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優しい国編
03 俺を守って!
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俺に近づくな、オーラを出しながら屋敷へ入れてくれた世界最強の人間兵器である男の名をディランという。
この男、最強の称号とは程遠い容姿をしている。シミ一つない白い肌に目は見えているのだろうかと疑う程透き通ったブルーの瞳。それを縁取る髪と同じ色の光り輝く金色の睫毛。筋の通った高い鼻梁に形のよい薄いピンク色の唇。
どれを取っても完璧に美しい。女なら手込めにしている所だが残念な事に男で世界最強の人間だ。俺の権力が及ばぬ所に唯一いる存在がこの男だ。
そして年下の癖に俺を敬わず怯えもしないこの男が俺は大嫌いだ。しかし背に腹は変えられない。
上手く騙せたようだし、後で根回しするとしよう。万が一バレてもディランは俺を殺す事は絶対にしない。何故なら彼はこの国を守る兵器だからだ。この国を守るという事はこの国の人間を守るという事なので彼はこの国の人間を殺す事は出来ない。だから今まで俺は彼に殺される事がなかったと言える。
客室へ案内され俺は善は急げとこれからの話をしようとした。その時、部屋をノックする音がする。
「っ!!」
……不敬である。この俺が話そうとしている時に遮るとは……はっ!!いけないいけない!ガクブル、ガクブル。
ディランは席を立つと扉まで行き俺に相手が見えない様にティーセットを受け取ると戻って俺の前にガシャン!と置いた。台無しだ。半分以上溢れてるじゃないか。
「で?どういう事か詳しく説明していただこうか?」
ドカっと俺の前に座ると俺を射殺さんばかりに睨んできた。
何故睨む?
「ディラン殿には常に私と行動を共にして欲しい。それ程の危機的状況なのだ。」
「何故この俺が?一体誰に狙われているというのです?」
この国の全ての人間に
ついこの間民の暮らしなんて知らぬと税金上げたしなぁ。
「まだハッキリと分かっていないのだ。全ての民が敵だと思っていてくれ。」
上手く本当の事が言えた。
「ふん、全ての民が宰相閣下の敵なら俺の敵は宰相閣下になりますね。俺はこの国の民を守る為に存在するのですから。」
しまった、確かにそうだ。
「私もこの国の人間だ。貴方の守る理由になるだろう。」
ディランはチッと舌打ちをして「忌々しい事にな。」と呟いた。
聞こえてるが?
不敬である。この男の知り合い全てを廃人にしてやろうか。
……はっ!これはいけない、今まで幾度となくこの男を苦しめる為に罠を仕掛けたが一向に引っ掛からなかったじゃないか。
それに俺はもう人に悪い事はしたくないんだ。今までの事も申し訳ない気持ちでいっぱいなんだ。
本音を言えば報復が怖い!ガクブル、ガクブル。
「確かに顔色が悪いようだ。今日の所は客間を使われるがいいだろう。」
「それはありがたい。」
俺は生まれて初めてホッとした。悪い事を考えないと心が穏やかだな。
「余程の事らしいな。宰相閣下のそんなお顔を初めて見ました。」
驚いたようにディランが身を引き「ほう。」とソファの背にもたれた。
「そんな顔?」
俺は頬に手を当てディランを見る。
「これ以上ない程の間抜けな顔をなさっておいでだ。」
……この男やっぱり大嫌いだ。
この男、最強の称号とは程遠い容姿をしている。シミ一つない白い肌に目は見えているのだろうかと疑う程透き通ったブルーの瞳。それを縁取る髪と同じ色の光り輝く金色の睫毛。筋の通った高い鼻梁に形のよい薄いピンク色の唇。
どれを取っても完璧に美しい。女なら手込めにしている所だが残念な事に男で世界最強の人間だ。俺の権力が及ばぬ所に唯一いる存在がこの男だ。
そして年下の癖に俺を敬わず怯えもしないこの男が俺は大嫌いだ。しかし背に腹は変えられない。
上手く騙せたようだし、後で根回しするとしよう。万が一バレてもディランは俺を殺す事は絶対にしない。何故なら彼はこの国を守る兵器だからだ。この国を守るという事はこの国の人間を守るという事なので彼はこの国の人間を殺す事は出来ない。だから今まで俺は彼に殺される事がなかったと言える。
客室へ案内され俺は善は急げとこれからの話をしようとした。その時、部屋をノックする音がする。
「っ!!」
……不敬である。この俺が話そうとしている時に遮るとは……はっ!!いけないいけない!ガクブル、ガクブル。
ディランは席を立つと扉まで行き俺に相手が見えない様にティーセットを受け取ると戻って俺の前にガシャン!と置いた。台無しだ。半分以上溢れてるじゃないか。
「で?どういう事か詳しく説明していただこうか?」
ドカっと俺の前に座ると俺を射殺さんばかりに睨んできた。
何故睨む?
「ディラン殿には常に私と行動を共にして欲しい。それ程の危機的状況なのだ。」
「何故この俺が?一体誰に狙われているというのです?」
この国の全ての人間に
ついこの間民の暮らしなんて知らぬと税金上げたしなぁ。
「まだハッキリと分かっていないのだ。全ての民が敵だと思っていてくれ。」
上手く本当の事が言えた。
「ふん、全ての民が宰相閣下の敵なら俺の敵は宰相閣下になりますね。俺はこの国の民を守る為に存在するのですから。」
しまった、確かにそうだ。
「私もこの国の人間だ。貴方の守る理由になるだろう。」
ディランはチッと舌打ちをして「忌々しい事にな。」と呟いた。
聞こえてるが?
不敬である。この男の知り合い全てを廃人にしてやろうか。
……はっ!これはいけない、今まで幾度となくこの男を苦しめる為に罠を仕掛けたが一向に引っ掛からなかったじゃないか。
それに俺はもう人に悪い事はしたくないんだ。今までの事も申し訳ない気持ちでいっぱいなんだ。
本音を言えば報復が怖い!ガクブル、ガクブル。
「確かに顔色が悪いようだ。今日の所は客間を使われるがいいだろう。」
「それはありがたい。」
俺は生まれて初めてホッとした。悪い事を考えないと心が穏やかだな。
「余程の事らしいな。宰相閣下のそんなお顔を初めて見ました。」
驚いたようにディランが身を引き「ほう。」とソファの背にもたれた。
「そんな顔?」
俺は頬に手を当てディランを見る。
「これ以上ない程の間抜けな顔をなさっておいでだ。」
……この男やっぱり大嫌いだ。
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