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41話 変態貴族に相応の罰を

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 僕はベッドの上に寝転がり、天井を見ながら考え事をしていた。

 物思いに耽る。
 そんな時だってある。

 僕の脳裏に焼き付いていたのは、あの日の忌々しい生贄の日。
 師匠たちとの命懸けの修行。
 それから薄ら映るのは、ガンレスさんの話していた、変態貴族のことだった。

「ヘンネル伯爵。調べてみたけど、相当ヤバいやつみたいだね」

 ヘンネル伯爵。
 本名は、ドンピィード・ヘンネル。
 年齢は若干三十五歳にして、結婚歴はなし。

 二人の兄がいた中、無実の罪を着せることで自らが実権を乗っ取り、悪行の限りを尽くした。
 その行動は今も続き、国も良しとしない法外な税を村にかけ、自らの肥やしにしていると言う。

 さらには誘拐などもざらに行い、気に入ったものは手に入れなければ気が済まないとか。
 その上取り締まりに行った騎士たちはその後行方しれずとなり、噂によればヘンネル伯爵は悪魔と契約して、既に魂はなく、生きた屍として、強欲の限りを尽くしているとかいないとか。

 何一つわかっていないのが、現状で、そもそもその存在自体が悪である。
 大柄で肥満体型。
 魔法の使い手でもなく、そこにいるだけの存在。

 僕は腹が立った。
 許せない悪意。それが込み上げてくるのがわかると、どうしても怒りのあまり、ペンを取った。

「ガンレスさんの言っていたことが本当だったら、きっと今頃攫われた子たちは……最低だ」

 僕は嫌な予感が頭によぎった。
 仮に悪魔だろうが、なんだろうが、僕なら真っ先に蹴りをつけるね。

 きっと師匠たちもそうするはず。
 そんな時、

「天月君、手紙が届いてるわよ」
「手紙ですか?」

 ルビーさんが、僕の部屋に手紙を届けにきてくれた。
 誰からだろうと受け取ると、師匠たち。
 送り主はリュウラン師匠で、封のところには、お決まりの竜の紋章が施されていた。

「リュウラン師匠から、なんだろ?」

 僕は気になって、封を素早く開ける。
 すると読みやすくて、ちょっと丸っこい字で、リュウラン師匠の文字が綴られていた。

 その内容は、この間のリーファさんのこと。
 それから材料が役になってよかったとのこと。
 加えて、今度は魔法都市に向かうと言うこと。

 それらを伝えた後、最後の一文。
 僕は目を丸めた。

「フランタラという村に立ち寄る予定です? えっ、それって!」

 僕ははっとなった。
 なぜならそこは、ヘンネル伯爵の治める領地。しかも、変ネル伯爵の居住区まで設けられているとか、それを加味すれば、もしかしたら間に合うかもしれない。

 たとえそれが、どんな結果になろうと、

「リュウラン師匠、間に合ってください。リュウラン師匠ならきっと、何かを汲み取ってくれるはずです」

 ペンを取り、急いで手紙を書く。
 速達に出して、リュウラン師匠の元に届けるんだ。

 書き記したことは、全てが真実とは限らない。
 でも師匠なら、そこから全てを汲み取って、最善を尽くすために行動するだろう。

(お願いします、リュウラン師匠)

 きっと依頼が来ているはず。
 それを先んじて予測し、薄い期待に望みを賭ける。
 そう僕がやったことは、本人にとっては苦渋だろう。
 だけど、

(お願いします。報われないと思うんです)

 さっぱりと巻き込まれた側は災難。
 僕は信じていた。
 何故かって? そんなの僕の師匠たちだから。

 、やっぱりそれ以外にはない。
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