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〖第十五話〗
しおりを挟む「ありがとうございます」
セシルが、ネロの両手をとる。
「身体がにぶっているようです。歩いてみましょう」
「まさか」
デリックが驚いたように問う。
「ずっと繋がれてたのかい?」
「·····?いいえ、昨日は1回だけ外してもらえて···」
「一回?」
ネロは、尿意を訴えた時に鎖から開放されたことを話した。
用を足している時さえイヴァンの監視下にあったので、まさか彼の留守中に自由に歩けるとは思ってもみなかったのだ。
ディックが成程と相槌を打つ。
「その時は気を張っていたから歩けたものの、今は安心して回復に時間がかかってるのかもね」
時期治るよと言いきかせる声は、ネロの人生上聞いた事もないほど優しげだ。
「おしっこするときどんな気分だった?イヴァンに見られて恥ずかしくなっちゃった?」
セクハラまがいな質問にも、ネロはこくりと頷く。
紳士的な微笑みがさらに甘くなる。再び口を開こうとしたディックの前に、セシルが立ち塞がった。
「多少おぼつきませんが、大丈夫でしょう」
「良いところだったのに」
ディックは残念そうに首を振った。
「さ、ネロ」
立ち上がった彼は、部屋の扉を開く。
「新しい家を見に行こうか」
ネロは、ディックからプレゼントされた服を身にまとい、鏡の前で年相応にはしゃいでいた。
「ありがとう」
「うん、とても魅力的だ」
ディックに対するセシルの風当たりは些か強いが、ネロは彼のことがだいぶ好きだった。
こんな自分にも笑いかけてくれる。おまけに優しくて、大人っぽくて、格好良いからだ。
「男が好きな人へ服を贈る意味がわかるかい?」
ディックが、ネロの耳元に囁く。
舐めるような視線が、全身を辿った。
「わからない」
「じゃあ、耳を貸してごらん」
ディックはネロを優しく引き寄せる。
「それはね───」
「リチャード卿、ネロに低劣な言葉はお控えください」
セシルは、今度こそきっぱり釘を指した。
「ネロ気を付けろよ、あんなこと言っておいて、あの執事はかなりのムッツリだ」
「ムッツリ?」
「スケベってことだよ」
「えっ」
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