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第二章

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「姉一人守れないで、助けられないで何が愛し子ですか!愛し子なら、そんな大きな力を持つのなら姉一人助けられて当然でしょうに!わたくしは誰よりも何よりも自分のことが許せない!」

そう言ってリリアは泣き出した。ここ数か月で何度泣いているところを見ただろうか。リリアがこんなにも苦しんでいたのは自分のせいだと思っていたからだった。

「姉様の最期の言葉っ、わたくしは一言一句間違えずに覚えています。『無事で良かった、わ。あまり…長い間、一緒にはいられなかった、けど……お父様とお母様と、リリアとシモンがいて…幸せだったわ。どうか、私の分まで幸せになってね………愛している、わ。リリア、シモン…』。無事でよかった!?全然良くないです!代わりに姉様が犠牲になってどうするのよ!」
「リリア、落ち着け」
「リリーは全然分かっていないわ!わたくし達を愛していると言ったなら、自分だって愛されていたと分かりなさいよ!リリー姉様の馬鹿!!」

リュードを痛いくらいに抱きしめるリリアの姿は、まるで姉をこの世に引き留めたがっているかのようだった。その悲痛な声から、リリアがどんなに姉を愛していたかが伺える。

「…ふ……うっ………リリー……姉様っ」
「リリア…」
「……ううっ…ひ…………う…ごめん、なさい。ねえさまっ……わたくしのせいで」

大事だったのに、大好きだったのに、わたくしは姉様のことを助けられなかった。もっと加護が使えたら助かっていたかもしれないのに。そんな風に泣くリリアは幼子のようだった。ずっと我慢していたのについに声をあげて泣き出してしまったリリアの背中をさするリュードの顔はリリーの存在を知ったからか複雑そうで、でもリリアと同じく泣きそうだった。

「……姉様じゃなくて……っ…わたくしが死ねば良かったのに…………」
『「リリア!」』

自分が死ねば良かったなどと言うリリアを咎めるように声を荒げたのは、リュードだけではなかった。体が透けてはいるが、ちゃんと実態のある一人の女性がそこには立っていたのである。

「っ!ねえ、さま?」
『なんてこと言うの!自分が死ねば良かっただなんて!』

そこにはもう存在しないはずのリリーが、亡くなった5歳の頃の姿ではなく今のリリアと同じくらいの年齢の姿で目を吊り上げて立っていた。
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