36 / 69
魔物ハンターとサキュバス
咲宮(さきみや) 雫(しずく) 身長169cm B108 W59 H89 Eカップ ⑨
しおりを挟む
そこには半透明になった汐音と瓜二つの少女が立っていました。
「あなたが……サキュバス」
「といっても消えかけだけどね」
「……どうしてですか?」
「消えかけている理由はいろいろとあるの。でも、それよりも先にあなたの催眠術を解いてあげる」
メリナは私の頭に手を当てて、呪文を唱えた。
すると、見る見るうちに視界が開けて……先ほどの光景を思い出した。
「あっ、ああぁ、ああぁぁぁぁぁぁ!!!」
「大丈夫。心配しないで」
「で、でも! 汐音が!!」
とめどなく溢れ出す感情が止まらない。
先ほどまではダムのように溜められてそれが今はない状態だ。
壊れそうになりそうな心をギリギリで保つのがやっとだ。
「あなたの気持ちはわかるわ。大切な人なんでしょう。だったら、手を組みましょうよ」
「どうして……私を助けるんですか?」
「疑心になっているわね。残念だけど論理的な答えはないわ。ただ……同族を助けるのに理由なんてないの」
メリナは私に手を指し伸ばしてくれます。
だけど、私はその手を取ることができません。
「私は……あなたを信用することができません」
「それでいいわ」
「でも……力が欲しい。汐音を救う力が欲しいです!」
「ええ、貸してあげるわ」
私を包み込むようにメリナは抱いてくれます。
その温かさにはどこか遠く忘れてしまったような記憶を思い出させてくれます。
やっぱり……私は汐音のことが好きだと実感します。
「さて、まずはインキュバスから汐音ちゃんを助ける方法だけど……現状、手段がないの」
「えっ!?」
「だって、力はあっちの方が蓄えているし護衛もいる。正面からやっても負けるだけだわ」
「そんな……じゃあ、どうするんですか?」
「簡単よ。手段がないなら作ればいいの」
「作る?」
「ええ、あなたがサキュバスの力を手に入れたように私の体の一部を使って新たな道具を作成すればいいの」
「……それなら、私が力を手に入れたら」
「それはダメ。あなたの体に負担が大きすぎるわ。安心して、今回は私はしっかりついてあげるから」
「……わかりました。でも、作る場所がないです」
「そうね、どうしても本格的につくるのはダメね。だから、簡易的につくれるもので簡単に手に入るものを使いましょう」
「それは?」
「普通の水とおもちゃの水鉄砲よ。これならどこでも手に入りそうでしょ?」
「水鉄砲が無理じゃないですか?」
「いいから。これでお風呂場に行きましょう」
「りょ、了解です」
部屋から出て、共同風呂場に向かいます。
しかし、どうするのでしょう。共同風呂場には大量のインキュバス側に魔物ハンターがいます。
「で、ここからどうするかなんですがここは正面から行きましょう」
「いっぱい魔物ハンターがいるのに?」
「まぁ、私も女性ですから普通に入ることはできますよ」
半透明の部分にツッコミを入れたかったですが、風呂場から洩れる光を浴びると見る見る透明感が薄くなって見た目はやっぱり汐音と瓜二つです。
髪の色だけがさっきまでと違い、金髪のブロンドになってバスタオルをもって前を歩きます。
急いで私も追いかけようとしたその時、後ろから声をかけられます。
「あれ? 雫さんじゃないですか。珍しいですね」
「あなたは……紗枝さんでしったけ?」
冷静に、催眠術が解けていると悟らせないように演技します。
「正解です……が。あれ、雫さん。もしかしてですけど催眠が」
わかっていましたがすぐにばれました。冷や汗をかきつつ、後ろに下がるとメリナが私の肩から顔を出しました。
「解けてないよ―」
「あなたは?」
「初めましてー。私はメリナ。インキュバス様に最近、入った新人ですー」
「えっ?」
「あっ、そうなんですか」
「はい。それで雫さんと一緒なんですけど感情制御が一時的に緩和しているんですよ」
「? それがちょっと」
「あー、私のわがままで無口のまま一緒に行動するのはいやだったんで」
「なるほど、そういうことですか。それなら、一緒にいいですか?」
「はい。もちろんですー」
こ、これがコミュ力の差でしょうか。一瞬にして紗枝さんの信頼を得ました。
私には到底できない芸当です。
ですが……
「メリナさん。どうするんですか?」
「せっかくなので紗枝さんには協力してもらいましょう」
「協力?」
「ええ、気づきませんか? わざわざお風呂場に来たのは協力者を見つけるためです」
「……そんな都合のいい人いませんよ」
「いなけらば作ればいいんですよ。まぁ、見ててください。紗枝さんをメロメロにしてみますよ」
メリナはそういって、お風呂場に入っていきました。
「あなたが……サキュバス」
「といっても消えかけだけどね」
「……どうしてですか?」
「消えかけている理由はいろいろとあるの。でも、それよりも先にあなたの催眠術を解いてあげる」
メリナは私の頭に手を当てて、呪文を唱えた。
すると、見る見るうちに視界が開けて……先ほどの光景を思い出した。
「あっ、ああぁ、ああぁぁぁぁぁぁ!!!」
「大丈夫。心配しないで」
「で、でも! 汐音が!!」
とめどなく溢れ出す感情が止まらない。
先ほどまではダムのように溜められてそれが今はない状態だ。
壊れそうになりそうな心をギリギリで保つのがやっとだ。
「あなたの気持ちはわかるわ。大切な人なんでしょう。だったら、手を組みましょうよ」
「どうして……私を助けるんですか?」
「疑心になっているわね。残念だけど論理的な答えはないわ。ただ……同族を助けるのに理由なんてないの」
メリナは私に手を指し伸ばしてくれます。
だけど、私はその手を取ることができません。
「私は……あなたを信用することができません」
「それでいいわ」
「でも……力が欲しい。汐音を救う力が欲しいです!」
「ええ、貸してあげるわ」
私を包み込むようにメリナは抱いてくれます。
その温かさにはどこか遠く忘れてしまったような記憶を思い出させてくれます。
やっぱり……私は汐音のことが好きだと実感します。
「さて、まずはインキュバスから汐音ちゃんを助ける方法だけど……現状、手段がないの」
「えっ!?」
「だって、力はあっちの方が蓄えているし護衛もいる。正面からやっても負けるだけだわ」
「そんな……じゃあ、どうするんですか?」
「簡単よ。手段がないなら作ればいいの」
「作る?」
「ええ、あなたがサキュバスの力を手に入れたように私の体の一部を使って新たな道具を作成すればいいの」
「……それなら、私が力を手に入れたら」
「それはダメ。あなたの体に負担が大きすぎるわ。安心して、今回は私はしっかりついてあげるから」
「……わかりました。でも、作る場所がないです」
「そうね、どうしても本格的につくるのはダメね。だから、簡易的につくれるもので簡単に手に入るものを使いましょう」
「それは?」
「普通の水とおもちゃの水鉄砲よ。これならどこでも手に入りそうでしょ?」
「水鉄砲が無理じゃないですか?」
「いいから。これでお風呂場に行きましょう」
「りょ、了解です」
部屋から出て、共同風呂場に向かいます。
しかし、どうするのでしょう。共同風呂場には大量のインキュバス側に魔物ハンターがいます。
「で、ここからどうするかなんですがここは正面から行きましょう」
「いっぱい魔物ハンターがいるのに?」
「まぁ、私も女性ですから普通に入ることはできますよ」
半透明の部分にツッコミを入れたかったですが、風呂場から洩れる光を浴びると見る見る透明感が薄くなって見た目はやっぱり汐音と瓜二つです。
髪の色だけがさっきまでと違い、金髪のブロンドになってバスタオルをもって前を歩きます。
急いで私も追いかけようとしたその時、後ろから声をかけられます。
「あれ? 雫さんじゃないですか。珍しいですね」
「あなたは……紗枝さんでしったけ?」
冷静に、催眠術が解けていると悟らせないように演技します。
「正解です……が。あれ、雫さん。もしかしてですけど催眠が」
わかっていましたがすぐにばれました。冷や汗をかきつつ、後ろに下がるとメリナが私の肩から顔を出しました。
「解けてないよ―」
「あなたは?」
「初めましてー。私はメリナ。インキュバス様に最近、入った新人ですー」
「えっ?」
「あっ、そうなんですか」
「はい。それで雫さんと一緒なんですけど感情制御が一時的に緩和しているんですよ」
「? それがちょっと」
「あー、私のわがままで無口のまま一緒に行動するのはいやだったんで」
「なるほど、そういうことですか。それなら、一緒にいいですか?」
「はい。もちろんですー」
こ、これがコミュ力の差でしょうか。一瞬にして紗枝さんの信頼を得ました。
私には到底できない芸当です。
ですが……
「メリナさん。どうするんですか?」
「せっかくなので紗枝さんには協力してもらいましょう」
「協力?」
「ええ、気づきませんか? わざわざお風呂場に来たのは協力者を見つけるためです」
「……そんな都合のいい人いませんよ」
「いなけらば作ればいいんですよ。まぁ、見ててください。紗枝さんをメロメロにしてみますよ」
メリナはそういって、お風呂場に入っていきました。
0
お気に入りに追加
241
あなたにおすすめの小説
GAME CHANGER 日本帝国1945からの逆襲
俊也
歴史・時代
時は1945年3月、敗色濃厚の日本軍。
今まさに沖縄に侵攻せんとする圧倒的戦力のアメリカ陸海軍を前に、日本の指導者達は若者達による航空機の自爆攻撃…特攻 で事態を打開しようとしていた。
「バカかお前ら、本当に戦争に勝つ気があるのか!?」
その男はただの学徒兵にも関わらず、平然とそう言い放ち特攻出撃を拒否した。
当初は困惑し怒り狂う日本海軍上層部であったが…!?
姉妹作「新訳 零戦戦記」共々宜しくお願い致します。
共に
第8回歴史時代小説参加しました!
男子中学生から女子校生になった僕
葵
大衆娯楽
僕はある日突然、母と姉に強制的に女の子として育てられる事になった。
普通に男の子として過ごしていた主人公がJKで過ごした高校3年間のお話し。
強制女装、女性と性行為、男性と性行為、羞恥、屈辱などが好きな方は是非読んでみてください!
戦艦大和、時空往復激闘戦記!(おーぷん2ちゃんねるSS出展)
俊也
SF
1945年4月、敗色濃厚の日本海軍戦艦、大和は残りわずかな艦隊と共に二度と還れぬ最後の決戦に赴く。
だが、その途上、謎の天変地異に巻き込まれ、大和一隻のみが遥かな未来、令和の日本へと転送されてしまい…。
また、おーぷん2ちゃんねるにいわゆるSS形式で投稿したものですので読みづらい面もあるかもですが、お付き合いいただけますと幸いです。
姉妹作「新訳零戦戦記」「信長2030」
共々宜しくお願い致しますm(_ _)m
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる