38 / 112
竜人嫌いの魔族、竜人の子供を育てる
12.忘却の魔法
しおりを挟む
「げほっ、げほっ…はぁっはぁ…はぁ」
オーラから解放された少年はその場に倒れ込み、大きく呼吸をした後に白目をむいて倒れた。少年の友達が「大丈夫か!?」と集まり必死に治癒魔法をかける。
シロは白銀の狼から目を逸らせずにいると、狼の金色の瞳がシロを見た。
「へへっ、早速ケンカかぁ?学校生活楽しんでんなー」
この声は…。
「ルーフさん?」
「あ?ああ、そっか。この姿をお前に見せるのは初めてだったな。格好良いだろ、狼姿のルーフさんは」
ルーフはぐるっと回ってポーズをとった。
白銀の毛並みがフワフワと気持ち良さそうに風に揺れ、見るからに柔らかそうな印象を与える。
「すごい…、カッコいいです!!わぁー…ふわふわだぁ。さ、触っていいですか?」
シロはモフモフしたい欲望で思わず両手を出しながら目を輝かせた。
近くにいた子供達も「わんちゃんだー!!触りたい!!」と言って嬉しそうにルーフに近寄ってきた。
先程まで闇魔力で怯えていた雰囲気は一気に消え、子供達の楽しそうな笑い声が戻ってきた。
「おいっ!やめろ!!俺は犬じゃねぇんだ!!あっち行け!!」
ルーフが唸りながらシロや子供達を追っ払っていると、校舎からアリーが血相を変えて走ってきた。
アリーは今だに気を失っている魔族の少年に駆け寄り「キバ君っ、大丈夫ですか!?」と声を掛け、治癒魔法をかけていた子供に「私が変わります」と言って治癒魔法の処置をした。土色だった少年の顔色は、あっという間に元に戻り呼吸も安定した。
「へぇ、さすが竜人先生様だな」
その様子を見ていたルーフが感心して呟くと、アリーはルーフを睨みつけた。
「竜人は関係ありません。この学校の教師なら治癒魔法くらい普通に使いこなせます。それよりこの騒ぎは一体何ですか?まさかまた貴方の仕業ですか?」
「違います!!これは僕が魔力をコントロール出来なくて…」
シロは慌てて話そうとすると、ルーフがシロの前に立ち「どうだかなぁ。ここで話す必要はないだろ」と笑った。
周りを見れば多くの子供達が興味津々の表情でルーフとアリーの会話に聞き耳を立てている。
アリーは深くため息をついた。
「…そうですね。ではルーフさんは応接室へ来てください。ルカ君、アリスさん、貴方達も顔色が悪いわ。治癒魔法をかけてあげる。」
アリーが治癒魔法をかけるとルカとアリスの顔色もすぐに良くなり怪我も治った。
アリーは立ち上がり「さあ、子供達。この出来事は全て忘れなさい。」と言って学校の敷地内にいた子供たち全員に忘却の魔法をかけた。
暖かな忘却の風が学校中に吹き抜けると、子供たちは無意識に元いた場所に戻り遊び始めた。
ルカとアリスも魔法の練習をしていた場所に戻っていて、何事もなかったようにシロに向かって手招きをしている。
まるで魔族の少年に絡まれる前に時間が戻ったかのようだった。
「先生、これって…」
シロはルカたちに手を振りながらアリーを見上げた。
「貴方が使った闇魔力の記憶を消したのです。その力は…あまり印象が良くありませんからね」
アリーは少し悲しそうな目をして答えた。
ー…『印象が良くない』
その言葉にシロは俯いた。
シロは自分の影から流れ出る闇魔力のオーラに恐怖を感じた。
闇魔力をコントロールする事も止める事もできなかった。もしルーフが来なかったから、あの魔族の少年を殺していたかもしれない。
祖父の言うようにやっぱり自分は「呪われた竜」なのではないだろうか。
こんな自分が空の下で楽しく生きてていいのだろうか。
今まで通り地下室で身を潜め、静かに暮らすべきではないだろうか。
消えたはずの闇魔力のオーラが、今度はシロの心をドロドロと飲み込むように広がっていく気がした。
するとルーフに頭をガシガシと撫でられた。
「そうか?魔族から見りゃ闇魔力は魅力的だぜ。要は使い方だ。シロなら使いこなせるさ。俺様がご指導してやるからよ!」
いつの間にか人の姿に戻っていたルーフは自信満々にガハハっと豪快に笑った。
「ルーフさん…。ふふっ、その自信はどこからくるんですか…」
シロもルーフの笑い声につられてクスクス笑った。シロの心を飲み込もうとしていた闇もルーフの笑い声に吹き飛ばされていった。
オーラから解放された少年はその場に倒れ込み、大きく呼吸をした後に白目をむいて倒れた。少年の友達が「大丈夫か!?」と集まり必死に治癒魔法をかける。
シロは白銀の狼から目を逸らせずにいると、狼の金色の瞳がシロを見た。
「へへっ、早速ケンカかぁ?学校生活楽しんでんなー」
この声は…。
「ルーフさん?」
「あ?ああ、そっか。この姿をお前に見せるのは初めてだったな。格好良いだろ、狼姿のルーフさんは」
ルーフはぐるっと回ってポーズをとった。
白銀の毛並みがフワフワと気持ち良さそうに風に揺れ、見るからに柔らかそうな印象を与える。
「すごい…、カッコいいです!!わぁー…ふわふわだぁ。さ、触っていいですか?」
シロはモフモフしたい欲望で思わず両手を出しながら目を輝かせた。
近くにいた子供達も「わんちゃんだー!!触りたい!!」と言って嬉しそうにルーフに近寄ってきた。
先程まで闇魔力で怯えていた雰囲気は一気に消え、子供達の楽しそうな笑い声が戻ってきた。
「おいっ!やめろ!!俺は犬じゃねぇんだ!!あっち行け!!」
ルーフが唸りながらシロや子供達を追っ払っていると、校舎からアリーが血相を変えて走ってきた。
アリーは今だに気を失っている魔族の少年に駆け寄り「キバ君っ、大丈夫ですか!?」と声を掛け、治癒魔法をかけていた子供に「私が変わります」と言って治癒魔法の処置をした。土色だった少年の顔色は、あっという間に元に戻り呼吸も安定した。
「へぇ、さすが竜人先生様だな」
その様子を見ていたルーフが感心して呟くと、アリーはルーフを睨みつけた。
「竜人は関係ありません。この学校の教師なら治癒魔法くらい普通に使いこなせます。それよりこの騒ぎは一体何ですか?まさかまた貴方の仕業ですか?」
「違います!!これは僕が魔力をコントロール出来なくて…」
シロは慌てて話そうとすると、ルーフがシロの前に立ち「どうだかなぁ。ここで話す必要はないだろ」と笑った。
周りを見れば多くの子供達が興味津々の表情でルーフとアリーの会話に聞き耳を立てている。
アリーは深くため息をついた。
「…そうですね。ではルーフさんは応接室へ来てください。ルカ君、アリスさん、貴方達も顔色が悪いわ。治癒魔法をかけてあげる。」
アリーが治癒魔法をかけるとルカとアリスの顔色もすぐに良くなり怪我も治った。
アリーは立ち上がり「さあ、子供達。この出来事は全て忘れなさい。」と言って学校の敷地内にいた子供たち全員に忘却の魔法をかけた。
暖かな忘却の風が学校中に吹き抜けると、子供たちは無意識に元いた場所に戻り遊び始めた。
ルカとアリスも魔法の練習をしていた場所に戻っていて、何事もなかったようにシロに向かって手招きをしている。
まるで魔族の少年に絡まれる前に時間が戻ったかのようだった。
「先生、これって…」
シロはルカたちに手を振りながらアリーを見上げた。
「貴方が使った闇魔力の記憶を消したのです。その力は…あまり印象が良くありませんからね」
アリーは少し悲しそうな目をして答えた。
ー…『印象が良くない』
その言葉にシロは俯いた。
シロは自分の影から流れ出る闇魔力のオーラに恐怖を感じた。
闇魔力をコントロールする事も止める事もできなかった。もしルーフが来なかったから、あの魔族の少年を殺していたかもしれない。
祖父の言うようにやっぱり自分は「呪われた竜」なのではないだろうか。
こんな自分が空の下で楽しく生きてていいのだろうか。
今まで通り地下室で身を潜め、静かに暮らすべきではないだろうか。
消えたはずの闇魔力のオーラが、今度はシロの心をドロドロと飲み込むように広がっていく気がした。
するとルーフに頭をガシガシと撫でられた。
「そうか?魔族から見りゃ闇魔力は魅力的だぜ。要は使い方だ。シロなら使いこなせるさ。俺様がご指導してやるからよ!」
いつの間にか人の姿に戻っていたルーフは自信満々にガハハっと豪快に笑った。
「ルーフさん…。ふふっ、その自信はどこからくるんですか…」
シロもルーフの笑い声につられてクスクス笑った。シロの心を飲み込もうとしていた闇もルーフの笑い声に吹き飛ばされていった。
1
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢の兄でしたが、追放後は参謀として騎士たちに囲まれています。- 第1巻 - 婚約破棄と一族追放
大の字だい
BL
王国にその名を轟かせる名門・ブラックウッド公爵家。
嫡男レイモンドは比類なき才知と冷徹な眼差しを持つ若き天才であった。
だが妹リディアナが王太子の許嫁でありながら、王太子が心奪われたのは庶民の少女リーシャ・グレイヴェル。
嫉妬と憎悪が社交界を揺るがす愚行へと繋がり、王宮での婚約破棄、王の御前での一族追放へと至る。
混乱の只中、妹を庇おうとするレイモンドの前に立ちはだかったのは、王国騎士団副団長にしてリーシャの異母兄、ヴィンセント・グレイヴェル。
琥珀の瞳に嗜虐を宿した彼は言う――
「この才を捨てるは惜しい。ゆえに、我が手で飼い馴らそう」
知略と支配欲を秘めた騎士と、没落した宰相家の天才青年。
耽美と背徳の物語が、冷たい鎖と熱い口づけの中で幕を開ける。
(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。
キノア9g
BL
気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。
木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。
色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。
ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。
捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。
彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。
少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──?
騎士×妖精
※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果
ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。
そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。
2023/04/06 後日談追加
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、
隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。
しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです…
オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が
なかたのでした。
本当の花嫁じゃない。
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる