビルの中。その五階に位置しているのが私の目指すカードショップ〈オリオン〉だった。
「この中……」
私は独り言を吐く。
正直こんなところに来るのは今日が初めてだ。今まで私はこのカードゲームにあんまり興味がなかったし、ちょっと乗り遅れてしまった面もあってクラスではこの話題に関しては浮いていた。まあだからと言って私が他の人から避けられているとかそんなわけでもない。一番仲の良い昔からの親友はこの話題の顔役だったからだ。
正直このお店も、彼女から聞いていた節があるので一概に悪いとは言えなかった。
「行くか」
「おー!」
ノリノリのアルル。
そんな彼女を睨むようにチラ見してから私はビルの中に入ろうとした。
だけどそんな時、おんなじようなビルの中に入ろうとしていた人と私はぶつかってしまった。
ドン!
「うわぁ!」
私は尻餅をついた。
「痛て」
「大丈夫ですか?」
「あっ、はい。なんとか」
私はぶつかってしまって人から手を差し伸べられた。
その手を掴み立ち上がる。見ればその人は顔を黒いパーカーのフードで覆い隠していてよく見えなかったけど、声色からして女性みたいだ。
パーカーの内側には何処かの高校の制服が見え隠れする。私と同じ高校生かもしれない。ただ私なんかよりも背は高くて肌の色も色白だったのが目立った。
「ぶつかってごめんなさい」
「いえ、私の方こそ。お互い注意が足りていなかったと言うことです。気になさらずに。では」
そう言い残すとビルの中に入っていった。
「ねえアルル、さっきの人良い人そうだったよね。わかんないけど」
「・・・」
「アルル?」
私はアルルにデッキケース越しに語りかける。ちな、リュックの中からは一時的に取り出してはいる。
しかしアルルは黙ったまま。不思議に思って私はアルルを見つめる。
「アルル?」
「今の人……変な気配がした」
「えっ?」
「でもちょっと違うかも。さっきの人って言うより、もう一つ……」
「うーん。意味わかんないけど、とりあえず行こ」
私はアルルの入ったデッキケースをリュックの中に戻し、雑居ビルの中に入った。
目指すは五階。そこには外からでもわかるけど、カードショップ〈オリオン〉の店構えだった。
自室に篭り、私は部屋の鍵を掛けた。
完全に個室となった空間で私は一息ついた。今さっき起きたことがもしかしたら幻覚か何かで、私はただ単純に疲れているだけ。だからさっき私の身に起きたことは嘘っぱち。単なる夢。そう思い込むことにした。
だけどカード中の女の子はキョロキョロしていて私に語りかけてくる。何だろ。今思うと、こう言う展開とか何かのアニメか漫画で読んだことがあるような内容な……
「ねえねえ彩葉!」
「やっぱり喋ってる」
「やっぱりってなに!」
アルルは否定して怒鳴った。
力強い。はっきりとした言葉と力強い眼。この子は本当になんなんだろう。
「ねえアルル、聞いてもいい?」
「なに彩葉!」
「貴女は誰でどこから来たの?まさか異世界とかそんなベタな展開じゃないよね?」
「うーん……よく覚えてないし、異世界かどうかはわかんないけど、私は確かユニオン達の世界から来たよ」
「ユニオン達の世界?」
「うん。ユニオンって言うのはね、その世界に住んでる生き物のことだよ!」
「生き物」
「うん!」
ハキハキ、シャキシャキと元気よく答えるアルル。
ただまあ私の頭の中はアルルの言う奇想天外な答えにてんやわんやでグルグルしていた。だからぜーんぜん話がまとまってこなかったけど、要するにアルルは別の世界からやって来た。と言うとになる。えっ!?別の世界って!
「ちょっと待ってよ。オーバーリンカーってただのカードゲームでしょ?」
「そんなの知らないよ。それよりそんな細かいことよりもさ、対戦しに行こ!」
「えっ、対戦!」
「うん!」
アルルはなにを言っているんだろ。
そもそも私、オーバーリンカーなんてやったことないもん。ルールもさっきちょびっとだけ説明書読んだだけでまださっぱり。そんな私が対戦なんてとても。
「大丈夫だって。だって彩葉には私が付いてるんだから!」
「いや、そんなこと言われても。ってもうこんな時間、学校行かないと」
「ねえねえ彩葉!」
「わかったから。わかったから、もう。じゃあ学校が終わったらカードショップ行ってみよ。確かこの近くに〈オリオン〉って言うカードショップがあるはずだから、そこに行ったらなにかわかるかも」
「やったー!」
(はぁ、もう一体どうなってるの!)
私はフッと息を吐いた。
溜息にも似たそれはこれから会う人との出会いを予見していたのかもしれない。
◇◇◇
学校が終わり放課後。
私は制服姿で駅近くのカードショップにやって来ていた。
雑居ビルの中。その五階に位置しているのが私の目指すカードショップ〈オリオン〉だった。
「この中……」
私は独り言を吐く。
正直こんなところに来るのは今日が初めてだ。今まで私はこのカードゲームにあんまり興味がなかったし、ちょっと乗り遅れてしまった面もあってクラスではこの話題に関しては浮いていた。まあだからと言って私が他の人から避けられているとかそんなわけでもない。一番仲の良い昔からの親友はこの話題の顔役だったからだ。
正直このお店も、彼女から聞いていた節があるので一概に悪いとは言えなかった。
「行くか」
「おー!」
ノリノリのアルル。
そんな彼女を睨むようにチラ見してから私はビルの中に入ろうとした。
だけどそんな時、おんなじようなビルの中に入ろうとしていた人と私はぶつかってしまった。
ドン!
「うわぁ!」
私は尻餅をついた。
「痛て」
「大丈夫ですか?」
「あっ、はい。なんとか」
私はぶつかってしまって人から手を差し伸べられた。
その手を掴み立ち上がる。見ればその人は顔を黒いパーカーのフードで覆い隠していてよく見えなかったけど、声色からして女性みたいだ。
パーカーの内側には何処かの高校の制服が見え隠れする。私と同じ高校生かもしれない。ただ私なんかよりも背は高くて肌の色も色白だったのが目立った。
「ぶつかってごめんなさい」
「いえ、私の方こそ。お互い注意が足りていなかったと言うことです。気になさらずに。では」
そう言い残すとビルの中に入っていった。
「ねえアルル、さっきの人良い人そうだったよね。わかんないけど」
「・・・」
「アルル?」
私はアルルにデッキケース越しに語りかける。ちな、リュックの中からは一時的に取り出してはいる。
しかしアルルは黙ったまま。不思議に思って私はアルルを見つめる。
「アルル?」
「今の人……変な気配がした」
「えっ?」
「でもちょっと違うかも。さっきの人って言うより、もう一つ……」
「うーん。意味わかんないけど、とりあえず行こ」
私はアルルの入ったデッキケースをリュックの中に戻し、雑居ビルの中に入った。
目指すは五階。そこには外からでもわかるけど、カードショップ〈オリオン〉の店構えだった。
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