牧場日和

金森 怜香

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花畑散策

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モルモットたちににんじんを与え、一度動物エリアから出てみることにした真奈。
まっすぐ歩いていくと、そこに広がるのは……!

「一面の花畑! 今日来てよかった」
青々と広がった空に、ふんわりと浮く白い雲。
そして、まだ蕾のままの花々や、先に咲き誇る花々。
コントラストがとても美しい。
花々はまるで、地面に虹が浮かんでいるかのように鮮やかであった。
色とりどりの花は、やはり心をくすぐる。


よく見てみると、ハートの形に花が植えられていた。
それも、赤やピンクの花が中心である。
「可愛い!」
夢中になってカメラを構える。
その下には、緑の葉。
大きなハート形のブーケのようだ。
「考えた人、植えた人に感謝しなきゃ! こんなに素晴らしいのだもの」
真奈はとても幸せな気持ちになる。


バシャバシャという水の音に、ふと振り返る。
そこには池があった。
「何かいるのかな?」
面白半分で池を覗く。

そこにいたのは……!
大きな口を開けて待っている、大量の鯉!
エサをちょうだい、と乗り合いながらねだる姿に思わず笑った。
「みんなエサがもらえるのを待ってる」
真奈は自販機に100円を入れ、餌を買って池の中に放り込んだ。

鯉たちは、それを見て我先に泳ぎ出す。
どんな動物も、やはり食には勝てないなぁ……。
真奈はそう思って少し苦笑いする。


すぐそばに、小さな小屋もある。
開けっ放しになっているので、入っても大丈夫のようだ。
真奈は思い切って足を踏み入れる。


「わぁ……!」
天井を見て驚愕する。
大量のスターチス、ラベンダー、そのほかにもいろんな花が吊るされていた。
そして、大型の扇風機が小屋の中に風を送る。
どうやら、花を乾かしているようだ。

「なるほど、こうやってドライフラワーを作るんだ……」
花たちは、乾燥する最中のようだが、どれも美しい色はそのままだった。
掲示されていた地図を見ると、ドライフラワーは近くにある売店で売っているようである。
「へぇ……、凄いなぁ」
ラベンダーは、時期によってはさらに精油を絞ったりするそうだ。
真奈はますますまきの郷が気に入ってしまった。

というのも、ラベンダーの香りが大好きなのである。
「ラベンダーのドライフラワー、買って帰ろう」
そう心に決め、売店へとゆっくり歩いていく。

道をずっと歩いていると、花々は様々な色で道を彩っていた。
濃いピンクや白い芝桜は、点々と咲いている。
と思えば、密集している場所もある。
きっと、種が零れて芽吹いた部分もあるのだろう。

畑の隅には、ムスカリが咲いている。
チューリップが鮮やかだが、良いアクセントになっているように思った。
「あら? あそこにあるのはミズバショウかしら?」
白い花を咲かせたミズバショウを見つけ、楽しい気分になる。
まるで、宝探しをしているような、そんな気分になった。
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