パーティ追放が進化の条件?! チートジョブ『道化師』からの成り上がり。

荒井竜馬

文字の大きさ
上 下
24 / 191

第24話 『道化師の集い』初クエスト達成報告

しおりを挟む
「あっ、アイクさん。お疲れ様です」

「ミリアさん、お疲れ様です」

 俺たちはあれから魔物を数体討伐してから王都ミノラルに戻った。

レベル上げと討伐した魔物を回収したりして、クエスト以外のことをして時間を過ごした後、クエストの完了報告のために冒険者ギルドへ向かった。

 俺たちが冒険者ギルドに顔を覗かせると、ミリアが俺たちに気づいてくれたので、俺たちはクエスト完了の報告をしにミリアのいるカウンターの方に向かった。

「クエスト達成したんで、その報告に来ました」

「はい、達成の報告ですね。それでは、冒険者カードお借りしてもよろしいですか?」

 俺とリリはミリアに言われて、冒険者カードをカウンターの上に置いた。パーティとして今回の依頼を受けたので、今回からはリリも冒険者カードを出す必要があるみたいだった。

「一旦、クエストの確認だけしちゃいますね。えっと、受けたクエストはワイドウルフの討伐と、ファング肉の採取、ワイドディア肉の採取ですね。それでは、素材を見せて頂きたいんですけど……アイクさんはまだ解体してないですよね。それでは、倉庫の方で確認しますね」

「すみません、お願いします」

 簡単な素材だけならカウンターで手続きを済ませることもできるのだが、俺の場合は倒した魔物を一匹丸々持ってきている。

 さすがに、カウンターの上に討伐した魔物を並べるわけにもいかず、俺たちはギルドの裏にある倉庫の方に移動することになった。

「おっ、アイクか。今日は何を持ってきたんだ?」

「お疲れ様です。今日は……まぁ、色々ですね」

「もったいぶるじゃねーか。アイク、こっちのシートの上に置いてくれ」

 バングはそんなことを笑いながら言うと、俺に手招きをした。

 別にもったいぶっている訳ではなかったのだけど、そう聞こえなくもないか。

 俺もバングに釣られるように笑みを浮かべた。バングの近くにあったシートの方に行くと、俺はアイテムボックスから今日のクエストの分の魔物を取り出した。

「とりあえず、これがワイドウルフ六体と、ファングが四体、ワイドディアが二体です」

「ほぅ。これだけの量を一日で仕留めてきたか。中々やるな、アイク。そういえば、アイクの冒険者ランクっていくつなんだ?」

「俺ですか? 俺はFランクです」

「……は? え、F?」

 バングは予想外の返答が返ってきたのか、俺の言っている意味が分からないといったようにきょとんとしていた。

 それから、俺の隣にいたミリアの方をちらりと見て、目をぱちくりとさせながら言葉を続けた。

「こんなに狩っても、Fなんか? なんだ、ずいぶんと冒険者ランクってのは厳しいんだな」

「い、いえ、アイクさんが特別といいますか……」

 何とも答えにくそうな表情でミリアが困っていたようなので、俺は話を逸らすために残りの討伐した魔物をシートの上に並べていった。

「あとは、キラーベアが二体と追加のワイドディアが三体、あと追加でファングが六体と、ゴブリンが三体。あとホワイトウルフが三体とブラックポークが三体ですね」

「え? あ、アイクさん? それって、クエストとは別に討伐してきたんですか? く、クエストと並行して?」

「はい。森に出たついでに狩ってきました。あ、あと、キングディアがいるんですけど、ここに並べちゃっていいですかね?」

 俺がバングにキングディアの置き場所を尋ねると、バングは驚いて目を見開いていた。そして、その目は再びミリアの方に向けられた。

「き、キングディア?! おい、ギルドのねーちゃん、どういうことだ! F級冒険者ってのは、キングディアも狩るのか?!」

「そんなわけないですよ! どういうことかは私が聞きたいです!」

 ミリアは急すぎる展開についてこられなくなったように、頭を抱えてしまっていた。

「……あれ?」

 話の話題を逸らさせようと思ったのだが、むしろ悪化してしまってるようだった。

「ふふんっ、さすがアイクさんです」

 俺の後ろで得意げな笑みを浮かべているリリは、目の前で起きている事態を楽しんでいるようだった。

 困惑しているバングと、考えることを放棄したミリア、得意げなリリ。

 ……何だこの状況。

 そして、俺もそんな状況に一人取り残されるのだった。
しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!

七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」 その天使の言葉は善意からなのか? 異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか? そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。 ただし、その扱いが難しいものだった。 転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。 基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。 ○○○「これは私とのラブストーリーなの!」 主人公「いや、それは違うな」

没落貴族の異世界領地経営!~生産スキルでガンガン成り上がります!

武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生した元日本人ノエルは、父の急死によりエトワール伯爵家を継承することになった。 亡くなった父はギャンブルに熱中し莫大な借金をしていた。 さらに借金を国王に咎められ、『王国貴族の恥!』と南方の辺境へ追放されてしまう。 南方は魔物も多く、非常に住みにくい土地だった。 ある日、猫獣人の騎士現れる。ノエルが女神様から与えられた生産スキル『マルチクラフト』が覚醒し、ノエルは次々と異世界にない商品を生産し、領地経営が軌道に乗る。

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~

緋色優希
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

処理中です...