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四年目の春の話(最終章)
四 初夜(※)
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午後九時。
夕方に別の店で軽く二次会をした後、ルイスとレンは帰宅した。今夜は親族たちがホテルに泊まり、エマがマリアンヌを預かるというので、お言葉に甘えることにした。
二人きりになって少しほっとする。
早めにお風呂に入ったあと、疲れが出たので寝室に来た。
途端、ルイスはレンを押し倒す。かぶりつくように、レンの首筋にキスをする。
レンは苦笑しながら、ルイスを抱きしめる。
「ふたりきりなの久しぶりだね」
ルイスは膝でスプリングを確かめる。
「やはりベッドのほうが弾みがあっていいな。だけどマリーの横でするのは難しい。レンの声が……」
レンは恥ずかしい。だが自分だけではない。
「あなたのおしゃべりもです。……俺の部屋でしましょう。そのうち、マリーにも自分の部屋が必要になると思うので、マリーを部屋に寝かせて」
「あ、レンの部屋にベッドを置こうかな。どう思う?」
「……はい」
レンの同意を得たので、明日にでも買いに行こうとルイスは決意する。キングサイズにしよう。我ながら素晴らしいアイデアである。
レンの上に跨って、頬を挟んで、口づけながらルイスは言う。
「ふふ。大きなベッドを置いたら、エッチ専用の部屋になっちゃいそう。レンはいやらしい子だね」
「当然、一人寝にも使います」
今度喧嘩をしたら一人で寝てやるとレンは思っている。
たとえ喧嘩をしても一人寝は許さないとルイスは思っている。
「夜這いするよ。そんな生意気を言う子は、寝ていても犯してやるんだ。起きても泣いてもめちゃくちゃにするよ。わかっているよね、レン。ここまで来たら引き返せないからね。僕だけだよ、レン」
とルイスはレンの唇を舐める。
「エロ男爵」
「ちなみに僕は本物の公爵家の血筋で、男爵だと格落ちだけれども、エロいのは間違いないな」
「ほんとスケベ」
「…………でも、レンと違って僕は、年齢的に、そんなに頑張れないかもしれないな」
と、考えるように視線を上げる。
「え? 本当に?」
レンにはちょっと信じがたい。
ルイスはレンの反応を楽しんでいる。
「ふふ。残念に思った? レンはすぐに僕のことをスケベっていうけど、レンのほうがスケベなんだよね。レン、自分がスケベだって気づいてるでしょ」
「……うん、まあ」
ルイスがやたらと上手いせいで気づいたことではあるが、レンはルイスとのセックスが好きである。優しい手で触れられるだけでうっとりするほど気持ちいい。
「僕が絶倫でよかったね。レンは淫乱だから」
ルイスはレンの下半身をまさぐる。ズボンを脱がせて、すでに固くなっているものを軽く扱く。身体を起こして、レンのそれに唇を寄せる。先端に口づけて、やさしく舐めた。
「あ、パパ」
「レン! こういうときにパパ呼びはやめて!」
「ごめん、思わず……」
「さしもの僕も、それは萎える。本当に」
レンは苦笑し、ルイスは気を取り直して、レンを愛撫する。
レンもルイスの寝間着を脱がせたり、金髪を手ですいたりする。
そうしているうちに、ルイスはレンの後ろに手をやる。指先で触れる。ぬるりと指を入れて丁寧に柔らかくほぐす。指を増やしていく。レンはその優しい動きに身を任せる。
「っ、あっ」
「いい子だね」
お互いにすべて脱いで、肌を合わせた。レンに両足を開かせて、ルイスは性器をあてがう。少しずつ進入する。顔を赤くして目を閉じて受け入れるレンに向かって言った。
「レン。ほら、手をつないで」
「っ……はい」
レンは両手を伸ばす。ルイスはその手を取る。
「レン、こっち見て」
レンは、目を開けた。
ルイスが切なそうに微笑んでいる。
目が合う。
「幸せだな……」
「うん、俺も」
と応えたレンの手を強く引きながら、ルイスはレンに押し込んだ。同時に覆いかぶさって、貫かれて甘い悲鳴をあげるレンの唇を塞ぐ。
「ん、んっ」
「ん、レン。可愛い。可愛いね、君は」
言いながら、ルイスはレンを追い立てるように腰を揺らす。緩急をつけて出し入れをする。そこは泡立って、ぬちゃぬちゃと粘着質な音がたつ。
「あっ、ああっ、ジェイミー、急ぎすぎ」
「レンが欲しがるせいだよ。すごい締め付けてくる……」
「やっ……あっ、ああ」
「んっ、レン。気持ちいい、っ」
レン以上に、ルイスのほうがこの幸福感に感極まっている。泣きそうになりながらレンに口づける。突かれながら、レンも多幸感に包まれる。
ルイスはレンを持ち上げて、レンを上に、体位を変えた。自分は正座のように座り、レンを跨らせて、下から突き上げる。レンの自重を使って蹂躙する。
「ああ、あっ、ジェイミー、あ、あう」
レンはルイスに腕を回して縋りつく。ルイスはレンの耳元で喘ぐ。
「ああ、レン。好きです、愛してる……」
「ん、うん」
「キスしたい、レン」
レンは縋りつきながら、頬を寄せてルイスの唇を探る。
唇を食みながら、お互いに高まっていく。
「ああ、すごい、好き、俺も好きです」
ルイスはレンの性器を扱く。
「あっ、イく、ジェイミー、俺もうイく」
「僕も。レン。可愛いよ。大好きだよ。こんなに好きになるなんて、信じられない。おいで、レン」
「んあっ……!」
「レン……!」
レンもルイスも動きを止める。深く口づけながら、お互いをかき抱いた。汗ばんだ肌を重ねると、心臓の音が激しく響いてくる。熱い。荒くなった息を整えながら、また口づける。
「愛しているよ。レン」
「俺も。愛しています」
微笑みあって、また抱きしめた。少し休憩する。抜いたり拭いたりとりあえず片づけて、横たわった。
「よーし、朝までしようかな」
「まだ十時だよ。長丁場だなあ」
レンは笑った。だがルイスは絶倫である。レンはそれほど体力が持たない。自信がないわけではないが、朝まではできない。なんならこのまま寝そうである。
「挙式したってことは今夜って初夜でしょ? 張り切ってやっていかないと。あ、そうだ。新婚旅行の行き先をまだ決めていないんだ。式のあとに行くつもりだったのに」
「予定が合わなかったね」
「予定は無理にでも合わせないといけないね。レンはどこがいい? 海外? 国内?」
ルイスとしては結婚式も実現したのだから、次は新婚旅行である。だが自分は海外に慣れすぎている。というか日本も海外のひとつである。とくに行きたい国がない。レンと一緒ならば、どこでも楽しめるだろうとは思う。
レンは、ルイスの言うことは信じられないことに何でも実現していくので、ルイスが新婚旅行だというのならば行くことになるだろうと思う。
いったいどこがいいのだろうか。まったく想像できない。海外ならばパスポートを取らなくてはならない。取り方すらわからない。国内のほうが楽かもしれない。熱海とか。
いずれにせよ、日帰りか、日曜日から月曜日の夕方までの一泊でなければ、店を空けることになる。
日帰りも一泊も、ルイスが許さないとレンは知っている。
「また恭介にお願いしなきゃ……困ったなあ……」
恭介は快諾するだろう。よぞらは狙われているのである。
ルイスはレンを背後から抱き、後頭部に鼻を埋める。鼻先を擦り寄せる。くんくんする。ルイスにとって、レンはいつもいいにおいがする。嗅いでいたい。
レンの顎をやんわり掴む。
ルイスは、レンの耳朶をかぷかぷと甘く食んだ後、耳元で吐息とともに囁いた。
「ねえ、レン。こんなときに、他の男の名前を出しちゃだめだよ。初夜だよ、初夜」
レンは呆れる。この期に及んで嫉妬するとは。しかも相手は恭介である。
「どうかしてますよ……」
「お店のことは彼に任せればいいんだ」
「ジェイミー、それって別の意味だよね。俺まだ、お店を手放すつもりは……」
「先のことは、少しずつ考えればいい」
ルイスとしては、レンが大切にしている店を、同じように大切にしてくれそうな恭介が欲しいというのならば、受け皿として最適だと考えている。少しずつ、着実に話を進めていきたい。
ルイスはレンを縛りつけたいので、何なら早く譲ってしまって、ずっと家にいてほしい。そのときは、自分も月一回の取締役会以外、ずっと家にいるつもりである。
「レン。いい? 新婚旅行の行き先の話に集中しようね。ちゃんと、レンが行きたいところに行くよ。ちなみに僕に任せたら、考えるのが面倒だから世界一周クルーズにします。手っ取り早くどこにでも行けていいでしょ」
実現しそうでレンは怖い。この人の感覚に付き合っていたら、スケールが大きすぎる。だが夢があって笑ってしまう。自分は一般人の感覚を忘れてはならないなと決意を新たにする。
「いったい何日かかるんだろう……」
「百日くらいかな。でもどれだけかかってもいいよ。毎晩、こうしてレンを抱くんだ。僕もレンもスケベだから仕方ないな」
そう言ってルイスはふたたび、レンを襲うことにした。
夕方に別の店で軽く二次会をした後、ルイスとレンは帰宅した。今夜は親族たちがホテルに泊まり、エマがマリアンヌを預かるというので、お言葉に甘えることにした。
二人きりになって少しほっとする。
早めにお風呂に入ったあと、疲れが出たので寝室に来た。
途端、ルイスはレンを押し倒す。かぶりつくように、レンの首筋にキスをする。
レンは苦笑しながら、ルイスを抱きしめる。
「ふたりきりなの久しぶりだね」
ルイスは膝でスプリングを確かめる。
「やはりベッドのほうが弾みがあっていいな。だけどマリーの横でするのは難しい。レンの声が……」
レンは恥ずかしい。だが自分だけではない。
「あなたのおしゃべりもです。……俺の部屋でしましょう。そのうち、マリーにも自分の部屋が必要になると思うので、マリーを部屋に寝かせて」
「あ、レンの部屋にベッドを置こうかな。どう思う?」
「……はい」
レンの同意を得たので、明日にでも買いに行こうとルイスは決意する。キングサイズにしよう。我ながら素晴らしいアイデアである。
レンの上に跨って、頬を挟んで、口づけながらルイスは言う。
「ふふ。大きなベッドを置いたら、エッチ専用の部屋になっちゃいそう。レンはいやらしい子だね」
「当然、一人寝にも使います」
今度喧嘩をしたら一人で寝てやるとレンは思っている。
たとえ喧嘩をしても一人寝は許さないとルイスは思っている。
「夜這いするよ。そんな生意気を言う子は、寝ていても犯してやるんだ。起きても泣いてもめちゃくちゃにするよ。わかっているよね、レン。ここまで来たら引き返せないからね。僕だけだよ、レン」
とルイスはレンの唇を舐める。
「エロ男爵」
「ちなみに僕は本物の公爵家の血筋で、男爵だと格落ちだけれども、エロいのは間違いないな」
「ほんとスケベ」
「…………でも、レンと違って僕は、年齢的に、そんなに頑張れないかもしれないな」
と、考えるように視線を上げる。
「え? 本当に?」
レンにはちょっと信じがたい。
ルイスはレンの反応を楽しんでいる。
「ふふ。残念に思った? レンはすぐに僕のことをスケベっていうけど、レンのほうがスケベなんだよね。レン、自分がスケベだって気づいてるでしょ」
「……うん、まあ」
ルイスがやたらと上手いせいで気づいたことではあるが、レンはルイスとのセックスが好きである。優しい手で触れられるだけでうっとりするほど気持ちいい。
「僕が絶倫でよかったね。レンは淫乱だから」
ルイスはレンの下半身をまさぐる。ズボンを脱がせて、すでに固くなっているものを軽く扱く。身体を起こして、レンのそれに唇を寄せる。先端に口づけて、やさしく舐めた。
「あ、パパ」
「レン! こういうときにパパ呼びはやめて!」
「ごめん、思わず……」
「さしもの僕も、それは萎える。本当に」
レンは苦笑し、ルイスは気を取り直して、レンを愛撫する。
レンもルイスの寝間着を脱がせたり、金髪を手ですいたりする。
そうしているうちに、ルイスはレンの後ろに手をやる。指先で触れる。ぬるりと指を入れて丁寧に柔らかくほぐす。指を増やしていく。レンはその優しい動きに身を任せる。
「っ、あっ」
「いい子だね」
お互いにすべて脱いで、肌を合わせた。レンに両足を開かせて、ルイスは性器をあてがう。少しずつ進入する。顔を赤くして目を閉じて受け入れるレンに向かって言った。
「レン。ほら、手をつないで」
「っ……はい」
レンは両手を伸ばす。ルイスはその手を取る。
「レン、こっち見て」
レンは、目を開けた。
ルイスが切なそうに微笑んでいる。
目が合う。
「幸せだな……」
「うん、俺も」
と応えたレンの手を強く引きながら、ルイスはレンに押し込んだ。同時に覆いかぶさって、貫かれて甘い悲鳴をあげるレンの唇を塞ぐ。
「ん、んっ」
「ん、レン。可愛い。可愛いね、君は」
言いながら、ルイスはレンを追い立てるように腰を揺らす。緩急をつけて出し入れをする。そこは泡立って、ぬちゃぬちゃと粘着質な音がたつ。
「あっ、ああっ、ジェイミー、急ぎすぎ」
「レンが欲しがるせいだよ。すごい締め付けてくる……」
「やっ……あっ、ああ」
「んっ、レン。気持ちいい、っ」
レン以上に、ルイスのほうがこの幸福感に感極まっている。泣きそうになりながらレンに口づける。突かれながら、レンも多幸感に包まれる。
ルイスはレンを持ち上げて、レンを上に、体位を変えた。自分は正座のように座り、レンを跨らせて、下から突き上げる。レンの自重を使って蹂躙する。
「ああ、あっ、ジェイミー、あ、あう」
レンはルイスに腕を回して縋りつく。ルイスはレンの耳元で喘ぐ。
「ああ、レン。好きです、愛してる……」
「ん、うん」
「キスしたい、レン」
レンは縋りつきながら、頬を寄せてルイスの唇を探る。
唇を食みながら、お互いに高まっていく。
「ああ、すごい、好き、俺も好きです」
ルイスはレンの性器を扱く。
「あっ、イく、ジェイミー、俺もうイく」
「僕も。レン。可愛いよ。大好きだよ。こんなに好きになるなんて、信じられない。おいで、レン」
「んあっ……!」
「レン……!」
レンもルイスも動きを止める。深く口づけながら、お互いをかき抱いた。汗ばんだ肌を重ねると、心臓の音が激しく響いてくる。熱い。荒くなった息を整えながら、また口づける。
「愛しているよ。レン」
「俺も。愛しています」
微笑みあって、また抱きしめた。少し休憩する。抜いたり拭いたりとりあえず片づけて、横たわった。
「よーし、朝までしようかな」
「まだ十時だよ。長丁場だなあ」
レンは笑った。だがルイスは絶倫である。レンはそれほど体力が持たない。自信がないわけではないが、朝まではできない。なんならこのまま寝そうである。
「挙式したってことは今夜って初夜でしょ? 張り切ってやっていかないと。あ、そうだ。新婚旅行の行き先をまだ決めていないんだ。式のあとに行くつもりだったのに」
「予定が合わなかったね」
「予定は無理にでも合わせないといけないね。レンはどこがいい? 海外? 国内?」
ルイスとしては結婚式も実現したのだから、次は新婚旅行である。だが自分は海外に慣れすぎている。というか日本も海外のひとつである。とくに行きたい国がない。レンと一緒ならば、どこでも楽しめるだろうとは思う。
レンは、ルイスの言うことは信じられないことに何でも実現していくので、ルイスが新婚旅行だというのならば行くことになるだろうと思う。
いったいどこがいいのだろうか。まったく想像できない。海外ならばパスポートを取らなくてはならない。取り方すらわからない。国内のほうが楽かもしれない。熱海とか。
いずれにせよ、日帰りか、日曜日から月曜日の夕方までの一泊でなければ、店を空けることになる。
日帰りも一泊も、ルイスが許さないとレンは知っている。
「また恭介にお願いしなきゃ……困ったなあ……」
恭介は快諾するだろう。よぞらは狙われているのである。
ルイスはレンを背後から抱き、後頭部に鼻を埋める。鼻先を擦り寄せる。くんくんする。ルイスにとって、レンはいつもいいにおいがする。嗅いでいたい。
レンの顎をやんわり掴む。
ルイスは、レンの耳朶をかぷかぷと甘く食んだ後、耳元で吐息とともに囁いた。
「ねえ、レン。こんなときに、他の男の名前を出しちゃだめだよ。初夜だよ、初夜」
レンは呆れる。この期に及んで嫉妬するとは。しかも相手は恭介である。
「どうかしてますよ……」
「お店のことは彼に任せればいいんだ」
「ジェイミー、それって別の意味だよね。俺まだ、お店を手放すつもりは……」
「先のことは、少しずつ考えればいい」
ルイスとしては、レンが大切にしている店を、同じように大切にしてくれそうな恭介が欲しいというのならば、受け皿として最適だと考えている。少しずつ、着実に話を進めていきたい。
ルイスはレンを縛りつけたいので、何なら早く譲ってしまって、ずっと家にいてほしい。そのときは、自分も月一回の取締役会以外、ずっと家にいるつもりである。
「レン。いい? 新婚旅行の行き先の話に集中しようね。ちゃんと、レンが行きたいところに行くよ。ちなみに僕に任せたら、考えるのが面倒だから世界一周クルーズにします。手っ取り早くどこにでも行けていいでしょ」
実現しそうでレンは怖い。この人の感覚に付き合っていたら、スケールが大きすぎる。だが夢があって笑ってしまう。自分は一般人の感覚を忘れてはならないなと決意を新たにする。
「いったい何日かかるんだろう……」
「百日くらいかな。でもどれだけかかってもいいよ。毎晩、こうしてレンを抱くんだ。僕もレンもスケベだから仕方ないな」
そう言ってルイスはふたたび、レンを襲うことにした。
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