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二章
re.《150》白い答え
しおりを挟む「アレと汎用すれば抵抗は少ない。痛みも痛みとは感じ取らなくて済む」
最愛のミチルを救える方法。
そして、何よりも大事なミチルを傷付けてしまう可能性のある希望を前に、白い空間で押し黙る。
「そろそろ時間だ」
彼はふと後ろを振り返った。
向こう側は明るい。崇高な白銀の髪がサラサラと輝いている。
「どうして俺を?」
個人的な疑問を聞かずにはいられなかった。
自分の気性と聖剣の相性が良かったことは頷ける。しかしそれだけならば、総合すればマナの支配に長けたあの長男が適任だ。
ダリアが聖剣を吸収していたら、こうして呼び出される前に自ら剣の隠された能力に気が付いたかもしれない。
彼とダリアの間には、ほか兄弟とは違う緻密な会議があった。
こちらを少し振り向いた深紅は涼しく輝いた。
拭いきれない恐怖を見透かされているはずだ。
彼からは何も感じとれない。こんなにも親しげに、当たり前のように話しかけてくるなんて、ずっと有り得ないと思っていた義兄だ。
果たしてルシフェルは、いっそこちらが気にしていない振りをするのが苛立たしいほど、解けるように微笑んだ。
「君が適任だからさ」
「·····は·····」
呆気ない返答は、理由として受け入れるにはあまりにも納得できないものだ。
引き留めようとのばしかけた手の平で拳をにぎる。
やがて身体は、白い霧へと吸い込まれていった。
「んん·····また同じところを間違えていますね」
流暢に指摘する声と、かすかに聞こえる時計の針の音。
「次間違えたら、ペナルティを与えなければいけません」
鬼畜教育係の言葉も今はまともに受け付けられない。
歴史書に目を落ち着けながら、ミチルは吐息を逃がした。
嫌味ったらしい微笑みを浮かべている男はレイモンドだ。
"外"の世界の出来事なんて、ただされるがまま勝手に流していればいい。
それなのに───。
「──いいえ」
「ひぁ」
ペンを持っていた手に、それよりもふた周りほど大きな手のひらが重ねられる。
「この綴りは」
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