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第二章 動き出す何か
第十六話 分からないことが怖いんだ
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「えっと、ギルマス……何を言っているのかな?」
「コータ、惚けるのは止めろ」
ギルマスは「ハァ~」と嘆息すると俺を睨み付ける。
「お前は俺に恨みでもあるのかよ。なんなんだよ、一体!」
「ダリウス? どうしたのよ」
「お前らには分からないんだな」
「ええ、ダリウスが何を言っているのかさっぱりよ」
ギルマスはまた嘆息すると「俺は分からないからこそ、分かることがある」と言い、それが俺とタロに続いて、この女だと話す。だから、ノエルさん達が分からないのもある意味しょうがないと言い、ならばとノエルさん達に忠告する。
「分からないか。そうか、なら今からコータが言うことには、口を挟まずに最後までちゃんと聞くんだな」
「え? 何よ、どういうことなの?」
「コータ、お前のことだから、この姉ちゃんの冒険者登録をするのなら、多少の融通が利くと思ってここに来たんだろ。違うか?」
「あ~分かっちゃう感じ?」
「分かるわ! もういい、とっとと全部を話してしまえば、それを聞いたコイツらも今の俺の気持ちを少しくらいは分かるだろうさ。ふふふ」
「コ、コータ君、無理して話さなくてもいいのよ」
「そ、そうだな。なんだか背中が寒くてしょうがないしな。また、今度……そういう訳にはいかないみたいだな」
ノエルさんもキュリもギルマスが言ったことを黙って聞いていたが、俺がこれから話すことを聞いてしまえば、さっきの王家の事情よりも面倒なことになると感じたのか、部屋から出ようとするが、ギルマスに睨まれ大人しく座り直す。
「ほれ、皆が聞く体勢になったぞ。とっとと話してしまえ!」
「じゃあ、遠慮無く。先ずはシュリの話からだね。シュリってのは……」
俺の一目惚れの話は省いてシュリの始末をするために海龍神を呼び出して始末して貰ったが、そのまま湖の底には帰らずに俺に着いて来ることになったところまでを話した。
「……と、いう訳でその海龍神が、このお姉さんって訳なんだ」
「「「……」」」
「えっと、どうしたの?」
「「「ハァ~」」」
「え?」
「ダリウス、ごめんなさい。あなたの言いたいことがやっと分かったわ」
「そうだな。タロだけじゃなく、まさか伝説をこの目にするとはな」
「そういう伝説なら俺も聞いたことがあるな」
「へ~伝説だってさ」
「照れるな。ふふふ」
「ただ、寝てただけで伝説になるんだね」
「そうみたいだな。我ながら凄いな。ふふふ」
「「「……」」」
ここまで話したが、もうお腹いっぱいという感じでノエルさんとキュリの反応がない。まだ、全部話し終わった訳ではないのに。そう思っているとギルマスが「続きは?」と言う。
「え? ちょっと待ってダリウス、続きってどういうことなの?」
「お前、ちゃんとコータの話を聞いていたか?」
「聞いていたわよ。だから、どういうことなのかって聞いているんじゃないの」
「ハァ~いいか、『シュリ』って魔族が話に出て来ただろ」
「ええ、そうね。それがどうしたの?」
「お前な……じゃあ、その魔族の目的はなんだ?」
「何って、そこのお姉さん……海龍神を見つけることでしょ」
「そうだな。じゃあ、見つけた後はどうするんだ? 海龍神を見つけろと言ったのは誰だ?」
「えっと、まだ聞いてない……よね?」
「分かったか」
「え?」
ノエルさんも黙って話を聞いていたが、ギルマスが俺に「続き」を促したことで「どういうこと」だとなり、ギルマスの方に説明を求める。ギルマスは俺がまだ全部を話していないのは理解しているが、ノエルさんは既に全部を聞いていたと思っていた。キュリに関しては思考停止しているようで、どこまで話を聞いて理解したのか怪しいところだ。
「じゃあ、話してもいいのかな?」
「ああ、話してくれ」
「うん、分かった。あのね、俺がシュリから読み取ったのは……」
あの時、シュリから読み取ったのは、シュリがクレイヴ領に来た目的が海龍神を見つけるということが一つ。そして確認出来たのなら、誘って来いと命令されていたことが二つ目。そして、三つ目がそれを誰がシュリに命令したのかということだ。
「で、誰が命令していたのかと言うとね……」
「ためるなよ!」
「そうよ!」
「……」
「じゃあ、言うよ。いい? 気をしっかりね」
「そういうのはいいから」
「もう、十分分かっているわよ」
「……」
「あのね、そう命令したのは……魔王『ティスカ』なんだって。ん?」
「「「……」」」
「もしも~し、ねえ、聞いてる?」
「「「……」」」
「タロ、どうしたらいいと思う?」
『ボクに聞かれても分からないよ』
しばらくタロとお姉さんとアイテムボックスから出した食事をしながら皆が動き出すのを待っていたら、最初にギルマスが「ハッ」と気付く。
「あ、気付いた? ちょっと待っててね。食べちゃうから。ほら、タロもお姉さんも急いで食べちゃって」
『分かった~』
「待て、そう急かすな。折角の食事だと言うのに。うん、美味いな~」
ギルマス達の再起動を待っている間に俺達が食事していたことをギルマスは呆れて見ていたが、また「ハァ~」と嘆息してから、他の二人を起こす。
「コータ、惚けるのは止めろ」
ギルマスは「ハァ~」と嘆息すると俺を睨み付ける。
「お前は俺に恨みでもあるのかよ。なんなんだよ、一体!」
「ダリウス? どうしたのよ」
「お前らには分からないんだな」
「ええ、ダリウスが何を言っているのかさっぱりよ」
ギルマスはまた嘆息すると「俺は分からないからこそ、分かることがある」と言い、それが俺とタロに続いて、この女だと話す。だから、ノエルさん達が分からないのもある意味しょうがないと言い、ならばとノエルさん達に忠告する。
「分からないか。そうか、なら今からコータが言うことには、口を挟まずに最後までちゃんと聞くんだな」
「え? 何よ、どういうことなの?」
「コータ、お前のことだから、この姉ちゃんの冒険者登録をするのなら、多少の融通が利くと思ってここに来たんだろ。違うか?」
「あ~分かっちゃう感じ?」
「分かるわ! もういい、とっとと全部を話してしまえば、それを聞いたコイツらも今の俺の気持ちを少しくらいは分かるだろうさ。ふふふ」
「コ、コータ君、無理して話さなくてもいいのよ」
「そ、そうだな。なんだか背中が寒くてしょうがないしな。また、今度……そういう訳にはいかないみたいだな」
ノエルさんもキュリもギルマスが言ったことを黙って聞いていたが、俺がこれから話すことを聞いてしまえば、さっきの王家の事情よりも面倒なことになると感じたのか、部屋から出ようとするが、ギルマスに睨まれ大人しく座り直す。
「ほれ、皆が聞く体勢になったぞ。とっとと話してしまえ!」
「じゃあ、遠慮無く。先ずはシュリの話からだね。シュリってのは……」
俺の一目惚れの話は省いてシュリの始末をするために海龍神を呼び出して始末して貰ったが、そのまま湖の底には帰らずに俺に着いて来ることになったところまでを話した。
「……と、いう訳でその海龍神が、このお姉さんって訳なんだ」
「「「……」」」
「えっと、どうしたの?」
「「「ハァ~」」」
「え?」
「ダリウス、ごめんなさい。あなたの言いたいことがやっと分かったわ」
「そうだな。タロだけじゃなく、まさか伝説をこの目にするとはな」
「そういう伝説なら俺も聞いたことがあるな」
「へ~伝説だってさ」
「照れるな。ふふふ」
「ただ、寝てただけで伝説になるんだね」
「そうみたいだな。我ながら凄いな。ふふふ」
「「「……」」」
ここまで話したが、もうお腹いっぱいという感じでノエルさんとキュリの反応がない。まだ、全部話し終わった訳ではないのに。そう思っているとギルマスが「続きは?」と言う。
「え? ちょっと待ってダリウス、続きってどういうことなの?」
「お前、ちゃんとコータの話を聞いていたか?」
「聞いていたわよ。だから、どういうことなのかって聞いているんじゃないの」
「ハァ~いいか、『シュリ』って魔族が話に出て来ただろ」
「ええ、そうね。それがどうしたの?」
「お前な……じゃあ、その魔族の目的はなんだ?」
「何って、そこのお姉さん……海龍神を見つけることでしょ」
「そうだな。じゃあ、見つけた後はどうするんだ? 海龍神を見つけろと言ったのは誰だ?」
「えっと、まだ聞いてない……よね?」
「分かったか」
「え?」
ノエルさんも黙って話を聞いていたが、ギルマスが俺に「続き」を促したことで「どういうこと」だとなり、ギルマスの方に説明を求める。ギルマスは俺がまだ全部を話していないのは理解しているが、ノエルさんは既に全部を聞いていたと思っていた。キュリに関しては思考停止しているようで、どこまで話を聞いて理解したのか怪しいところだ。
「じゃあ、話してもいいのかな?」
「ああ、話してくれ」
「うん、分かった。あのね、俺がシュリから読み取ったのは……」
あの時、シュリから読み取ったのは、シュリがクレイヴ領に来た目的が海龍神を見つけるということが一つ。そして確認出来たのなら、誘って来いと命令されていたことが二つ目。そして、三つ目がそれを誰がシュリに命令したのかということだ。
「で、誰が命令していたのかと言うとね……」
「ためるなよ!」
「そうよ!」
「……」
「じゃあ、言うよ。いい? 気をしっかりね」
「そういうのはいいから」
「もう、十分分かっているわよ」
「……」
「あのね、そう命令したのは……魔王『ティスカ』なんだって。ん?」
「「「……」」」
「もしも~し、ねえ、聞いてる?」
「「「……」」」
「タロ、どうしたらいいと思う?」
『ボクに聞かれても分からないよ』
しばらくタロとお姉さんとアイテムボックスから出した食事をしながら皆が動き出すのを待っていたら、最初にギルマスが「ハッ」と気付く。
「あ、気付いた? ちょっと待っててね。食べちゃうから。ほら、タロもお姉さんも急いで食べちゃって」
『分かった~』
「待て、そう急かすな。折角の食事だと言うのに。うん、美味いな~」
ギルマス達の再起動を待っている間に俺達が食事していたことをギルマスは呆れて見ていたが、また「ハァ~」と嘆息してから、他の二人を起こす。
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