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第二章 開戦
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「完全回復です!」
「マリナ、まだ「完全」ではないから少し落ち着こうか」
マリナの意識が戻って約一ヵ月。ようやく普通に話せるようになり、運動も激しく動いても大丈夫になった。だがまだ体力が戻っていなくて、以前のように鍛錬をしているが身体が追い付かないのか何度か倒れそうになっていた。
「でもキース様、お医者様はすごい回復力だと言っていましたわ。私もこんなに早く回復するとは思っていませんでした!」
そう言って嬉しそうにくるりと一周回って見せてくる。この場合の一周とはバク転のことだ。元気過ぎてびっくりする。というか俺でも出来ないぞ、今のは。
「元気なのは俺も嬉しい。だがまた倒れたらと思うと心配だから追う少し落ち着かないか?大人しく……」
「私が大人しく、なんて出来ると思いますか?」
「おも……わないな。残念ながら」
「でしょう?心配なさらずとも無理はしませんから」
これで社交界の華なんだからびっくりするな。公の場では淑やかにしているが身内だけしかいないとこの元気さ。心を開いてくれていると思えば良いことなのか…?まあ何をしていても可愛いからいいか。
「ところでキース様。王都に新しいカフェが出来たと聞いたのですけど、一緒に行きません?」
「……」
マリナが動けるようになって少し経ったがまだ出かけてなかったな。義父上たちもこちらに来てくださったしずっと屋敷内にいれば暇にもなるか。
「分かった。今から行こうか」
「お仕事は大丈夫なのですか?」
「ああ。馬車で待っているからゆっくり準備してくると良い」
「ありがとうございます!」
やった!と声を上げて俺の部屋を出て行った。廊下からマリナ様~という声が聞こえてくるのできっと走ってはいなくても早歩きでもしているのだろうな。元気と言ってもそのあたりはちゃんとしているので屋敷内で走ったりはしない。それでも行き先までの道のりをどうやってか短縮していくので、この屋敷にはマリナ専用の隠し通路でも造られているのではないかと時々思うことがある。
勝手に穴でもあけていたりしないよな?……大丈夫だよな?
さすがのマリナもそこまではしないと思いたいが言い切れないのが残念だな。
◇
「わぁ……久しぶりの王都です!久しぶりの外出です!」
「そうだな」
久し振りだと言ったマリナはドレスではなくお忍び用のワンピースを着ていた。長い髪も一つにまとめ上げている。前回街に出た時同様、すでに大勢の人たちに囲まれた後だが、久しぶりでテンションが高いからか疲れは感じない。今日はカフェに行くついでにマリナの店にも寄るのだそうだ。しばらく様子を見に行ってなかったから顔を出した方が良いだろうと言っていた。
「マリナ、まだ「完全」ではないから少し落ち着こうか」
マリナの意識が戻って約一ヵ月。ようやく普通に話せるようになり、運動も激しく動いても大丈夫になった。だがまだ体力が戻っていなくて、以前のように鍛錬をしているが身体が追い付かないのか何度か倒れそうになっていた。
「でもキース様、お医者様はすごい回復力だと言っていましたわ。私もこんなに早く回復するとは思っていませんでした!」
そう言って嬉しそうにくるりと一周回って見せてくる。この場合の一周とはバク転のことだ。元気過ぎてびっくりする。というか俺でも出来ないぞ、今のは。
「元気なのは俺も嬉しい。だがまた倒れたらと思うと心配だから追う少し落ち着かないか?大人しく……」
「私が大人しく、なんて出来ると思いますか?」
「おも……わないな。残念ながら」
「でしょう?心配なさらずとも無理はしませんから」
これで社交界の華なんだからびっくりするな。公の場では淑やかにしているが身内だけしかいないとこの元気さ。心を開いてくれていると思えば良いことなのか…?まあ何をしていても可愛いからいいか。
「ところでキース様。王都に新しいカフェが出来たと聞いたのですけど、一緒に行きません?」
「……」
マリナが動けるようになって少し経ったがまだ出かけてなかったな。義父上たちもこちらに来てくださったしずっと屋敷内にいれば暇にもなるか。
「分かった。今から行こうか」
「お仕事は大丈夫なのですか?」
「ああ。馬車で待っているからゆっくり準備してくると良い」
「ありがとうございます!」
やった!と声を上げて俺の部屋を出て行った。廊下からマリナ様~という声が聞こえてくるのできっと走ってはいなくても早歩きでもしているのだろうな。元気と言ってもそのあたりはちゃんとしているので屋敷内で走ったりはしない。それでも行き先までの道のりをどうやってか短縮していくので、この屋敷にはマリナ専用の隠し通路でも造られているのではないかと時々思うことがある。
勝手に穴でもあけていたりしないよな?……大丈夫だよな?
さすがのマリナもそこまではしないと思いたいが言い切れないのが残念だな。
◇
「わぁ……久しぶりの王都です!久しぶりの外出です!」
「そうだな」
久し振りだと言ったマリナはドレスではなくお忍び用のワンピースを着ていた。長い髪も一つにまとめ上げている。前回街に出た時同様、すでに大勢の人たちに囲まれた後だが、久しぶりでテンションが高いからか疲れは感じない。今日はカフェに行くついでにマリナの店にも寄るのだそうだ。しばらく様子を見に行ってなかったから顔を出した方が良いだろうと言っていた。
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面白かったです。次の更新もお待ちしております!
感想ありがとうございます!とても励みになります!
少し先になるかもしれませんが必ず更新致しますので少々お待ちくださいませ。
更新お待ちしてました!!
これからどうなってしまうんだろう。
平和な世界が早く来て欲しい(涙)
ありがとうございます!
そうですね、平和な世界になってほしいと思いますが…どうでしょう?一難去ってまた一難、マリナたちも大変ですね(笑)