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第三章 旅の始まり
第八話 ヤめてやる
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「では、失礼します。あ、しつこいようですが、次の方を見つけてからですよ。そこは絶対に譲れませんからね!」
「分かった分かった、いいから戻れ」
「では。コータさんも大変なのに捕まっちゃったね。ちなみに私はいつでもOKよ。うふっ」
「いえ、謹んでご辞退致します」
「え~マスターはよくて私はダメって……コータさんの基準はどうなってるんでしょうね」
「いや、だから俺が頼んだ訳でも嫁にとお願いした訳じゃないからね。そこんところは間違えないでよ」
「あ~そうでしたね。押しかけ女房ってやつでしたね」
「そういうこと。俺は押しかけられただけの男の子なの。出来るなら、未成年陵辱でそっちを捕まえてほしいくらいだけどね」
「ん? 私のことか?」
エミリーさんが自分を指差して俺に確認してきたので、俺は軽く頷く。
「ですが、マスターはまだ実際に手を出した訳ではないので捕まえるのは難しいですね」
「くそっ!」
「ホントに泣くぞ、コータ」
その後、スージーさんが「では、失礼します」とワゴンを押して部屋から出て行ったのを確認してからエミリーさんに話しかける。
「で、話の続きはいいの?」
「ああ、そうだったな。じゃあ、聞かせてもらおうか」
「えっと、どこまで話したかな」
「確か姫さんに付きまとわれていたとか」
「ああ、そうだった。じゃあ、その続きからだと……」
俺は姫さんに付きまとわれ、キンバリー領からクレイヴ領まで行き、そこで姫さんが襲われた理由を知ったこと、そしてその時に魔族に魅了されかかり、その魔族の始末をアオイに頼んだ結果、アオイが着いてくることになったところまでの全てを話した。
「ほう、するとあの娘がクレイヴ領の湖の主だった海龍神だったと……そう言うのか」
「うん、そうだよ」
「そうだよって、お前……伝説の海龍神だぞ。何をそんな簡単に連れて歩くんだよ。しかもあのタロがフェンリルだと!」
「そうだよ。可愛いでしょ」
「ハァ~もういい。それに女神イリスが実は邪神イースと半身に分かれた存在で、元々の創造神だった女神イーシュはポンコツで使い物にならないと」
「そう、分かってもらえた?」
「ああ、お前こんな話を他でするなよ」
「しないよ。こんな話を誰が信じてくれるのさ」
「まあ、そうだよな。私だってお前が異界から来たって話だけでも眉唾なのに……フェンリルに海龍神に魔族に魔王に邪神に女神まで出て来たら、どんなおとぎ話だよって話だろうな」
「だよね~」
エミリーさんに今までのことを洗いざらい話したところで、ふと思い出す。
「ねえ、さっきの件に絡む話なんだけどね」
「手配されたことか?」
「そう、それ! ねえ、冒険者ギルドとしてはギルドに登録されている冒険者を守る義務があるんでしょ。なら、手配を止めるように言ってよ」
「……」
「え? ダメなの?」
「まあ、頼んでもいいが、私になんの利があるのかと思ってな」
「へ?」
俺が多分王家からだろうと思う手配を取り消すようにお願いしてくれないかと言えば、エミリーさんは「自分に利がないのに?」と俺を見て口角を上げてニヤリと笑う。
「じゃあ、いいや」
「え?」
「えって何?」
「いや、それでいいのか?」
「いいのかも何もしてくれないんでしょ。だから、いいよ」
「いや、そこはなんかあるでしょ」
「いいよ。面倒臭いから。それにどうせ、出来ないんでしょ」
「む……」
俺が「どうせ出来ない」と言ったからか、エミリーさんの顔が少し剥れる。
「なんだ、私の力を見くびっているのか?」
「いや、別に。それに統轄ギルドマスターって言われてもどういうことをしているのか知らないし。それに身内である冒険者を助けるのに利益を求められるってのもね~」
「あ、いや、それは……その、なんだ……」
「だから、この話はオシマイ」
「待て!」
エミリーさんが統轄ギルドマスターとしての力を信じていないのかと言ってくるが、その地位がどれほどのものなのか俺は知らないので俺は自分の力で手配書はどうにかするしかないと思っているとエミリーさんは待てと言う。
「え?」
「だから、待てと言っている」
「何?」
「手配書は私が責任持って止めさせる。うん、そうだ。私が止めさせる」
「いや、でもさっき「さっきはさっきだ!」……え?」
「うん、そうだよ。身内の冒険者が困っているのに手をこまねいているのはダメだな。うん、ダメだよ。だから、私が責任もって止めさせる」
「え? 急にどうしたの?」
「何がだ?」
「何がって……ああ、いいや。それでホントに出来るの?」
「出来るさ! 多分な……」
「多分なんだ」
◇◆◇◆◇
「隊長!」
「どうした?」
「手配書の件で、冒険者ギルドのギルドマスターが、止めるようにと言ってきました」
「そうか。まあ、来るとは思っていたが遅かったな」
親衛隊隊長の元に冒険者ギルドからの正式な通達として手配書を止めるようにと言ってきたと報告を受けた。
「それで、どうするんですか?」
「ん? 何をだ?」
「いえ、だから……」
「止めないぞ。あの手配された冒険者を捕まえないことには王妃様達の機嫌は悪いままだからな」
「ですが……」
「まだ、何かあるのか?」
「はい、そのギルドマスターが言うには『事情は全て知っている』と言われました」
「ほう、事情か。どんな事情かは聞いたのか?」
「ええ、第三王女の襲撃のことや、護衛騎士が失敗したこととか……」
「ほぼ全部じゃないか……」
報告に来た隊員がどうするのかと隊長の返事を待っていると「止める」とぽつりと漏らした。
「え、止めるんですか?」
「ああ、止める。ついでにここも辞める!」
「ええ! どうしてそういう話になるんですか!」
「もう疲れた。そうだ、お前が隊長やれ! じゃ、俺は抜ける! 後は任せたぞ」
「え……ウソでしょ」
隊長は何か吹っ切れたようで晴れやかな顔をしてその場を後にした。
「分かった分かった、いいから戻れ」
「では。コータさんも大変なのに捕まっちゃったね。ちなみに私はいつでもOKよ。うふっ」
「いえ、謹んでご辞退致します」
「え~マスターはよくて私はダメって……コータさんの基準はどうなってるんでしょうね」
「いや、だから俺が頼んだ訳でも嫁にとお願いした訳じゃないからね。そこんところは間違えないでよ」
「あ~そうでしたね。押しかけ女房ってやつでしたね」
「そういうこと。俺は押しかけられただけの男の子なの。出来るなら、未成年陵辱でそっちを捕まえてほしいくらいだけどね」
「ん? 私のことか?」
エミリーさんが自分を指差して俺に確認してきたので、俺は軽く頷く。
「ですが、マスターはまだ実際に手を出した訳ではないので捕まえるのは難しいですね」
「くそっ!」
「ホントに泣くぞ、コータ」
その後、スージーさんが「では、失礼します」とワゴンを押して部屋から出て行ったのを確認してからエミリーさんに話しかける。
「で、話の続きはいいの?」
「ああ、そうだったな。じゃあ、聞かせてもらおうか」
「えっと、どこまで話したかな」
「確か姫さんに付きまとわれていたとか」
「ああ、そうだった。じゃあ、その続きからだと……」
俺は姫さんに付きまとわれ、キンバリー領からクレイヴ領まで行き、そこで姫さんが襲われた理由を知ったこと、そしてその時に魔族に魅了されかかり、その魔族の始末をアオイに頼んだ結果、アオイが着いてくることになったところまでの全てを話した。
「ほう、するとあの娘がクレイヴ領の湖の主だった海龍神だったと……そう言うのか」
「うん、そうだよ」
「そうだよって、お前……伝説の海龍神だぞ。何をそんな簡単に連れて歩くんだよ。しかもあのタロがフェンリルだと!」
「そうだよ。可愛いでしょ」
「ハァ~もういい。それに女神イリスが実は邪神イースと半身に分かれた存在で、元々の創造神だった女神イーシュはポンコツで使い物にならないと」
「そう、分かってもらえた?」
「ああ、お前こんな話を他でするなよ」
「しないよ。こんな話を誰が信じてくれるのさ」
「まあ、そうだよな。私だってお前が異界から来たって話だけでも眉唾なのに……フェンリルに海龍神に魔族に魔王に邪神に女神まで出て来たら、どんなおとぎ話だよって話だろうな」
「だよね~」
エミリーさんに今までのことを洗いざらい話したところで、ふと思い出す。
「ねえ、さっきの件に絡む話なんだけどね」
「手配されたことか?」
「そう、それ! ねえ、冒険者ギルドとしてはギルドに登録されている冒険者を守る義務があるんでしょ。なら、手配を止めるように言ってよ」
「……」
「え? ダメなの?」
「まあ、頼んでもいいが、私になんの利があるのかと思ってな」
「へ?」
俺が多分王家からだろうと思う手配を取り消すようにお願いしてくれないかと言えば、エミリーさんは「自分に利がないのに?」と俺を見て口角を上げてニヤリと笑う。
「じゃあ、いいや」
「え?」
「えって何?」
「いや、それでいいのか?」
「いいのかも何もしてくれないんでしょ。だから、いいよ」
「いや、そこはなんかあるでしょ」
「いいよ。面倒臭いから。それにどうせ、出来ないんでしょ」
「む……」
俺が「どうせ出来ない」と言ったからか、エミリーさんの顔が少し剥れる。
「なんだ、私の力を見くびっているのか?」
「いや、別に。それに統轄ギルドマスターって言われてもどういうことをしているのか知らないし。それに身内である冒険者を助けるのに利益を求められるってのもね~」
「あ、いや、それは……その、なんだ……」
「だから、この話はオシマイ」
「待て!」
エミリーさんが統轄ギルドマスターとしての力を信じていないのかと言ってくるが、その地位がどれほどのものなのか俺は知らないので俺は自分の力で手配書はどうにかするしかないと思っているとエミリーさんは待てと言う。
「え?」
「だから、待てと言っている」
「何?」
「手配書は私が責任持って止めさせる。うん、そうだ。私が止めさせる」
「いや、でもさっき「さっきはさっきだ!」……え?」
「うん、そうだよ。身内の冒険者が困っているのに手をこまねいているのはダメだな。うん、ダメだよ。だから、私が責任もって止めさせる」
「え? 急にどうしたの?」
「何がだ?」
「何がって……ああ、いいや。それでホントに出来るの?」
「出来るさ! 多分な……」
「多分なんだ」
◇◆◇◆◇
「隊長!」
「どうした?」
「手配書の件で、冒険者ギルドのギルドマスターが、止めるようにと言ってきました」
「そうか。まあ、来るとは思っていたが遅かったな」
親衛隊隊長の元に冒険者ギルドからの正式な通達として手配書を止めるようにと言ってきたと報告を受けた。
「それで、どうするんですか?」
「ん? 何をだ?」
「いえ、だから……」
「止めないぞ。あの手配された冒険者を捕まえないことには王妃様達の機嫌は悪いままだからな」
「ですが……」
「まだ、何かあるのか?」
「はい、そのギルドマスターが言うには『事情は全て知っている』と言われました」
「ほう、事情か。どんな事情かは聞いたのか?」
「ええ、第三王女の襲撃のことや、護衛騎士が失敗したこととか……」
「ほぼ全部じゃないか……」
報告に来た隊員がどうするのかと隊長の返事を待っていると「止める」とぽつりと漏らした。
「え、止めるんですか?」
「ああ、止める。ついでにここも辞める!」
「ええ! どうしてそういう話になるんですか!」
「もう疲れた。そうだ、お前が隊長やれ! じゃ、俺は抜ける! 後は任せたぞ」
「え……ウソでしょ」
隊長は何か吹っ切れたようで晴れやかな顔をしてその場を後にした。
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