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第二章
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「お気になさらず。それに先程まで化粧品を調合しておりましたからまだ眠くはないのです」
「そうか。最近よく調合やら仕事やら社交やら動き回っているようだが、また倒れてはいけないから体を休めるんだぞ?」
また、というのはスキーに行った時のことを言っているのだろう。あれはトラウマがフラッシュバックしただけで体調不良によるものではない。
「それを言うならリュード様です。お忙しいのは分かりますが出来るだけ体を休めてください。よろしければこちらをどうぞ」
「これは?」
「睡眠薬です。寝不足のようですから作りました。睡眠薬と言っても眠気を呼び起こすものではなく熟睡できるようにと作ったものです」
麻の袋に入れた錠剤と一緒に服用量を書いた紙を手渡す。昨日作った物で、初めて作ったので効果は自分で確認してある。一般的な睡眠薬とは違うが今のリュードにはこの薬がいいだろう。疲れているので眠ることは出来ても眠りが浅いようなので。
いつもはリュードがリリアを気遣ってくれているので今度はリリアが何かしてあげたいと思った結果だ。
「そうか、ありがとう。最近は寝る時間が少ないから熟睡できるのは助かる」
「それは良かったです。明日も早いですか?」
「いや、明日は六時くらいに出る」
ここ数日に比べれば遅い方だろう。それでもこれまでに比べると早すぎるくらいだ。
「お仕事はいつごろ落ち着きそうですか?」
「そうだな……あと一週間くらいか。少し先になるがセイティア帝国から国賓が来ることになっている。何をしに来るかまでは知らないがその準備で忙しい」
セイティア帝国から国賓…特に問題が発生したわけでも、発生しそうなわけでもないのでただの公務だろう。それにしても珍しい。この大陸の国はすべて友好国だがクレイス王国とセイティア帝国は交流が多いわけでもない。不仲ではないが物凄く親しいわけでもない。貿易が少ないので必然的にそうなっているのだが、まあ何か事情があるのだろう。
だがまあリリアが関わることもないのだし内容まで知る必要はない。
「でしたらお仕事が落ち着いたら何かご褒美でもあげましょうか?私に出来ることならなんでもいいですよ?」
「…それ、他の男には絶対言うなよ」
「?分かりました」
(なぜかしら?まあ別に言うつもりはないけれど)
「それならリリアの一日をもらいたい。久しぶりにデートしないか?」
「そんなことで良いのなら。夏祭り以来ですね」
「ああ。楽しみにしておこう。俺はまだ仕事があるから今日はもう寝ろ」
「はい。おやすみなさい、リュード様。明日は頑張って起きますから一緒に朝食を食べましょうね」
嬉しそうに頷いたのを確認し、リリアは寝室に戻った。
(デート、私も楽しみにしていましょ。久しぶりに楽しくなりそうだわ)
「そうか。最近よく調合やら仕事やら社交やら動き回っているようだが、また倒れてはいけないから体を休めるんだぞ?」
また、というのはスキーに行った時のことを言っているのだろう。あれはトラウマがフラッシュバックしただけで体調不良によるものではない。
「それを言うならリュード様です。お忙しいのは分かりますが出来るだけ体を休めてください。よろしければこちらをどうぞ」
「これは?」
「睡眠薬です。寝不足のようですから作りました。睡眠薬と言っても眠気を呼び起こすものではなく熟睡できるようにと作ったものです」
麻の袋に入れた錠剤と一緒に服用量を書いた紙を手渡す。昨日作った物で、初めて作ったので効果は自分で確認してある。一般的な睡眠薬とは違うが今のリュードにはこの薬がいいだろう。疲れているので眠ることは出来ても眠りが浅いようなので。
いつもはリュードがリリアを気遣ってくれているので今度はリリアが何かしてあげたいと思った結果だ。
「そうか、ありがとう。最近は寝る時間が少ないから熟睡できるのは助かる」
「それは良かったです。明日も早いですか?」
「いや、明日は六時くらいに出る」
ここ数日に比べれば遅い方だろう。それでもこれまでに比べると早すぎるくらいだ。
「お仕事はいつごろ落ち着きそうですか?」
「そうだな……あと一週間くらいか。少し先になるがセイティア帝国から国賓が来ることになっている。何をしに来るかまでは知らないがその準備で忙しい」
セイティア帝国から国賓…特に問題が発生したわけでも、発生しそうなわけでもないのでただの公務だろう。それにしても珍しい。この大陸の国はすべて友好国だがクレイス王国とセイティア帝国は交流が多いわけでもない。不仲ではないが物凄く親しいわけでもない。貿易が少ないので必然的にそうなっているのだが、まあ何か事情があるのだろう。
だがまあリリアが関わることもないのだし内容まで知る必要はない。
「でしたらお仕事が落ち着いたら何かご褒美でもあげましょうか?私に出来ることならなんでもいいですよ?」
「…それ、他の男には絶対言うなよ」
「?分かりました」
(なぜかしら?まあ別に言うつもりはないけれど)
「それならリリアの一日をもらいたい。久しぶりにデートしないか?」
「そんなことで良いのなら。夏祭り以来ですね」
「ああ。楽しみにしておこう。俺はまだ仕事があるから今日はもう寝ろ」
「はい。おやすみなさい、リュード様。明日は頑張って起きますから一緒に朝食を食べましょうね」
嬉しそうに頷いたのを確認し、リリアは寝室に戻った。
(デート、私も楽しみにしていましょ。久しぶりに楽しくなりそうだわ)
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