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1.婚約破棄まであと6ヶ月
2.悪役令嬢、怒る
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「ふっざけんじゃないわよ!
あんのクソキザ嘘つき王子!!」
自室に戻った私はクッションをベッドに叩きつける。
「どうどう。あ、間違えた。まあまあ。キーナ様、落ち着いて紅茶でも飲みませんか。」
執事のジルがにっこり笑いながら、お茶の準備を始めた。
「私は落ち着いてるわよ!ただ腹立たしいだけ!!っていうか、あなた今、私のこと動物扱いしなかった?」
私はジルを睨みつけながら、勢いよくソファに座った。ジルは聞こえないフリをして楽しそうにティーカップを並べている。
ったく、この執事は!!
「それより、あの女は誰!?アレン様は私に一度も触れた事ないくせに、あの女の髪は躊躇なく触っていたわ。しかも愛おしそうに!!これって浮気よね!?」
「んー、確かにアレン様とキーナ様は婚約者同士ですが、実際にお付き合いしているような関係性までは築けていないですよね。だから浮気とは言えないかもしれませんね。
というか、お二人は5才の時に婚約者になったのに、未だに仲が良いわけでもないですしねー。友達以上恋人未満。いや、知人以上友達未満じゃないですか。」
ジルに指摘され言葉に詰まる。
確かに私とアレンは未だに他人行儀だ。
アレンは当たり障りのない会話しかしてこないし、私もありのままの自分は見せず、常にアレン好みの理想の王太子妃候補を演じている。
正直、アレンを好きかと聞かれたら即答できない。だって、アレンの私に対する気持ちが分からないから。もしかしたら私の事は好きじゃないのかもしれない。この不安はいつも心の片隅でモヤモヤとしている。
「…でも、不誠実だわ。」
「まあ、アレン様も恋をしたい年頃なんじゃないですか?なんせこの国の第一王子というブランドに加えて容姿端麗で穏やかな性格ですし、信じられないくらいモテるでしょう。
あ、一緒にいらっしゃったご令嬢はとても美しい方でしたよね。とてもお似合いなお2人でしたね。まさに絵になる2人!」
「ジル。あなた、あの女より私の方が劣るっていうの?ちょっとは私のフォローしなさいよ。というか、アレン様も恋がしたいなら私としなさいよ!婚約者なんだから!」
私はジルの淹れてくれた紅茶を一気に飲み干し、用意されていたクッキーを口に放り込む。
「相変わらず豪快に食べますね。一応ハンドリー公爵家のご令嬢なんですから、マナーにはお気をつけ下さいね。」
ジルは呆れたような顔をしながら、おかわりの紅茶を注いでくれた。
「うるさいわね。自室にいる時くらい好きにさせなさいよ。」
「で、これからどうするおつもりですか?」
どうするって言われても…。
はぁー。
ため息しか出ないわ。
あんのクソキザ嘘つき王子!!」
自室に戻った私はクッションをベッドに叩きつける。
「どうどう。あ、間違えた。まあまあ。キーナ様、落ち着いて紅茶でも飲みませんか。」
執事のジルがにっこり笑いながら、お茶の準備を始めた。
「私は落ち着いてるわよ!ただ腹立たしいだけ!!っていうか、あなた今、私のこと動物扱いしなかった?」
私はジルを睨みつけながら、勢いよくソファに座った。ジルは聞こえないフリをして楽しそうにティーカップを並べている。
ったく、この執事は!!
「それより、あの女は誰!?アレン様は私に一度も触れた事ないくせに、あの女の髪は躊躇なく触っていたわ。しかも愛おしそうに!!これって浮気よね!?」
「んー、確かにアレン様とキーナ様は婚約者同士ですが、実際にお付き合いしているような関係性までは築けていないですよね。だから浮気とは言えないかもしれませんね。
というか、お二人は5才の時に婚約者になったのに、未だに仲が良いわけでもないですしねー。友達以上恋人未満。いや、知人以上友達未満じゃないですか。」
ジルに指摘され言葉に詰まる。
確かに私とアレンは未だに他人行儀だ。
アレンは当たり障りのない会話しかしてこないし、私もありのままの自分は見せず、常にアレン好みの理想の王太子妃候補を演じている。
正直、アレンを好きかと聞かれたら即答できない。だって、アレンの私に対する気持ちが分からないから。もしかしたら私の事は好きじゃないのかもしれない。この不安はいつも心の片隅でモヤモヤとしている。
「…でも、不誠実だわ。」
「まあ、アレン様も恋をしたい年頃なんじゃないですか?なんせこの国の第一王子というブランドに加えて容姿端麗で穏やかな性格ですし、信じられないくらいモテるでしょう。
あ、一緒にいらっしゃったご令嬢はとても美しい方でしたよね。とてもお似合いなお2人でしたね。まさに絵になる2人!」
「ジル。あなた、あの女より私の方が劣るっていうの?ちょっとは私のフォローしなさいよ。というか、アレン様も恋がしたいなら私としなさいよ!婚約者なんだから!」
私はジルの淹れてくれた紅茶を一気に飲み干し、用意されていたクッキーを口に放り込む。
「相変わらず豪快に食べますね。一応ハンドリー公爵家のご令嬢なんですから、マナーにはお気をつけ下さいね。」
ジルは呆れたような顔をしながら、おかわりの紅茶を注いでくれた。
「うるさいわね。自室にいる時くらい好きにさせなさいよ。」
「で、これからどうするおつもりですか?」
どうするって言われても…。
はぁー。
ため息しか出ないわ。
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