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40話 建国祭⑥
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ロレッタ視点
翌日、私とクリフトは中央広場に向かった。看板にはギロチンショーと書かれている。
「一体何が始まるんだろうね?」
クリフトも興味深そうにステージを見つめる。全員がドキドキしながら待っていると、1人の男性が現れた。あれって……ジャングラーだ!
ジャングラーはめんどくさそうに木箱の前に立つと、変な仮面をはめた。観客からは笑い声が上がる。
「皆様、今からギロチンショーを始めます!」
ジャングラーが木箱の中に入った事を確認して、司会者が元気よくアナウンスをする。
「なんと、急遽出演が決まった、あのジャングラー王子自らが舞台に立ってくれました! 世紀の大脱出劇の始まりです!」
観客の盛り上がりはピークまで達して熱狂が渦巻く。
「みなさんご一緒にカウントダウンをお願いします!」
会場からは拍手が沸き起こり、カウントダウンが始まった。
「5……4……3……2……1……行っけ~!」
鋭く尖った鎌が太陽の光を浴びて不気味に輝く。兵士が合図と共に剣で縄を切ると、固定してあった巨大な鎌がストンっと落ちた。会場からは悲鳴と歓声が湧き起こる。
「まだまだ、これだけじゃないですよ!」
司会者の合図と共に木箱が燃えて大炎上する。これには周りで見ていた人たちも不安そうにざわつく。えっと……全部演出なんだよね?
「おっと危ない、このままだと観客席まで燃えてしまう! 誰か止めて!」
司会者がわざとらしく動揺する。すると、あの変な仮面を被った人がホースを持って現れ消火活動を始めた。
無事に火が消され、変な仮面をつけたジャングラーは私たちにおじきをした。会場からは安堵のため息と拍手喝采が送られる。
「凄いショーね!」
「うん、これは迫力満載だね!」
私もクリフトも大興奮しながら拍手を送った。
「ねぇ、ちょっと舞台裏に行ってみない?」
「いいよ。ジャングラーの事が気になるんだよね?」」
観客の間を抜けて舞台裏に向かうと、演者たちが各々後片付けをしていた。その中にあの変な仮面を被った人がいる。
「ねぇ、ジャングラーなの?」
私が声をかけると、ジャングラーらしき人は変な仮面を外した。でもその人物は……
「ロレッタ様、クリフト様、どうでしたか今日のショーは?」
仮面の下から現れたのは座長のヤングだった。
「あれ? 確かジャングラー王子は木箱の中に入ったはずなのに……」
「ロレッタ様、これはショーですよ。ちゃんと脱出できる様になっています。じゃないとただの公開処刑じゃないですか」
ヤングはくすくすと笑いながら答える。そうよね、これはショーだもんね。
「じゃあジャングラー王子はどこにいるの?」
「そういえば見ていないですね……探してきましょうか?」
「あっ、いえ、大丈夫です。とても素晴らしいショーでした。これからも頑張って下さい」
「はい! ありがとうございます!」
ヤングは元気よく挨拶をすると、忙しそうに片付けをしに行ってしまった。
「ねぇ、クリフト……どう思う?」
『明日は面白いショーが見れる』昨日ヤングが言っていた事が脳裏によぎる。それに相当ジャングラーの事を憎んでいたわよね……
「ねぇ、本当にジャングラーは脱出したのかしら? もしかしたら本当にショーの最中に……」
「流石にそれはないと思うよ」
「そっ、そうだよね!」
私は嫌な想像を振り払うと、舞台裏を離れてクリフトと一緒にお祭りを楽しんだ。
そして、この日を境にジャングラーが姿を消した。真相を知るものは誰もいない。ただ1人……座長のヤングを除いて……
翌日、私とクリフトは中央広場に向かった。看板にはギロチンショーと書かれている。
「一体何が始まるんだろうね?」
クリフトも興味深そうにステージを見つめる。全員がドキドキしながら待っていると、1人の男性が現れた。あれって……ジャングラーだ!
ジャングラーはめんどくさそうに木箱の前に立つと、変な仮面をはめた。観客からは笑い声が上がる。
「皆様、今からギロチンショーを始めます!」
ジャングラーが木箱の中に入った事を確認して、司会者が元気よくアナウンスをする。
「なんと、急遽出演が決まった、あのジャングラー王子自らが舞台に立ってくれました! 世紀の大脱出劇の始まりです!」
観客の盛り上がりはピークまで達して熱狂が渦巻く。
「みなさんご一緒にカウントダウンをお願いします!」
会場からは拍手が沸き起こり、カウントダウンが始まった。
「5……4……3……2……1……行っけ~!」
鋭く尖った鎌が太陽の光を浴びて不気味に輝く。兵士が合図と共に剣で縄を切ると、固定してあった巨大な鎌がストンっと落ちた。会場からは悲鳴と歓声が湧き起こる。
「まだまだ、これだけじゃないですよ!」
司会者の合図と共に木箱が燃えて大炎上する。これには周りで見ていた人たちも不安そうにざわつく。えっと……全部演出なんだよね?
「おっと危ない、このままだと観客席まで燃えてしまう! 誰か止めて!」
司会者がわざとらしく動揺する。すると、あの変な仮面を被った人がホースを持って現れ消火活動を始めた。
無事に火が消され、変な仮面をつけたジャングラーは私たちにおじきをした。会場からは安堵のため息と拍手喝采が送られる。
「凄いショーね!」
「うん、これは迫力満載だね!」
私もクリフトも大興奮しながら拍手を送った。
「ねぇ、ちょっと舞台裏に行ってみない?」
「いいよ。ジャングラーの事が気になるんだよね?」」
観客の間を抜けて舞台裏に向かうと、演者たちが各々後片付けをしていた。その中にあの変な仮面を被った人がいる。
「ねぇ、ジャングラーなの?」
私が声をかけると、ジャングラーらしき人は変な仮面を外した。でもその人物は……
「ロレッタ様、クリフト様、どうでしたか今日のショーは?」
仮面の下から現れたのは座長のヤングだった。
「あれ? 確かジャングラー王子は木箱の中に入ったはずなのに……」
「ロレッタ様、これはショーですよ。ちゃんと脱出できる様になっています。じゃないとただの公開処刑じゃないですか」
ヤングはくすくすと笑いながら答える。そうよね、これはショーだもんね。
「じゃあジャングラー王子はどこにいるの?」
「そういえば見ていないですね……探してきましょうか?」
「あっ、いえ、大丈夫です。とても素晴らしいショーでした。これからも頑張って下さい」
「はい! ありがとうございます!」
ヤングは元気よく挨拶をすると、忙しそうに片付けをしに行ってしまった。
「ねぇ、クリフト……どう思う?」
『明日は面白いショーが見れる』昨日ヤングが言っていた事が脳裏によぎる。それに相当ジャングラーの事を憎んでいたわよね……
「ねぇ、本当にジャングラーは脱出したのかしら? もしかしたら本当にショーの最中に……」
「流石にそれはないと思うよ」
「そっ、そうだよね!」
私は嫌な想像を振り払うと、舞台裏を離れてクリフトと一緒にお祭りを楽しんだ。
そして、この日を境にジャングラーが姿を消した。真相を知るものは誰もいない。ただ1人……座長のヤングを除いて……
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