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〖第三十七話〗
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「·····」
ピタリと止まったイヴァンの指は、再びネロの足先を撫で始める。
しかしその手つきは、先程までの怪我を確認するものとは違っていた。
「ん······っ」
足裏をなぞる指から、逃げるように後ずさる。
感じているなんてことは、絶対に知られたくなかった。
けれど彼の視線が止まった場所に、ネロはカっと頬が熱くなる。
平均的なそれよりもずっと控え目な陰茎が勃ち上がっているのは、スリーパーの上から安易に目認することが出来た。
「怪我を診ていた筈だが」
ため息混じりに、低い声が呟く。
「お前は、痛みにさえ感じるようだ」
「ち、違······」
「違うのか?」
この足首で試してみるか?と囁かれたイヴァンの声に、背筋をゾクゾクとしたものが駆け抜ける。
ベッドへ手を付いたイヴァンの瞳には、あの頃と同じく、獲物を狙う肉食獣のような色が滲んでいた。
痛めつけられるかもしれない恐怖よりも、この先の期待の方が遥かに大きい。
彼に与えられる痛みなら、それさえも耽美なものに変わるのかもしれない。
大きな身体がネロを押し倒す。
ネロは抗う術もなくスリーパーを捲り上げられた。
「···ごめんなさい···っ」
謝罪する声が震えているのは、恐怖のせいではなかった。
自分の腕の中で慌てふためき頬を真っ赤にするネロに、イヴァンは吐息だけで笑う。
少し愛撫すればたちまち蜜を垂らし、柔らかな身体は拘束しても自由にしても新しい傷を作ってくる。まるでとても痛みやすい果実のようだ。
いっその事何もかも柔らかな部屋の中に閉じ込めてしまえば、なんていう考えを頭に巡らせ、イヴァンは首を振った。
幼い少年を監禁したり、酷く嗜虐する趣味などは持ち合わせていない筈、である。
「イヴァンさま····」
ネロが不安げにこちらを見つめる。
イヴァンは蕾へ指を忍ばされた。
「ぁんっ······」
初めの頃こそ指一本で痛がっていたのに、今のネロはここをきつく締め付けながら物足りなさそうに瞳を細める。
足首の怪我は、幸い軽い捻挫のようだ。
本来ならば安静にさせた方が良いのだが、今更行為を中断することは不可能だった。
「はぁ······っ♡ぁ、ん······っ♡」
二本の指で撫でるように前立腺を刺激してやる。
「ひぅ······っ♡」
呆気なく中イキした身体は仰け反り、肉壁はビクビクとイヴァンの指に絡みついた。
「····すっかり快楽を拾うのが上手くなったな」
ネロは余韻とともにまた軽く達する。
引き攣りながら蠢く襞を、イヴァンの長い指が遊ぶようにかき混ぜた。
「あぁ♡ゃ····っ♡はぁ、····あんっ♡」
「もう声は抑えなくて良いのか?」
「····っあ···♡はぅ······♡」
意地悪なイヴァンの言葉に下唇を噛むも、少しと経たずその口元は唾液を垂らしながら緩んでしまう。
「そ、な、かきまぜちゃ、····あぅ····♡」
甘い声で訴えるネロの言葉に、説得力は微塵もない。
ぷるぷると震え出した身体がまた絶頂しようとする。
イキかけたネロの孔から、イヴァンの指が突然引き抜かれた。
空洞が出来たナカは、ひとりでに瑞々しく震えていた。
「んぅ·····♡」
寂しげなネロの唇を塞ぎながら、イヴァンは自身のベルトを外し始めた。
「ん、ふぅ·····っんぅ·····♡」
ネロの熱く濡れた舌が自ら突き出され、潤んだ瞳はそっと細められる。
この前は、気付かされたネロへの想いに混乱し、衝動に任せて彼を抱き潰してしまった。
狂ったように泣き喘ぐネロに支配欲が満たされる一方で、その瞳に滲んだ拒絶の色にどうしようもなく虚しくなった。
ネロにとって、自分は恐れる対象だろう。どんなに気遣ったところで、イヴァンの奴隷である彼にとって、この行為が一方的な性交であることに変わりはない。
だから、せめて大切に扱いたい。
「んっ·····♡ん、ン·····っ♡」
頬を赤らめながら口を半開きにしているネロに、まるで深い口付けを求められているように錯覚させられてしまう。
それが都合のいい解釈だと知りながら、イヴァンはネロの蕩けた唇を何度も啄んだ。
「はぁ、はぁ·····ぁ·····っ♡」
ネロは行き場の無い両手を胸の前で握りしめた。
「ん···はぁ···っ···──っ♡」
熱く重量のあるそれが、ゆっくりと内壁を押し広げてゆく。
もどかしいほどゆっくりと挿入されるペニスに、ネロは言葉にならぬ声を零した。
腹の中がいっぱいになる苦しさと全身を駆け巡る甘い快感に抗えず、寸止めを食らうネロのナカはそれをきつく締付ける。
「んん♡は、ぁ♡あ♡·····ゃんっ♡」
根元まで押し込まれる。ネロは自分と深く繋がったイヴァンを見上げた。
シャツを完全に脱ぎ捨てた身体は、薄暗がりの中で美しい筋肉の凹凸を顕にさせていた。
熱を持ったイヴァンの視線が、舐めるようにネロの身体を見下ろし、やがて胸元へと首をうずめる。
「─────あっ♡」
ヂュ、と濁った音がした。
あたたかな口の中に含まれた胸の突起が、舌にねぶり吸われる。
カクカクと震えていた腰がくねり始める。イヴァンはそれを知りながら、反対側の乳頭も同じく愛でてやった。
ネロはとうとう射精と共にナカを痙攣させた。
その間も、イヴァンのペニスは奥深くへ挿入されたまま動かされない。
絶頂を迎えさらに敏感になったナカが、これ以上はおかしくなってしまうと怯える意思に反し、男根を味わった。
「あ·····♡あ、ぁ、あ···♡」
彼よりも先に、何度も達してしまった。
こんなのはダメだ。そう思うのに、身体は言うことを聞かず、咥え込んだイヴァンの物を必死に壁へ擦り付けた。
「はぁ♡はぁ♡あ·····っ♡ぁ、♡」
「気持ちいいか?」
「·····あっ♡」
普段は冷たいイヴァンの声に、甘い余韻が含まれている。
彼の視線も、声にさえも発情効果があるようだった。
「ネロ」
何度も名前を呼ばれながら、体を揺すられる。
ネロは、彼の背に手を伸ばした。
ピタリと止まったイヴァンの指は、再びネロの足先を撫で始める。
しかしその手つきは、先程までの怪我を確認するものとは違っていた。
「ん······っ」
足裏をなぞる指から、逃げるように後ずさる。
感じているなんてことは、絶対に知られたくなかった。
けれど彼の視線が止まった場所に、ネロはカっと頬が熱くなる。
平均的なそれよりもずっと控え目な陰茎が勃ち上がっているのは、スリーパーの上から安易に目認することが出来た。
「怪我を診ていた筈だが」
ため息混じりに、低い声が呟く。
「お前は、痛みにさえ感じるようだ」
「ち、違······」
「違うのか?」
この足首で試してみるか?と囁かれたイヴァンの声に、背筋をゾクゾクとしたものが駆け抜ける。
ベッドへ手を付いたイヴァンの瞳には、あの頃と同じく、獲物を狙う肉食獣のような色が滲んでいた。
痛めつけられるかもしれない恐怖よりも、この先の期待の方が遥かに大きい。
彼に与えられる痛みなら、それさえも耽美なものに変わるのかもしれない。
大きな身体がネロを押し倒す。
ネロは抗う術もなくスリーパーを捲り上げられた。
「···ごめんなさい···っ」
謝罪する声が震えているのは、恐怖のせいではなかった。
自分の腕の中で慌てふためき頬を真っ赤にするネロに、イヴァンは吐息だけで笑う。
少し愛撫すればたちまち蜜を垂らし、柔らかな身体は拘束しても自由にしても新しい傷を作ってくる。まるでとても痛みやすい果実のようだ。
いっその事何もかも柔らかな部屋の中に閉じ込めてしまえば、なんていう考えを頭に巡らせ、イヴァンは首を振った。
幼い少年を監禁したり、酷く嗜虐する趣味などは持ち合わせていない筈、である。
「イヴァンさま····」
ネロが不安げにこちらを見つめる。
イヴァンは蕾へ指を忍ばされた。
「ぁんっ······」
初めの頃こそ指一本で痛がっていたのに、今のネロはここをきつく締め付けながら物足りなさそうに瞳を細める。
足首の怪我は、幸い軽い捻挫のようだ。
本来ならば安静にさせた方が良いのだが、今更行為を中断することは不可能だった。
「はぁ······っ♡ぁ、ん······っ♡」
二本の指で撫でるように前立腺を刺激してやる。
「ひぅ······っ♡」
呆気なく中イキした身体は仰け反り、肉壁はビクビクとイヴァンの指に絡みついた。
「····すっかり快楽を拾うのが上手くなったな」
ネロは余韻とともにまた軽く達する。
引き攣りながら蠢く襞を、イヴァンの長い指が遊ぶようにかき混ぜた。
「あぁ♡ゃ····っ♡はぁ、····あんっ♡」
「もう声は抑えなくて良いのか?」
「····っあ···♡はぅ······♡」
意地悪なイヴァンの言葉に下唇を噛むも、少しと経たずその口元は唾液を垂らしながら緩んでしまう。
「そ、な、かきまぜちゃ、····あぅ····♡」
甘い声で訴えるネロの言葉に、説得力は微塵もない。
ぷるぷると震え出した身体がまた絶頂しようとする。
イキかけたネロの孔から、イヴァンの指が突然引き抜かれた。
空洞が出来たナカは、ひとりでに瑞々しく震えていた。
「んぅ·····♡」
寂しげなネロの唇を塞ぎながら、イヴァンは自身のベルトを外し始めた。
「ん、ふぅ·····っんぅ·····♡」
ネロの熱く濡れた舌が自ら突き出され、潤んだ瞳はそっと細められる。
この前は、気付かされたネロへの想いに混乱し、衝動に任せて彼を抱き潰してしまった。
狂ったように泣き喘ぐネロに支配欲が満たされる一方で、その瞳に滲んだ拒絶の色にどうしようもなく虚しくなった。
ネロにとって、自分は恐れる対象だろう。どんなに気遣ったところで、イヴァンの奴隷である彼にとって、この行為が一方的な性交であることに変わりはない。
だから、せめて大切に扱いたい。
「んっ·····♡ん、ン·····っ♡」
頬を赤らめながら口を半開きにしているネロに、まるで深い口付けを求められているように錯覚させられてしまう。
それが都合のいい解釈だと知りながら、イヴァンはネロの蕩けた唇を何度も啄んだ。
「はぁ、はぁ·····ぁ·····っ♡」
ネロは行き場の無い両手を胸の前で握りしめた。
「ん···はぁ···っ···──っ♡」
熱く重量のあるそれが、ゆっくりと内壁を押し広げてゆく。
もどかしいほどゆっくりと挿入されるペニスに、ネロは言葉にならぬ声を零した。
腹の中がいっぱいになる苦しさと全身を駆け巡る甘い快感に抗えず、寸止めを食らうネロのナカはそれをきつく締付ける。
「んん♡は、ぁ♡あ♡·····ゃんっ♡」
根元まで押し込まれる。ネロは自分と深く繋がったイヴァンを見上げた。
シャツを完全に脱ぎ捨てた身体は、薄暗がりの中で美しい筋肉の凹凸を顕にさせていた。
熱を持ったイヴァンの視線が、舐めるようにネロの身体を見下ろし、やがて胸元へと首をうずめる。
「─────あっ♡」
ヂュ、と濁った音がした。
あたたかな口の中に含まれた胸の突起が、舌にねぶり吸われる。
カクカクと震えていた腰がくねり始める。イヴァンはそれを知りながら、反対側の乳頭も同じく愛でてやった。
ネロはとうとう射精と共にナカを痙攣させた。
その間も、イヴァンのペニスは奥深くへ挿入されたまま動かされない。
絶頂を迎えさらに敏感になったナカが、これ以上はおかしくなってしまうと怯える意思に反し、男根を味わった。
「あ·····♡あ、ぁ、あ···♡」
彼よりも先に、何度も達してしまった。
こんなのはダメだ。そう思うのに、身体は言うことを聞かず、咥え込んだイヴァンの物を必死に壁へ擦り付けた。
「はぁ♡はぁ♡あ·····っ♡ぁ、♡」
「気持ちいいか?」
「·····あっ♡」
普段は冷たいイヴァンの声に、甘い余韻が含まれている。
彼の視線も、声にさえも発情効果があるようだった。
「ネロ」
何度も名前を呼ばれながら、体を揺すられる。
ネロは、彼の背に手を伸ばした。
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