23 / 191
第23話 ジョブ【道化師】の可能性
しおりを挟む
「今度は俺の番だな」
「俺の番?」
俺は首をこてんと倒して不思議そうな顔をしているリリを連れて、森の奥へと進んでいった。
残りのクエストはファング肉の採取。こちらは本来一体でいいらしいが、多くかった分はギルドで買い取ってくれる。それなら、少しでも多く持って行って買い取ってもらった方が良いだろう。
本来なら一体倒したらギルドに戻る必要があったと思うが、俺には詰め放題のアイテムボックスがある。それなら、一体とは言わず多く狩って換金した方が効率も良い。
幸いなことに、【気配感知】を頼りに歩いていくと、ファングが四体ほどいることが分かった。近づいてみると、木の実か何かを探しているのか無警戒の状態だった。
「リリ、今度は俺に任せてもらってもいいか?」
「分かりました。それじゃあ、私はここで待ってますね」
俺はリリを木陰に残すと、ファングの方に体を向けた。
俺は【潜伏】を含めた【道化師】と【剣技】のスキルを使用してファングに近づいていた後、【潜伏】のスキルを解いてファングに走り出した。
このまま【潜伏】をして近づいてもいいのだが、それだと少し芸がない気がした。何よりもこの【魔導士】のスキルをもっと使いこなすためにも、【潜伏】ばかりに頼るのもよくはないだろう。
俺がファングたちの方に走っていくと、ファングたちが俺に気づいたようだった。少し身構えた様子で四体がこちらに視線を向けた瞬間、俺は地面を強く蹴って四体のファングの背中に移動するイメージをして【道化師】を使用した。
すると、俺は瞬間移動でもしたかのようにファングの背後を取ることができた。
俺が消えたと思っているファングは俺を探しているが、後ろにいるとは思っていないようだ。
俺は気づかれないように短剣を鞘から引き抜くと、背中を見せているファングに切りかかった。それぞれ一太刀ずつ【剣技】のスキルを使用しながら切りつけると、ファングたちは何が起きたのか分からないままその場に倒れた。
俺のイメージとキングディアと戦った時のような距離に近づいた時、瞬間移動のようなスキルを使用することができた。このスキルが何なのか知っておく必要があるだろうな。
俺は【道化師】をさらに細かく【鑑定】して、先程使ったスキルを鑑定した。
【鑑定結果 瞬動……自分を対象の位置まで点と点で移動させることのできるスキル。本人のレベル次第で移動範囲、移動できる質量が変わる】
なるほど、本当に瞬間移動みたいなスキルだな。レベル次第で範囲と質量が変わるか。もしかしたら、ゆくゆくは転移魔法みたいに使えるようになるかもしれないな。
まぁ、そこまで使いこなすのは結構先になるかもしれないが。
俺は一瞬にして四体のファングを倒した後、短剣をしまいながらこちらを見ていたリリに軽く笑みを見せてみた。
「どうだ? 手際よかったか?」
先程リリがスムーズに魔物を倒したことに対抗心を燃やして、どや顔でそんなことを言うと、リリは小さくプルプルと震えていた。
「……お、大人げないです」
「お、大人げない?」
「そうですよ! アイクさんが強いなんて分かりきってることじゃないですか!」
「えっと、ありがとう?」
「どういたしまして!」
結果的に力の差を見せつけてしまったことになって、リリは少しだけぷりぷりとしていた。何というか可愛らしい怒り方だ。
まぁ、結果としてもっと精進するようにといったメッセージが伝わったみたいだし、良しとするか。
そんなつもりはなかったけど。
「さて、クエストは終わったけど、どうするか? 今から帰っても時間が早すぎる気がするな」
「アイクさん! せっかくなら、もっと魔物倒していきましょう!」
どうやら、俺に触発でもされたのかリリが前のめりにそんなことを言ってきた。
確かに、ここまで来たのにすぐ帰るのは移動時間を考えるともったいない気もする。
それなら、今後の資金調達ということで数体魔物を狩るのも一つの手か。
「それもそうなだ。それじゃあ、そうするか」
こうして、俺たちはクエスト終了後、さらに魔物を討伐することになったのだった。
「俺の番?」
俺は首をこてんと倒して不思議そうな顔をしているリリを連れて、森の奥へと進んでいった。
残りのクエストはファング肉の採取。こちらは本来一体でいいらしいが、多くかった分はギルドで買い取ってくれる。それなら、少しでも多く持って行って買い取ってもらった方が良いだろう。
本来なら一体倒したらギルドに戻る必要があったと思うが、俺には詰め放題のアイテムボックスがある。それなら、一体とは言わず多く狩って換金した方が効率も良い。
幸いなことに、【気配感知】を頼りに歩いていくと、ファングが四体ほどいることが分かった。近づいてみると、木の実か何かを探しているのか無警戒の状態だった。
「リリ、今度は俺に任せてもらってもいいか?」
「分かりました。それじゃあ、私はここで待ってますね」
俺はリリを木陰に残すと、ファングの方に体を向けた。
俺は【潜伏】を含めた【道化師】と【剣技】のスキルを使用してファングに近づいていた後、【潜伏】のスキルを解いてファングに走り出した。
このまま【潜伏】をして近づいてもいいのだが、それだと少し芸がない気がした。何よりもこの【魔導士】のスキルをもっと使いこなすためにも、【潜伏】ばかりに頼るのもよくはないだろう。
俺がファングたちの方に走っていくと、ファングたちが俺に気づいたようだった。少し身構えた様子で四体がこちらに視線を向けた瞬間、俺は地面を強く蹴って四体のファングの背中に移動するイメージをして【道化師】を使用した。
すると、俺は瞬間移動でもしたかのようにファングの背後を取ることができた。
俺が消えたと思っているファングは俺を探しているが、後ろにいるとは思っていないようだ。
俺は気づかれないように短剣を鞘から引き抜くと、背中を見せているファングに切りかかった。それぞれ一太刀ずつ【剣技】のスキルを使用しながら切りつけると、ファングたちは何が起きたのか分からないままその場に倒れた。
俺のイメージとキングディアと戦った時のような距離に近づいた時、瞬間移動のようなスキルを使用することができた。このスキルが何なのか知っておく必要があるだろうな。
俺は【道化師】をさらに細かく【鑑定】して、先程使ったスキルを鑑定した。
【鑑定結果 瞬動……自分を対象の位置まで点と点で移動させることのできるスキル。本人のレベル次第で移動範囲、移動できる質量が変わる】
なるほど、本当に瞬間移動みたいなスキルだな。レベル次第で範囲と質量が変わるか。もしかしたら、ゆくゆくは転移魔法みたいに使えるようになるかもしれないな。
まぁ、そこまで使いこなすのは結構先になるかもしれないが。
俺は一瞬にして四体のファングを倒した後、短剣をしまいながらこちらを見ていたリリに軽く笑みを見せてみた。
「どうだ? 手際よかったか?」
先程リリがスムーズに魔物を倒したことに対抗心を燃やして、どや顔でそんなことを言うと、リリは小さくプルプルと震えていた。
「……お、大人げないです」
「お、大人げない?」
「そうですよ! アイクさんが強いなんて分かりきってることじゃないですか!」
「えっと、ありがとう?」
「どういたしまして!」
結果的に力の差を見せつけてしまったことになって、リリは少しだけぷりぷりとしていた。何というか可愛らしい怒り方だ。
まぁ、結果としてもっと精進するようにといったメッセージが伝わったみたいだし、良しとするか。
そんなつもりはなかったけど。
「さて、クエストは終わったけど、どうするか? 今から帰っても時間が早すぎる気がするな」
「アイクさん! せっかくなら、もっと魔物倒していきましょう!」
どうやら、俺に触発でもされたのかリリが前のめりにそんなことを言ってきた。
確かに、ここまで来たのにすぐ帰るのは移動時間を考えるともったいない気もする。
それなら、今後の資金調達ということで数体魔物を狩るのも一つの手か。
「それもそうなだ。それじゃあ、そうするか」
こうして、俺たちはクエスト終了後、さらに魔物を討伐することになったのだった。
1
お気に入りに追加
1,526
あなたにおすすめの小説
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
劣等生のハイランカー
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す!
無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。
カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。
唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。
学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。
クラスメイトは全員ライバル!
卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである!
そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。
それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。
難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。
かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。
「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」
学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。
「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」
時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。
制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。
そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。
(各20話編成)
1章:ダンジョン学園【完結】
2章:ダンジョンチルドレン【完結】
3章:大罪の権能【完結】
4章:暴食の力【完結】
5章:暗躍する嫉妬【完結】
6章:奇妙な共闘【完結】
7章:最弱種族の下剋上【完結】
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
平凡すぎる、と追放された俺。実は大量スキル獲得可のチート能力『無限変化』の使い手でした。俺が抜けてパーティが瓦解したから今更戻れ?お断りです
たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
ファンタジー
★ファンタジーカップ参加作品です。
応援していただけたら執筆の励みになります。
《俺、貸します!》
これはパーティーを追放された男が、その実力で上り詰め、唯一無二の『レンタル冒険者』として無双を極める話である。(新形式のざまぁもあるよ)
ここから、直接ざまぁに入ります。スカッとしたい方は是非!
「君みたいな平均的な冒険者は不要だ」
この一言で、パーティーリーダーに追放を言い渡されたヨシュア。
しかしその実、彼は平均を装っていただけだった。
レベル35と見せかけているが、本当は350。
水属性魔法しか使えないと見せかけ、全属性魔法使い。
あまりに圧倒的な実力があったため、パーティーの中での力量バランスを考え、あえて影からのサポートに徹していたのだ。
それどころか攻撃力・防御力、メンバー関係の調整まで全て、彼が一手に担っていた。
リーダーのあまりに不足している実力を、ヨシュアのサポートにより埋めてきたのである。
その事実を伝えるも、リーダーには取り合ってもらえず。
あえなく、追放されてしまう。
しかし、それにより制限の消えたヨシュア。
一人で無双をしていたところ、その実力を美少女魔導士に見抜かれ、『レンタル冒険者』としてスカウトされる。
その内容は、パーティーや個人などに借りられていき、場面に応じた役割を果たすというものだった。
まさに、ヨシュアにとっての天職であった。
自分を正当に認めてくれ、力を発揮できる環境だ。
生まれつき与えられていたギフト【無限変化】による全武器、全スキルへの適性を活かして、様々な場所や状況に完璧な適応を見せるヨシュア。
目立ちたくないという思いとは裏腹に、引っ張りだこ。
元パーティーメンバーも彼のもとに帰ってきたいと言うなど、美少女たちに溺愛される。
そうしつつ、かつて前例のない、『レンタル』無双を開始するのであった。
一方、ヨシュアを追放したパーティーリーダーはと言えば、クエストの失敗、メンバーの離脱など、どんどん破滅へと追い込まれていく。
ヨシュアのスーパーサポートに頼りきっていたこと、その真の強さに気づき、戻ってこいと声をかけるが……。
そのときには、もう遅いのであった。
見捨てられた万能者は、やがてどん底から成り上がる
グリゴリ
ファンタジー
『旧タイトル』万能者、Sランクパーティーを追放されて、職業が進化したので、新たな仲間と共に無双する。
『見捨てられた万能者は、やがてどん底から成り上がる』【書籍化決定!!】書籍版とWEB版では設定が少し異なっていますがどちらも楽しめる作品となっています。どうぞ書籍版とWEB版どちらもよろしくお願いします。
2023年7月18日『見捨てられた万能者は、やがてどん底から成り上がる2』発売しました。
主人公のクロードは、勇者パーティー候補のSランクパーティー『銀狼の牙』を器用貧乏な職業の万能者で弱く役に立たないという理由で、追放されてしまう。しかしその後、クロードの職業である万能者が進化して、強くなった。そして、新たな仲間や従魔と無双の旅を始める。クロードと仲間達は、様々な問題や苦難を乗り越えて、英雄へと成り上がって行く。※2021年12月25日HOTランキング1位、2021年12月26日ハイファンタジーランキング1位頂きました。お読み頂き有難う御座います。
パーティーを追放された装備製作者、実は世界最強 〜ソロになったので、自分で作った最強装備で無双する〜
Tamaki Yoshigae
ファンタジー
ロイルはSランク冒険者パーティーの一員で、付与術師としてメンバーの武器の調整を担当していた。
だがある日、彼は「お前の付与などなくても俺たちは最強だ」と言われ、パーティーをクビになる。
仕方なく彼は、辺境で人生を再スタートすることにした。
素人が扱っても規格外の威力が出る武器を作れる彼は、今まで戦闘経験ゼロながらも瞬く間に成り上がる。
一方、自分たちの実力を過信するあまりチートな付与術師を失ったパーティーは、かつての猛威を振るえなくなっていた。
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる