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青春日記03 「 奴隷 」

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俺は中学三年生になった。

仲の良い先輩の慎也さんは高校生になった。


ここで新しい出会いもあったみたいで

『会わせたい人がいる』

その慎也さんの言葉が重く乗し掛かった

『誠二だ。適当に呼んでよ』


この人の出会いが慎也さんと出会った事を

後悔した一番の原因だった。



誠二さんはとなりの市に住んでいて

地元ではないのだが、そんな事は

金持ちの慎也さんにとっては送迎車付きの

ドライバーが当たり前にいて

関係がなかったみたいで週末は

誠二さんの家で集まる事が多くなった。


誠二さんはとにかく俺に優しかった。

俺が吸っている煙草の銘柄を事前に

ワンカート用意してくれてたり

飯を奢ってもらったり

慎也さんとどっちが俺に奢るかで張り合って

いたもんだから俺としては特でしかなかった。

誠二さんは慎也さんに劣らず家は資産家で

金持ちときたもんだから

金銭感覚が狂っていてすべてが豪快だった。

そんないろいろ狂ってる中でも

一番狂ってるなと思った事があった。

それは暴力性だ。

ある日突然現れたのが、誠二さんの付き人だ。

よくわからないが誠二さんの扱い方を見ると

完全な奴隷だった。

俺は当時15歳で慎也さんも誠二さんも

共に16歳だったが、付き人は19歳だ。

さっきも言ったが、この人は奴隷だ。

名前すら知らない。紹介もされていない。

ただ、慎也さんは見慣れた様子だった。


『こいつ19歳のくせに俺に言いなりなんだよ。
マジだせぇーよ』

と奴隷に罵声を浴びせながら横腹に蹴りを入れた。

『うぅ…』

その場で疼くまった奴隷は苦しんでいた。

その様子を見て高々と笑う誠二さん

無表情の慎也さん


『痛い?おい?痛いの?めっちゃ面白いじゃん!』

『じゃーこれは?』


誠二さんはさらに奴隷の腹を殴った。

『うぅ…』

奴隷は口からヨダレを垂らしながら苦しんでいる


またもや高笑いをする誠二さん。



『いつまで疼くまってんだよ 早く部屋掃除しろや』



お腹を抑えながら無言で起き上がり

無言で掃除を始める奴隷。






俺はかなり引いていた。

でも、慎也さんがこの状況を見て真顔だった
 
その理由がすぐにわかった。




『そうだ。慎也の後輩に面白い物を見してやるよ』


部屋の灰皿を掃除していた奴隷に

命令を下した。





『おい、服脱げよ』




俺はまったく理解ができなかった。

男の裸を見る趣味は無い。

なにを言ってるんだと思っていたが

すぐに意味がわかった。




奴隷は服を無言で脱ぎ始めた。

全身に数十ヶ所のアザがあった。

腹、胸、腕

これは先ほどの暴行で出来たアザではない




さらに奴隷の体をよく見ると

数十ヶ所に及ぶ

煙草の焼け跡があったんだ。



『もう服着ていいですか?』



奴隷は誠二さんに尋ねる


すると誠二さんは答えた。



『ちょっと待てよ。今煙草吸い始めてたばかりじゃん』




奴隷は下を向いた。



俺はこの状況をうまく処理出来なかった。

なぜこんな仕打ちを受けているのに

抵抗をしないのか

なぜ誠二さんの奴隷なのか


あの当時はわからなかったが

今思えば洗脳されてたんだな。

恐怖心を植えつけられて逆らえなかった




あの時代、この小さな小さな世界が全てだった

弱い俺にはこの人の味方をする訳には

いかなかったし、出来なかった。
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