上 下
84 / 160
そのじゅうに

そのじゅうに-4

しおりを挟む
ベッドの中で裸のまま。

あたしを抱き締める尊。

眠るまであたしを離さない。

「みのりさん」

頭撫でる。

「なんかあった?」

「なんで?」

「うん?なんとなく。元気ないから」

尊はいつも鋭い。

あたしに関して特別なセンサーでもついてんのかね。

「…なんもないよ」

一緒においでよ。

ある意味、衝撃的な遠藤くんの言葉。

サラッと言われたから。

「行かないよ」

サラッと返した。

「ま、そうだよな」

別にあたしを見るワケでもなく。

「ちゃんと別れとけば良かったな」

ぽつり、と言った。

「今日会って、昔に戻れるかな、て思った」

友達としてなら。戻れるよ。

「まあ、そんなに世の中都合良くないか」

遠藤くんがあたしを見た。

「みの」

あたしの眼を見て。

「ずっとほったらかしでごめん。今さらだけど。ついてきてくれないか?」

真面目な顔で言った。

遠くでクラクションが響く。

「行かない」

遠藤くんがため息ついた。

「うん。だと思った」

少し笑った。

遠藤くんの中で。あたしは。

思い出のひとになった。

あたしは。

貴重な読者を一人、なくした。

尊の手が髪撫でる。

尊はずっと一緒にいるのかな。

尊もいつか思い出のひとになるのかな。

「みのりさん?なんで泣いてるの!?」

びっくりしてあたしを見る。

「……」

どう言ったらいいのかわかんない。

ただせつなくて。

「泣かないでよ…俺がみのりさんの側にいるから」

ずっといるの?

「ずうっと離れないよ」

いつまで?

「死んでも離れないよ」

「ばか…」

「もし俺が先に死んだら、背後霊になってみのりさんにくっついてるから」

そうなった時は頼むから。

悪霊にはならんでくれ。

みのりさんは死んでも俺のもの。

尊は笑いながら。

おでこにキスした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ぽっちゃりOLが幼馴染みにマッサージと称してエロいことをされる話

よしゆき
恋愛
純粋にマッサージをしてくれていると思っているぽっちゃりOLが、下心しかない幼馴染みにマッサージをしてもらう話。

王女、騎士と結婚させられイかされまくる

ぺこ
恋愛
髪の色と出自から差別されてきた騎士さまにベタ惚れされて愛されまくる王女のお話。 性描写激しめですが、甘々の溺愛です。 ※原文(♡乱舞淫語まみれバージョン)はpixivの方で見られます。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

辣腕同期が終業後に淫獣になって襲ってきます

鳴宮鶉子
恋愛
辣腕同期が終業後に淫獣になって襲ってきます

Promise Ring

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
浅井夕海、OL。 下請け会社の社長、多賀谷さんを社長室に案内する際、ふたりっきりのエレベーターで突然、うなじにキスされました。 若くして独立し、業績も上々。 しかも独身でイケメン、そんな多賀谷社長が地味で無表情な私なんか相手にするはずなくて。 なのに次きたとき、やっぱりふたりっきりのエレベーターで……。

彼氏が完璧すぎるから別れたい

しおだだ
恋愛
月奈(ユエナ)は恋人と別れたいと思っている。 なぜなら彼はイケメンでやさしくて有能だから。そんな相手は荷が重い。

閉じ込められて囲われて

なかな悠桃
恋愛
新藤菜乃は会社のエレベーターの故障で閉じ込められてしまう。しかも、同期で大嫌いな橋本翔真と一緒に・・・。

鬼上官と、深夜のオフィス

99
恋愛
「このままでは女としての潤いがないまま、生涯を終えてしまうのではないか。」 間もなく30歳となる私は、そんな焦燥感に駆られて婚活アプリを使ってデートの約束を取り付けた。 けれどある日の残業中、アプリを操作しているところを会社の同僚の「鬼上官」こと佐久間君に見られてしまい……? 「婚活アプリで相手を探すくらいだったら、俺を相手にすりゃいい話じゃないですか。」 鬼上官な同僚に翻弄される、深夜のオフィスでの出来事。 ※性的な事柄をモチーフとしていますが その描写は薄いです。

処理中です...