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竜人嫌いの魔族、竜人の子供を拾う。
23.治療
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ゲイルが連行された後、残ったユーロンと騎士たちは荒れた湖周辺の現状復帰と、ルーフとシロの治療に取り掛かっていた。
「いででででっ!!痛ぇんだよ!もういいっ、やめろ!こんな傷ほっときゃ治るから触んなっ!あっち行け!!」
左目の傷の治療を受けているルーフは医療班の竜人騎士スノウに食ってかかっていた。
「対魔族用の聖剣で切り付けられたんですよ?治癒魔法じゃ治らない傷だから縫うしかないんですっ。それにほっといたら治るどころか酷くなる一方ですよ!!あと少しで縫い終わりますから、じっとしててください!」
「嫌だ!は・な・せっ!!うわっ!」
スノウは拘束魔法でルーフを無理やり固定させて、治療を続けた。
「ルーフさん、スノウさんの言うとおりです。ちゃんと治してもらいましょう」
シロはルーフのそばで心配そうに治療の手伝いをしている。
「はい、終わりましたよ。左目の上がかなり深く切られていましたが眼球には問題なさそうですね。ただ、傷痕は残ってしまうと思いますが…。念の為、定期的な検査もして下さいね」
医療道具を片付けながらスノウは拘束魔法を解いた。
「けっ。痕なんかどうでもいいさ」
不機嫌になったルーフは血を落とすため湖に向かおうとした。「あ、僕も一緒に行きます。あ…。」とルーフの後をついて行こうと、シロが立ち上がると力が抜けその場に座り込んでしまった。
「シロ君は魔力不足ですね。とりあえず聖水を飲んでください」
「なんだよ、聖水って」
ルーフは不機嫌な顔のままシロの隣にしゃがみ込み、スノウが瓶に入った聖水をシロに渡す様子を眺めた。
「ああ、魔族の皆さんは必要ないですもんね。僕たち竜人は食事の代わりに聖水を飲めば魔力と体力がある程度回復するんです。まあ、聖水を飲まなくても自然の精気を取り込めば回復しますけどね。今までシロ君は飲んでいなかったんですか?」
スノウは聖水を一口飲んだシロに問いかけた。
「地下室にいた頃は聖水を飲んでましたが、外に出てからは一度も。でもルーフさんや町医者のレニー先生のおかげで回復してました。だけど自然の精気の取り込み方は知らなかったです…」
3人の話を聞いていたユーロンが険しい顔をしてやって来た。
「おいおい、精気の取り込み方なんて生まれてまず一番最初に身に付ける事だぞ。それを知らないなんて一体どんな環境で過ごしてきたんだ…」
ユーロンはゲイルに対してさらに怒りを感じていたのだが、シロは自分に対して怒ってるように見えたので小さくなって謝った。
「…すみません」
「なぜお前が謝る。お前は悪くないだろう」
「おめぇの顔が怖ぇんだよ」
ルーフはしゃがんだままユーロンを見上げてため息をついた。スノウも大きく頷いて「団長は強面ですからねぇ」と同感した。
「そっ、そんなことはない。…はずだが、怖がらせてしまったならすまない。ところで、お前たちに話がある。少しいいか?」
「いででででっ!!痛ぇんだよ!もういいっ、やめろ!こんな傷ほっときゃ治るから触んなっ!あっち行け!!」
左目の傷の治療を受けているルーフは医療班の竜人騎士スノウに食ってかかっていた。
「対魔族用の聖剣で切り付けられたんですよ?治癒魔法じゃ治らない傷だから縫うしかないんですっ。それにほっといたら治るどころか酷くなる一方ですよ!!あと少しで縫い終わりますから、じっとしててください!」
「嫌だ!は・な・せっ!!うわっ!」
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「ルーフさん、スノウさんの言うとおりです。ちゃんと治してもらいましょう」
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「はい、終わりましたよ。左目の上がかなり深く切られていましたが眼球には問題なさそうですね。ただ、傷痕は残ってしまうと思いますが…。念の為、定期的な検査もして下さいね」
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「けっ。痕なんかどうでもいいさ」
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「なんだよ、聖水って」
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「ああ、魔族の皆さんは必要ないですもんね。僕たち竜人は食事の代わりに聖水を飲めば魔力と体力がある程度回復するんです。まあ、聖水を飲まなくても自然の精気を取り込めば回復しますけどね。今までシロ君は飲んでいなかったんですか?」
スノウは聖水を一口飲んだシロに問いかけた。
「地下室にいた頃は聖水を飲んでましたが、外に出てからは一度も。でもルーフさんや町医者のレニー先生のおかげで回復してました。だけど自然の精気の取り込み方は知らなかったです…」
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「おいおい、精気の取り込み方なんて生まれてまず一番最初に身に付ける事だぞ。それを知らないなんて一体どんな環境で過ごしてきたんだ…」
ユーロンはゲイルに対してさらに怒りを感じていたのだが、シロは自分に対して怒ってるように見えたので小さくなって謝った。
「…すみません」
「なぜお前が謝る。お前は悪くないだろう」
「おめぇの顔が怖ぇんだよ」
ルーフはしゃがんだままユーロンを見上げてため息をついた。スノウも大きく頷いて「団長は強面ですからねぇ」と同感した。
「そっ、そんなことはない。…はずだが、怖がらせてしまったならすまない。ところで、お前たちに話がある。少しいいか?」
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