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21.鵺
009
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「お前さあ、さっきからさあ、カッケーよなあ」
薄笑いを浮かべながら、乙女は無造作に丘の頂上へ向けて一歩を踏み出した。薬子は怪訝な顔で乙女を見つめている。
「ちょ、ちょっと、オトメ……」
ミラはそっと袖を引きながら乙女の表情を 窺ったが、何か異様な雰囲気を感じとりすぐに手を離した。
「たけーとこからヒト見下ろしてよお、ウダウダくっちゃべってさあ」
乙女は、近づいてきていた骨の頭骨を掴み、ノータイムで握りつぶす。
「お前みてーなヤツだと、ただ煽ってるだけでも映えるよなぁ。オーラがあるからよお」
「……どうも」
「でもよぉ、さんざんカッコつけて上から目線でヒトのこと煽ってたヤツがさあ、ボロクソに負けたらメッチャカッコ悪くね?」
乙女は先程頭蓋骨を潰した骸骨の、肋骨内部に無造作に手を突っ込んで胸骨を掴んだ。
「!」
薬子は、今日初めての動揺を見せる。乙女の目を見てしまったのだ。顔は笑っているが、眼には微笑みの欠片もない。完全に据わっている。
よくよく見ると、火の灯っている如く、瞳の奥がほんのり朱に染まっているようにさえ思えた。
「どけよ!」
乙女は、胸骨を掴んだまま頭蓋骨が再生しかかっているのもかまわず、人骨をブンブン振り回す。周囲の骸骨が棒切れのように吹き飛んだ。
「あ、あなたの身体どうなってるのよ?」
歯を食いしばり、ミラが足に力を込める。乙女にも屍毒はバッチリ効いているはずだが、 それを微塵も感じさせない強烈な所作で薬子に近づいていく。
「しょうがないか……眷属があんなに頑張ってるんだから……気は進まないけど……」
ミラは深く息を吐き、目を閉じた。
頂上に着いた乙女は、手にした骸骨を思い切り振りかぶり薬子に叩きつける。骨は粉々に砕け散ったが、薬子は平然としていた。
「出てこい、てめえ!」
乙女は拳で、薬子の周囲に存在する透明な壁を殴り続けている。
「無駄よ! ちょっと待ってなさい!」
声と共に、黒い塊が機関車のように四つ足で坂を疾走してきた。頭突きの要領で額を透明な壁にぶつけると、前足で地面を掘り始める。
あっという間に穴が開き、地に刻まれた円が途切れると見えない壁もその部分は消滅したようだった。
薬子は舌打ちし、素早く手にした小刀で線を引きなおそうとするが、その手首をガッチリ掴まれる。
薄笑いを浮かべながら、乙女は無造作に丘の頂上へ向けて一歩を踏み出した。薬子は怪訝な顔で乙女を見つめている。
「ちょ、ちょっと、オトメ……」
ミラはそっと袖を引きながら乙女の表情を 窺ったが、何か異様な雰囲気を感じとりすぐに手を離した。
「たけーとこからヒト見下ろしてよお、ウダウダくっちゃべってさあ」
乙女は、近づいてきていた骨の頭骨を掴み、ノータイムで握りつぶす。
「お前みてーなヤツだと、ただ煽ってるだけでも映えるよなぁ。オーラがあるからよお」
「……どうも」
「でもよぉ、さんざんカッコつけて上から目線でヒトのこと煽ってたヤツがさあ、ボロクソに負けたらメッチャカッコ悪くね?」
乙女は先程頭蓋骨を潰した骸骨の、肋骨内部に無造作に手を突っ込んで胸骨を掴んだ。
「!」
薬子は、今日初めての動揺を見せる。乙女の目を見てしまったのだ。顔は笑っているが、眼には微笑みの欠片もない。完全に据わっている。
よくよく見ると、火の灯っている如く、瞳の奥がほんのり朱に染まっているようにさえ思えた。
「どけよ!」
乙女は、胸骨を掴んだまま頭蓋骨が再生しかかっているのもかまわず、人骨をブンブン振り回す。周囲の骸骨が棒切れのように吹き飛んだ。
「あ、あなたの身体どうなってるのよ?」
歯を食いしばり、ミラが足に力を込める。乙女にも屍毒はバッチリ効いているはずだが、 それを微塵も感じさせない強烈な所作で薬子に近づいていく。
「しょうがないか……眷属があんなに頑張ってるんだから……気は進まないけど……」
ミラは深く息を吐き、目を閉じた。
頂上に着いた乙女は、手にした骸骨を思い切り振りかぶり薬子に叩きつける。骨は粉々に砕け散ったが、薬子は平然としていた。
「出てこい、てめえ!」
乙女は拳で、薬子の周囲に存在する透明な壁を殴り続けている。
「無駄よ! ちょっと待ってなさい!」
声と共に、黒い塊が機関車のように四つ足で坂を疾走してきた。頭突きの要領で額を透明な壁にぶつけると、前足で地面を掘り始める。
あっという間に穴が開き、地に刻まれた円が途切れると見えない壁もその部分は消滅したようだった。
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