竜人嫌いの一匹狼魔族が拾った竜人を育てたらすごく愛された。

そら。

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竜人嫌いの魔族、竜人の子供を拾う。

24.これからのこと

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「なんだよ、改まって。」

神妙な面持ちで話し出すユーロンに、ルーフは少し警戒しながら返事をした。

「まずは…シロ、だったな。俺からもゲイル・ローハンが犯した罪を謝罪する。長い間、辛く苦しい思いをさせてしまって本当に申し訳なかった。」

ユーロンは深く頭を下げたが、シロは慌てて止めた。

「そんな…、頭を上げてください。あなたが謝る必要はありません。」

「いや、俺たち騎士団にも責任はある。ゲイルを爵位があるからといって野放しにしてしまっていたからな。もっと早く取り締まるべきだった。ゲイルのそばで倒れていたジンという従者と屋敷にいたジェーンというメイドも監獄送りになるだろう。彼らからも…その、虐待を受けていたと証言があってな。」

「証言…って、一体誰が?僕の存在を知っているのはその3人だけだと思いますが。」

「すまない。それが…証言者の希望で素性を明かせないんだ…。」

ユーロンは首に手を当て気まずそうにシロから目を逸らした。

「…そうですか。」

「悪いな。でもあの3人には必ず罪を償わせる。アスディアの王にも全て報告し、爵位や思想の在り方をもう一度国会で見直していくつもりだ。それでシロは今後どうしていきたい?」

「え?」

「ローハン邸に戻る事は出来ないが、設備の整った孤児院もあるし、竜人の里親はたくさんいる。お前が望むなら裕福で情が厚い里親の元へだって行ける。それともルーフと暮らしていきたいのか?」

「僕は…。」


ー…『シロは俺がもらう。』

シロは下を向き、先ほどルーフの言葉を思い出す。

(僕もルーフさんと暮らしたい。)

でもきっとあの発言は、売り言葉に買い言葉でゲイルに言っただけだろう。こんなに迷惑をかけてしまった自分とこれからも一緒に暮らしていきたいはずがない。
あの言葉に意味がなくても、シロにとって胸が熱くなるほど嬉しかった。いや、この1週間ルーフと過ごした日々が初めて幸せを感じ、楽しい穏やかな宝物になった。それだけで十分じゃないか。
自分の意思はどうでもいい。
自分は騎士団の決定に従えばいい。シロがそう言おうと顔を上げると、ユーロンはルーフに視線を移した。

「ルーフ、お前はどうなんだ?」

「あ?俺は関係ねぇだろ。シロの好きにしたらいい。」

「だが、お前は“シロをもらう”と言っただろ。一緒に暮らしたいんじゃないのか?」

シロが一番聞きたかったことをユーロンがあっさりと聞くので、シロはドキドキしながらルーフの方をチラッと見た。

「まあ、そりゃゲイルあいつがあまりにも腹立つこと言うから言っただけだ。」

(ー…やっぱり売り言葉に買い言葉だったんだ。)

シロは予想していたが、実際に言われると少し寂しさを感じた。しかしルーフは「ー…でも」と話を続けた。

「俺はシロにも言ったが、しばらく一緒に暮らしてやってもいい。料理は下手だが、魔法は上手くなってきたしな。雑用係には丁度いい。誰かと一緒に暮らすなんて面倒くせぇと思ってたけど、シロならいいぞ。」

「え…僕の料理下手なんですか…。」

シロはショックで固まった。ルーフはいつも完食していたから、自分の料理はそれなりに美味しいと思っていたのだ。

「上手くはねぇな。だってお前、そのまま丸焼きにするかそのまま煮込むかのどっちかだろ。味がしねぇんだよ。」

「で、でもルーフさん毎回全部食べててくれたじゃないですかっ!」

「食えねぇ事はないから。まあ、毎回下手だなぁ、とは思っていたが。」

シロは恥ずかしさと悔しさで顔が真っ赤になり立ち上がった。

「それは言ってくださいよ!僕、練習しますっ。毎日美味しいご飯作って、ルーフさんが僕の料理しか食べられなくなるほど上手くなりますから、覚悟しててくださいよっ。」

「ふーん。それは、これからも俺と暮らしたいって事か?」

ルーフがニヤニヤと笑った。

「え、あ…。」

飲み込んだはずの本音を引っ張り出されたシロは、ポカンとした表情をした。

そしてルーフはいつになく真剣な顔でシロを見つめてシロの手を掴んだ。

「シロ、自分の意思はちゃんと言葉で伝えろって言っただろ。」

ー…自分の意思。僕の気持ちは…。

シロはルーフの手を強く掴み返し、涙を流しながら自分の思いを伝えた。

「僕は…、僕はルーフさんと暮らしたい。一緒に魚釣ったり魔法の練習したり、何もしないで雲を眺めて一緒にご飯を食べて笑い合って暮らしていきたいです。」

「ははっ、そりゃ楽しそうだ。」

そう言って笑ったルーフはいつもより優しい顔をしていた。
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