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第二章 開戦

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「庭園でどこか行きたい場所はあるか?」
「『以前セシルに頼んで私用に庭の一角を頂いたので、そこの様子を見に行きたいです』」
「分かった」

セシルがマリナがいない間にもちゃんと代わりに手入れしておくと言っていたところだな。

「ほら、着いたぞ。…ここにあるのは全てマリナが植えたのか?」
「『はい』」
「どういったものを植えているんだ?」
「『各種薬草と茶葉、染物やアクセサリーなどの商品に使用する花などですね』」

実用的なものばかりなんだなと言うと、観賞用はセシルがたくさん植えてくれていますからねと書いて見せてきた。たしかにその通りだが、本業が皇族の影だとしても商売人気質な者がベルト侯爵家には多いというのは本当だな。商売の話をしているとき、マリナはとても楽しそうだ。マリナが楽しそうにしていると俺も嬉しい。

「薬草は何に使うんだ?薬が作れるのか?」
「『簡単なものでしたら。あとは化粧品を作ったり新しい商品を作るのにも活用してますね。すぐにこの一角が埋まってしまいそうです!』」

幸せそうに伝えてきた。うん、やっぱり可愛いだけでなくて綺麗でもあるな…じゃなくて。たしか温室が一つ余っていたな。

「それなら余っているから温室も使うか?結構な広さだが、セシルは使っていないからすぐに許可が下りると思うぞ」
「『よろしいのですか!ではお借りしたいです!』」
「そうだな。じゃあ今から聞きに行ってみるか」

マリナの碧色の瞳がエメラルドのようにキラキラ輝いている。以前より少し子供っぽくなった…とは少し違うが、俺に甘えてくるようになったか?抱き上げているからそう思うだけかもしれないが、何かが劇的に変わった気がする。

「セシル」
「!?だ、旦那様…あの、奥様はどうなさったので?」
「まだ自分では動けないから俺が抱き上げて移動しているだけだ。それより話があるんだが」

庭の手入れをしていたセシルが振り向いてこちらを見たかと思えば、同時に視界に入ってきたマリナに驚いたのか手に持っていた鋏を落とした。

「『以前セシルに頂いた庭では足りなくなりそうだから、温室を借りたいの。余っていると聞いたのだけど』」
「そういうことでしたら喜んで」
「『ありがとう!』」

温室はまた後日見に行くということで、今日の散歩は終了した。ほぼ一日中ベッドの中で暇ではないかと思ったが、商品づくりをするらしい。俺もそばにいるようにしているので、企業秘密ではないかと聞いたが俺なら良いらしい。身内だからだそうだ。
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