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竜人の子、旅立つ
27.愛情表現
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ピンポーン。
再び玄関のチャイムが鳴りシロが出ると、訪ねてきたのはユーロンだった。
「勉強は捗っているか?近くに来たから食事を買ってきたんだ。スノウとルーフの分もあるぞ」
そういってユーロンは弁当の入った袋をシロに渡した。
「ありがとうございます。上がっていきますか?シャオルさんも来てますよ」
「な、シャオルの奴…!あいつ、またスノウに会いに…。はあー、だからさっき色々聞いてきたのか。迷惑かけてすまないな、シロ」
ユーロンは呆れ気味にブツブツ言いながら「じゃあ少し寄らせてもらおうか」と言って部屋に入った。
リビングではシャオルがスノウを熱っぽく見つめている。
「あのー…、シャオル君?そんなに見つめられると食べにくいんだけど…」
そう言いつつもスノウはドーナツに口を付ける。
「久しぶりに会えたんだから、少しくらい見つめさせてください」
シャオルがスノウの唇に手を伸ばそうとした時、ユーロンのゲンコツがシャオルの頭に直撃した。
ガツンッ!!「痛っ!!」
両手で頭を押さえるシャオルの耳をユーロンが引っ張る。
「シャオル!お前はまたスノウを困らせているのかっ。というかシロの勉強の邪魔になるだろう!!」
「ち、父上!?痛い痛い痛いっ!俺だって今来た所だし、すぐ帰りますよ。それにスノウさんと全然会えないんですもん!大目に見てください!」
「見るか!何が会えないんですもん、だ!スノウはお前の相手をするほど暇じゃない。お前だって学校の課題が山ほど出ているだろう!」
ユーロンとシャオルの親子らしいやり取りにシロは思わず笑った。
初めてシャオルと会った時は物静かで大人なイメージだったが、こんな子供らしい一面も残っているんだと可笑しくなった。となりでスノウもクスクスと笑っている。
「シャオルさんって意外と子供っぽい一面があるんですね」
シロが話しかけると、スノウは「ね、ああいうところが可愛いよね」と愛おしそうに笑った。
シロは少し考えてから「…俺は別に可愛いとは思わなかったですけど、スノウさんってシャオルさんが好きなんですか?」と聞いた。
「へ?え!?いや、そういう意味じゃなくて…!!や、やだなーシロ君!変な事言わないでよ!」
顔を赤くして誤魔化すスノウを無視してシロは続けた。
「でもシャオルさんもスノウさんの事が大好きですよね。わざわざスノウさんの好きなドーナツ買ってきたり、忙しくても合間を縫って会いにきたり。なんか愛って感じでキュンとしました。すごく勉強になります」
シロもルーフに対して愛情表現をもっと分かりやすく伝えていこうと思った。
時間がないとか、ルーフがそっけないとか言い訳なんてしていられない。騎士学校に進学したら、最低3年間は会えなくなるんだ。だったら今出来る事を最大限にするべきだ。
「ちょ…ちょっとシロ君。僕とシャオル君は別に…その、何もないからね?ね、聞いてる?」
ガチャ…。
扉が開く音がして振り返ると、眉間に皺を寄せたルーフが帰ってきた。
「おいおい、いつから俺の家は竜人の溜まり場になったんだ」
「ルーフ!おかえり!!」
シロはルーフに飛びついた。
「重い!なんだよ急に!!」
怒るルーフの頬にシロはキスをした。
「愛情表現!大好きだよ、ルーフ!」
シロの熱烈な歓迎にルーフは呆れながらも「うぜぇほど知ってるよ」と笑った。
再び玄関のチャイムが鳴りシロが出ると、訪ねてきたのはユーロンだった。
「勉強は捗っているか?近くに来たから食事を買ってきたんだ。スノウとルーフの分もあるぞ」
そういってユーロンは弁当の入った袋をシロに渡した。
「ありがとうございます。上がっていきますか?シャオルさんも来てますよ」
「な、シャオルの奴…!あいつ、またスノウに会いに…。はあー、だからさっき色々聞いてきたのか。迷惑かけてすまないな、シロ」
ユーロンは呆れ気味にブツブツ言いながら「じゃあ少し寄らせてもらおうか」と言って部屋に入った。
リビングではシャオルがスノウを熱っぽく見つめている。
「あのー…、シャオル君?そんなに見つめられると食べにくいんだけど…」
そう言いつつもスノウはドーナツに口を付ける。
「久しぶりに会えたんだから、少しくらい見つめさせてください」
シャオルがスノウの唇に手を伸ばそうとした時、ユーロンのゲンコツがシャオルの頭に直撃した。
ガツンッ!!「痛っ!!」
両手で頭を押さえるシャオルの耳をユーロンが引っ張る。
「シャオル!お前はまたスノウを困らせているのかっ。というかシロの勉強の邪魔になるだろう!!」
「ち、父上!?痛い痛い痛いっ!俺だって今来た所だし、すぐ帰りますよ。それにスノウさんと全然会えないんですもん!大目に見てください!」
「見るか!何が会えないんですもん、だ!スノウはお前の相手をするほど暇じゃない。お前だって学校の課題が山ほど出ているだろう!」
ユーロンとシャオルの親子らしいやり取りにシロは思わず笑った。
初めてシャオルと会った時は物静かで大人なイメージだったが、こんな子供らしい一面も残っているんだと可笑しくなった。となりでスノウもクスクスと笑っている。
「シャオルさんって意外と子供っぽい一面があるんですね」
シロが話しかけると、スノウは「ね、ああいうところが可愛いよね」と愛おしそうに笑った。
シロは少し考えてから「…俺は別に可愛いとは思わなかったですけど、スノウさんってシャオルさんが好きなんですか?」と聞いた。
「へ?え!?いや、そういう意味じゃなくて…!!や、やだなーシロ君!変な事言わないでよ!」
顔を赤くして誤魔化すスノウを無視してシロは続けた。
「でもシャオルさんもスノウさんの事が大好きですよね。わざわざスノウさんの好きなドーナツ買ってきたり、忙しくても合間を縫って会いにきたり。なんか愛って感じでキュンとしました。すごく勉強になります」
シロもルーフに対して愛情表現をもっと分かりやすく伝えていこうと思った。
時間がないとか、ルーフがそっけないとか言い訳なんてしていられない。騎士学校に進学したら、最低3年間は会えなくなるんだ。だったら今出来る事を最大限にするべきだ。
「ちょ…ちょっとシロ君。僕とシャオル君は別に…その、何もないからね?ね、聞いてる?」
ガチャ…。
扉が開く音がして振り返ると、眉間に皺を寄せたルーフが帰ってきた。
「おいおい、いつから俺の家は竜人の溜まり場になったんだ」
「ルーフ!おかえり!!」
シロはルーフに飛びついた。
「重い!なんだよ急に!!」
怒るルーフの頬にシロはキスをした。
「愛情表現!大好きだよ、ルーフ!」
シロの熱烈な歓迎にルーフは呆れながらも「うぜぇほど知ってるよ」と笑った。
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