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第4章 起源を知る龍と終焉を望む龍
第91話:孤高の大剣豪 セイメイ・テンマ
しおりを挟む一通り話し終えたところで、ツバサは提案を持ち掛ける。
「さて──ヒレ族の長フィーネよ」
年功序列を疎かにせず年上を敬うツバサとしては、こういう態度は好ましくないのだが、女神としての尊厳を醸し出すために演じてみた。
猫族にはなし崩しに「女神様!」と崇拝されてしまった。
しかし、この辺りの線引きをなあなあにしておくと、ミロが予感したように神と人が別れる頃には、面倒事が起こりそうな気がしないでもない。
だから、初めから植え付けておくべきなのだ。
神と人間──その明確な差を。
ヒレ族と目線を合わせるために座っていたツバサが立ち上がると、そっと目配せをしてミロやトモエにも立ち上がるように促す。
態度から察したのか、2人も演技に付き合ってくれる。
ミロとトモエはツバサの脇に控え、神に付き添う従者のように振る舞う。
しかしアホとバカ──偉そうにふんぞり返るだけだ。
「生憎だが我々は魔族ではない。地母神である俺を筆頭に全員神族か、それに準ずる者だ。それでも良ければ……我らの庇護に預かるつもりはないか?」
一族の安全を保証しよう、と手を差し伸べる。
「魔物に脅えずとも暮らせる安住の地と、一族の誰もが餓えることのない毎日の糧……この2つを約束する。どうだ、俺たちの元に来ないか?」
ツバサの言葉を聞いて、ヒレ族全体に動揺が走る。
フィーネは姿勢を正すと、正座をして礼を欠かさぬように三つ指ついて頭を下げてきた。そして「恐れながら……」と申し上げてくる。
「我らを魔族の裔と知りながら、その庇護にお招きくださる御厚意……誠にありがたい申し出でございます……されど、よろしいのでしょうか……?」
「よろしい、とは……?」
魔族への義理か? それとも魔族なりの矜恃か?
この世界において上位種族ながらも別種だった神族と魔族の間に、どれほどの確執があったのかは定かではない。しかし、やはり魔族に仕えた一族としては、神族の保護下に置かれるのは抵抗があるのかも知れない。
しかし、フィーネの心配はまったく別のところにあった。
「わたしどもヒレ族はこの通り……種として衰えております。かつては魔王の元、様々な功績を上げたヒレ族の勇者の血も途絶え、アザラシとして海を泳ぐのが精々……このようなわたしたちでお役に立てるでしょうか?」
なるほど──庇護への対価を心配をしていたのか。
庇護がタダとは思っていないのだ。
恩恵を授かるならば、それ相応の働きをするなり貢ぎ物を収めるなりしてお返しせねばならない。しかし、今のヒレ族ではそれが満足にできない。
こんなヒレ族が女神の庇護に与っていいものか?
フィーネの心配はそこにあるらしい。
「族長……あなたは賢明な女性だ」
ツバサは心配性のフィーネに柔らかく微笑んだ。
「そうだな、タダほど高いものはない。魔物たちに脅える、長く苦しい日々を乗り越えてきたあなたたちだ。安全の価値をよく知っている……」
ではこうしよう、とツバサは対価を要求した。
「俺たちがヒレ族を指導する──この世界で生きる術、まずはそれを学んでほしい。君たちが役立つようになった頃、恩恵への見返りを求めよう」
ツバサたちの下で兵士や職人として働くのもいい。海で漁をして海産物などの貢ぎ物を献上してもいい。大地に上がって田畑の開墾に挑戦してもいい。
方法は問わないし、選べる選択肢はいくらでもある。
いずれ、何らかの形で貢献してもらう。
そのための技術を──神であるツバサたちが教えてやるのだ。
「それまでは俺たちの庇護に甘えてもらってかまわない……そうだな、出世払いというやつだ。これで如何かな、フィーネ族長?」
フィーネは一瞬だけ顔を上げた。
驚きに満ちた表情は、見る間に嬉し涙に濡れる笑顔に変わる。涙声に喜びの色を混ぜて呻いたフィーネは、再びツバサに頭を下げてきた。
「つ、謹んでお受けいたしましょう! 我らヒレ族……地母神ハトホル様の庇護に預かりたいと思います! どうか我らを教え導きくださいませ! そして、その教えをあなた様たちのために役立てることをお約束いたします……ッ!」
皆も異論ないね!? とフィーネは一族郎党に振り返る。
ヒレ族一同は総立ちとなり、族長の意見を賛成の大歓声で受け入れた。
こうして第2の種族──アザラシのヒレ族が加わった。
ヒレ族には対価を申し渡した手前、いずれネコ族にも庇護に対する何らかの見返りを要求しなくてはなるまい。でなければ不公平になる。
まあ、どちらにも大した対価を求めるつもりはないのだが──。
その後フミカに連絡して、ダインを迎えに寄越してもらう。
一時間もせずにハトホルフリートの船影が南東の空に浮かび、すぐにツバサたちとヒレ族を見つけると浜辺に船体を着地させた。
初めて見る空飛ぶ船に、ヒレ族の誰もが変なテンションになっている。
甲板を走る音がするとダインが飛び降りてきた。
「アニキーッ! アザラシ族いうんを迎えに来たぜよーッ!」
「すまんなダイン、村の守りを頼んだのに……」
「細いことは言いっこなしじゃ、その子ら積んだらすぐにでもトンボ返りするきに、村ん守りは心配せんでもええ」
ダインを労い、ツバサたちは手分けしてヒレ族を船に誘導した。
「脅えなくていい。この船で安全な場所まで飛ぶだけだ」
「持ってくもんがあるなら遠慮なく言っちょうよ。こんハトホルフリートなら大抵んもんは運んでやるきに。忘れてもまた後ですぐ取りに来れるからのぉ」
族長のフィーネや孫娘のフィオ、ヒレ族全員と僅かばかりの家財道具や、一族に伝えられてきた大事な品々をハトホルフリートに乗せ終える。
「それじゃあダイン、ヒレ族のみんなを村まで送ってやってくれ」
「任せるぜよ。人を乗せたら安全運転、これ決まりじゃ」
ツバサはダインに、ヒレ族を村へ連れ帰った後のことを指示する。
「予定としては例の浜辺にでも村を作ってやりたいんだが……あの海域一帯も安全がちゃんと確保されたわけじゃない。それにティンドラスの問題も片付いてないからな……ひとまずネコ族の村近くにでも避難させてやってくれ」
ネコ族の村がある谷、近くにはドンカイが作った川もある。
その川辺に仮設住宅を建設して、しばらくはそこで面倒を見てやればいい。
あそこならマリナの結界内なので安全も保証済みだ。
「そがい言われる思うて、ここ来る前に仮設住宅を建てといたぜよ!」
「さすが我が息子、いつにも増して仕事が早い!」
ダインのグッドサインに、ツバサもグッドサインで返した。
その上でツバサは残念そうにため息をついた。
「この機転と行動力を、どうしてフミカに回してやれないのか……」
「なっ……フッ、フミは関係ないぜよぉ!?」
ラブコメなリアクションをするんだからわかってるんだろ、ダインも?
それはさておき──ダインも防衛チームの一角。
ヒレ族のために迎えに来てもらったとはいえ、あまり拠点を留守にさせるわけにもいかない。ダインはヒレ族を乗せたハトホルフリートを操り、早々に拠点のある谷へと帰っていた。
帰っていく船を見送りながら、ミロとトモエが訊いてくる。
「そんでツバサさん、これからどうするの?」
「ん、またティンドラス探す? このまま海岸を辿っていく?」
それもアリだが──ツバサにはある考えが浮かんでいた。
「いや……ここから北に向かってみよう」
北と聞いてミロが真っ先に思い浮かべたのは、ヒレ族の長の言葉だ。
「“原初の龍”ってのに会いに行くんだね」
「そうだ。あんな話を聞いたら気になるだろう?」
この世界の成り立ち、天地創造に携わったとされる原初の龍。
その話が本当なら、神族や魔族を上回るやも知れない大物だ。別次元の魔物にも引けを取らない能力を有しているというのも興味が湧く。
それほどの存在ならば、まだ生きていると思うのだが…………。
「ん、でもアザラシのおばちゃん、ずっと見てない言ってた」
トモエの指摘も気に掛かるのは確かだ。
「ああ、彼女の曾祖母……もう何年前になるんだ? ヒレ族の平均寿命がどのくらいかは知らないが、かなり昔に見たっきりと言ってたからな……」
亡くなっている可能性も捨てきれない。
「ただまあ、“空に浮く山”というのも気になるしな。その龍がいた痕跡でもあればいいし、生きているなら話を聞いてみたいってのが本音だ」
それと──奇妙な符号を感じる。
今度の別次元の怪物たちは、どことなく竜を模した姿をしている。
そして、ここに来て原初の龍などという魅惑的な単語だ。
「竜と龍……このタイミングで聞き合わせると、どうにも関連づけたくなるのが人間の性だよな。もし関係性があるなら一石二鳥だ」
フミカによればティンドラスの足跡の痕跡を調査した結果、やや西よりの北から来ているところまで辿れたというので、北西を目指していたのだ。
「勿論、ティンドラスを警戒した偵察も続ける。それに奴らが北から来た可能性も捨てきれないからな。ひとまず北へ向かい、めぼしいものがなければ見つからなければ少しずつ西へと移動していこう」
行くぞ、とツバサは風に乗って飛び上がる。
ツバサの風に相乗りするが如く、ミロとトモエも続いた。
~~~~~~~~~~~~
目標の“空に浮く山”はあっさり見つかった。
「おお~ッ! これはこれは……でっけーかなでっけーかな!」
「ん、ミロ違う。それを言うならぜっけーかな」
「正しくは絶景かな、だからな」
天嶮とは正にこのこと──。
ひょっとすると、エベレストより標高があるかもしれない。
天空の頂を突き破りそうな標高を誇る山が聳えている。
周囲の山脈も地球では滅多にお目にかかれない高さだが、その中心に鎮座する巨大な山の迫力に比べたら有象無象の群れにしか見えないほど貧弱だった。地球人の視点からすれば現実離れが過ぎるので幻想的にしか見えない。
山の地肌は鉱石を多く含むのか日の光を浴びて紺碧に輝き、それを万年雪の白銀が縞模様になるべく彩っていた。
まるで山その物がひとつの大きな宝石のように映えている。
その巨大な山の上にポツン、と山が浮いていた。
「あれが……ヒレ族の言っていた“空に浮く山”か?」
紛れもなく──空に山が浮いている。
より正確に言えば、島が浮いているような案配だ。
山の根っことでも言えばいいのだろうか、地中から山を引っこ抜いた時についてきたような部分があり、遠目から見ると菱形に見える。
しかし、こう言っては何だが──。
「なんか小っちゃくね? ぶっちゃけ貧相じゃない?」
「んな、下にあるでっかいお山の方が大迫力、見てて飽きない」
娘たちの意見はもっとも。ツバサだって同感だ。
その山は空に浮いているが、あまりにも小さかった。
ちょっとした城でも作ったら余裕がなくなりそうなサイズしかない。
空に浮く山というのはとてもファンタジーな風景なのに、眼下でドン! と構えている巨大な山のおかげで可哀相なほど見劣りしていた。
ツバサも最初「雲と見間違えたかな?」と思ったほどだ。
「……大きさはさておき、ヒレ族の言ったことは本当だったな」
行ってみよう、とツバサは空を飛ぶ高度を上げて“空に浮く山”へと近付いていくのだが、ミロとトモエが何故か身をすり寄せてきた。
「おい、何だよ……飛びにくいだろうが」
ツバサが文句を言うと、ミロがツバサのおっぱいの下に潜り込むようにして抱きついてくる。ジャケットの中に手を突っ込んでくる抜け目のなさよ。
「だってぇ……なんか寒くない? 寒いよね、トモちゃん?」
「んなっ! なんだか寒い! ブルブルする!」
トモエもツバサの胸の下に隠れるようとして、大胆にもジャケットの中へ逃げ込もうとしていた。幼児じゃあるまいしなんて真似をするんだ。
標高は1万mをとっくに超えている。
空気も薄ければ気温も低い。これほどの上空ならば当然のことだ。
収まりきらない爆乳の谷間が覗ける露出度の高さだが、ツバサはちゃんとロングジャケットを羽織っている。見ようによってはコートに見えなくもない。
防寒とまではいかないが、寒々しい格好ではなかった。
対してミロは肌色の多さも大胆な薄手のドレス、トモエは水着と思われても仕方ないビキニアーマー。凝視しているとこっちが鳥肌を覚えそうになる。
しかし──ツバサたちは神族だ。
「暑さ寒さを感じたとしても、人間の時ほど苦にならんだろ。それこそ溶岩や氷河に突っ込んだりしない限り、ダメージだって負わないんだ」
気のせいだ我慢しろ、とツバサは2人を引き剥がす。
そうすると娘たちは躍起になって母親の温もりを求めてきた。
飛行中でもお構いなし、ツバサのジャケットの中に潜り込もうとする。
当たり前のようにツバサの乳房を揉んだり触ったり撫でたりと、やりたい放題のセクハラも忘れない。そして、意地でも母の温もりを手に入れようとする。
「ちょ、こら、あっ……ドサクサに紛れておっぱいイジるなッ!?」
「いーやーだ! さーむーい! ツバサさんお母さんだから体温激アツでしょ! 冷えて凍えてブルッてる娘を暖めてよ! そのおっぱいとかで特に!」
「アホ! 乳房は脂肪の塊だからあんまり温かくないわ!」
脂肪がある分、本人は寒さに強いかも知れない。
だが、抱きついたところで他人にその恩恵は与えられないはずだ。
「んなーッ! トモエ、めっちゃ筋肉質だから体脂肪ない! みんなよりずっと寒くてブルブル! お母さん、可愛い娘を暖めるのは義務!」
「おバカのくせして小難しい理屈を並べるな!」
浮遊する山は目の前だというのに、アホとバカのせいで進まない。
「ああもう! 暖めてやればいいだろ、ほら!」
ツバサは過大能力【万能にして全能なる玉体】を発動させると、ただでさえ長い髪の毛を大増量させて、それでミロとトモエを包んでやる。
ついでに──身動きできぬよう雁字搦めで縛り上げてやった。
「よし、これでもう寒くないな──とっとと行くぞ」
「あったか~い……けど百合の浪漫がない! やり直しを要求しまーす!」
「んなーっ! トモエたち、ミノムシじゃなーいッ!?」
髪でグルグル巻きにした2人を宙吊りにしたまま、ツバサは浮遊する山へと近付いていく。どれだけ騒いでも山に着くまで拘束しておいた。
~~~~~~~~~~~~
一見すると空に浮くだけの山だが、近付いてみると何者かによって加工された形跡があちらこちらに見受けられ、遺跡のような趣があった。
現実世界でも岩山や崖を掘ったり削ったりして、寺院や教会を作った例がいくつもあるが、それに近いものかも知れない。
途中で途切れた橋のような場所があり、その岩肌にはドラゴンでも余裕で通り抜けられそうな穴があった。この大穴も人工的に掘り抜かれたものだ。
果たして掘ったのは人間かどうか──。
途切れた橋の上に降りたツバサたちは、その大穴の奥へと進む。
「大きな通路……グレートダイダラスでも普通に歩けるんじゃない?」
「……だよな。通路に見えるよな、この穴」
敢えて大穴と表現したが──これは歴とした通路である。
その証拠と言ってはなんだが、通路の両側には一定の間隔で魔法の光で作られたと思しき照明が灯っている。明らかに人為的なものだ。
先ほどの途切れた橋にしても人工物、綺麗な石畳を敷かれていた。
──ドラゴンが作っても人工物というのだろうか?
他愛ない疑問を抱きながら、通路の奥へと歩を進めていった。
どれほど進んだだろうか、通路の先に光が見えてくる。
あまり強烈な光でないから、屋外に通じているわけではないらしい。ミロとトモエを手で制しながら、ツバサが油断せずに先行していく。
通路の先にあったのは──水晶の湖だった。
通路を抜けた先に広がっていたのは、山の内部をくり抜いたかのような円形の広大な洞窟だった。ここもまた加工された様子がある。
となれば、洞窟ではなくホールとでも言うべきか。
つまり、この浮遊する山は巨大なドーム状になっているのだ。
その洞窟型ホールの床は、一面のガラス張りならぬ水晶張りの床。
天然の水晶鉱石はこうなるまい。これもまた何者かの手によって作られたものなのだろうが、どこまで水晶が埋められているのか計り知れない。
なにせ水晶のおかげで透明なのに──底が窺い知れないのだ。
どちらにせよ圧巻の光景ではある。
外から見た浮遊する山を貧相とか言っていたミロも、この水晶の湖には言葉を失うほど見とれている。男の子勝りなアホ娘でも、やっぱり女の子だ。
トモエも同様、天井や床を無言で見回している。
ツバサたちは息を呑みながら、水晶の湖へ足を踏み入れた。
その瞬間──重力が10倍になったような威圧感に見舞われた。
ミロやトモエはこの威圧感を「殺気!」と受け取り、各々の武器を構えて反射的に水晶の湖から飛び退いていた。
その判断に誤りはない。そうするのが戦う者のあるべき姿なのだ。
しかし、ツバサは慌てず騒がず──悠然と歩いていく。
ツバサの行く手、水晶の湖の中央にうずくまる影が1つあった。
それに気付いた2人、特にミロは目をパチクリさせた。
「え? あれって……あの人? アタシ、どっかで見たような……?」
「ん? ミロ、あのお侍さんと知り合い?」
トモエの言う通り──その男の風貌はお侍さんだった。
年の頃は20代半ばだが、年よりやや老けて見える壮健な男前。
長めの髪はうなじで適当に括っている。
座っていてもわかるほど大柄で長身、立てば190㎝を越えるだろう。その図体に装う着物、袴、それにロングコートのように丈の長い長羽織。
すべて真っ黒に染め上げられていた。
黒い剣客──なんて呼び方が似合いそうな男だ。
脇に置いてあるのは、一般的な日本刀よりも大振りな刀が大小2本。どちらも抜き放てば、その肉厚な刃から“剛刀”と恐れられるだろう。
そんな武士の魂には目もくれず、男は手にした瓢箪から酒をぐい飲みに手酌で注ぐと、グビグビ飲み干して酒臭い息を豪快に吐き出した。
ミロやトモエが恐れたのは、この男の気配だ。
あの身動きが取れなくなるほど重苦しさ。それほどの殺気を放っているとは思えない酔漢ぶりだが、いくつもの戦いを経てきた2人にはわかる。
こいつ──絶対に強い。
格が違うとか、次元が違うとか、レベルが違うとか、そういう強さの違いを超えている気がしてならない。この重圧感のある殺気がその証拠だ。
近付けない──近付いちゃいけない。
神族化しても残っている生物としての本能が、そう訴えてくる。
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「試したって……あーーーッ!? 思い出した、おっさんアンタ!?」
「んなっ、やっぱりミロの……ツバサ兄さんの知り合い?」
トモエは初めてだし、ミロも数えるくらいしか会わせていない。
「いい機会だ、紹介しておこう──こいつはセイメイ・テンマ」
アシュラ・ストリートでのハンドルネームは“天魔ノ王”。
「アシュラ八部衆の一人、最強の剣豪として名を馳せた男だ」
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【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
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とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
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