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青春日記05 『奴隷と俺 ②』

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あれから何日か経った。

俺は慎也さんと一緒に

また誠二さんの家に行く事になった。

正直行きたくはなかったが

どうしても来いと言うので

慎也さんに付いて行った。



誠二さんの家に着くと奴隷は居なかった。

ホッとした気持ちになった。

またあの忌々しい光景を見ずに済んだと

本当に安心したんだ。

奴隷のいない時の誠二さんは

携帯を触りながら笑い話をする

そこらへんにいるヤンキーだ。

煙草を吹かし

この間の喧嘩の話や

どこどこの女が可愛いなど

これといってツッコミどころのない

普通の会話だ。


何気ない会話をしていると

部屋のドアが開いた。

そこにいたのは奴隷だった。



谷に突き落とされる気分だった

なぜ懲りずにまた来るのか

断る勇気がないのか

恐怖心からそうさせているのか



恐いのは分かるが、正直に言って

バカとしか思い様が無かった。

それだけではない。

一番に嫌気がさすのは

奴隷がいると周りがイキリ立つ事だ。

また気持ちの悪い空気が

部屋中を包んだ。

するとトイレに行っていたのか、

時間差でもう一人 知らない男が

気持ちの悪い空間に入ってきた。


名前は昌さん。

スポーツ刈りにジェルを塗った髪型

目が細く、眉毛がない

痩せ型のキツネ顔だ。



ちなみに誠二さんは

金髪アイロンパーマのリーゼント。

見た目がトカゲみたいで色黒の肌。

とにかくしつこい顔と言う感じだ。


慎也さんは

長めの髪型を後ろに流した髪型で

口と鼻と耳にピアスが付いており

見た目はモテ男

中指にリングの刺青を彫っている。


俺は

前髪を上げて、茶髪の襟足が長く

眉毛は爪楊枝

中指には慎也さんと同じリングの刺青を

彫っていた。


ちなみに奴隷は

180センチほどの高身長

かなりの痩せ型。

顔はこれがかなりのイケメンで

本人は自覚はないようだが

モテると思う。


昌さんは

空手の有段者で喧嘩もかなり強かった。

こんな5人がこの気持ち悪い空間に

収まった。これから始まる事に

奴隷は不安な顔をひとつも見せずに

ただ、無表情だった。



誠二さんが口を開いた。


『おい、肩パンしようぜ』


慎也さんと昌さんはノリ気だった。


『ジャンケンで負けた奴だからな』


普通の遊びもするんだなと思っていた。


ジャンケンで負けたのは

誠二さんだった。

だが、なぜか奴隷が負けた事になる。


ジャンケンはあくまでも形だ。

結局、殴られるのは奴隷1人だった。

何度もジャンケンをして

殴られた奴隷。

殴られた肩は

赤黒い色をしていた。



俺は本気で殴ってはいない。

殴れるはすがなかった。



そんな俺の行動を見た誠二さんは

気に入らなかったみたいだ。



誠二さんは慎也さんに言った。



『慎也の後輩って見た目だけかよ』

慎也さんはイラついていた。

矛先は俺にだ。



お前のせいで俺はヘタレだと思われるている

それは慎也さんから俺へのクレームだ


『ちゃんと殴れや』

『分かりました。』


次は4割程度で殴りました。




奴隷は分かっていたはずだ。

俺が手加減していること。




恩義に感じなくても良い事だけど 

ただ、この優しさが違う形へと





奴隷に伝わってしまったみたいだ。
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