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お花畑だった家族の真実14
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「クソ!」
「あなた」
「折角、ラオルス公爵家と親戚になれるはずだったのに!こんな、こんな、一体、どうしてくれるんだ!」
バスチャン伯爵は、自分が頭を下げて結んだ縁談でもない癖に、荒れた。
今の今まで、ベルーナはマリクワン侯爵家にも、ラオルス公爵家にも求められる素晴らしい娘だと思っていた。
「ベルーナは邸には戻さない」
「でも…」
「あんな恥さらし知るか!勝手をして、白紙に戻されて、恥ずかしい!」
「でも娘もいるのだから」
「知るか!婚約が白紙になったから帰って来るな、娘と勝手に働いて過ごせばいい!どうして私が面倒を看なければならない!そもそも、妻のある者と、子どもを作って、産むなどあり得んだろうが!」
ベルーナが結婚が出来ない相手と言ったことで、今でも妻のある者との子どもだと思っている。実際は今は結婚が出来ない相手という意味であった。
「それはそうだけど…」
「はあ…産ませるべきではなかった!」
「でも…」
マリクワン侯爵家に知られており、隠すことは出来ない以上、子どもに罪はないと、説得したのは夫人である。
「ああ!クソ!娘が他にもいれば!マリクワン侯爵家にも、ラオルス公爵家にも嫁がせられたのに…クソ!」
「…」
「ベルアンジュも、生きていれば!マリクワン侯爵家とも縁は切れなかったのに」
「…あなた」
「助けてやっただろう」
「でも、ベルアンジュは助けていないわ」
「だが、ソアリ伯爵家に援助してやったんだから、ベルアンジュにもということになっただろう!」
誰かにせいにしたいバスチャン伯爵は、ラオルス公爵家の縁談も理由があったからこそで、バスチャン伯爵は一生知ることはない。
「ああ!乳母も解雇だ!」
バスチャン伯爵からベルーナに手紙が届いた。婚約が白紙になったこと、恥さらしは娘と勝手に生きていけ、乳母も解雇すると書かれていた。
「思った通りのことが書いてあるわ、これでしおらしく二人で生きていくと書けばいいわね」
下宿という形にしていたが、実家には住所を義姉の知り合いに借りていたので、バスチャン伯爵夫妻は暮らしている場所すら知らない。
「エリーも解雇ですって」
「ようございました」
「こちらに残るでいいのね?」
「ええ、勿論でございます」
乳母であるエリーも、バスチャン伯爵が絶対に裏切らない相手ということで連れて来た。エリーは父に借金のある男爵家の娘だった。
エリーは同じ男爵令息と結婚し、息子を出産したが、赤子は朝起きると亡くなっていた。悲しみに打ちひしがれるエリーに、夫は寄り添うこともなく、お前のせいだと愛人を作って、離縁させられた。
父親はバスチャン伯爵と同じように恥だと言い、借金を待って貰うためにも、エリーを乳母として差し出した。
ベルーナも最初はどういう女性なのだろうと、いずれはいなくなるだろうなどと思っていたが、エリーはメイアンをとても大事にしてくれた。そしてエリーから、これまでの話を聞き、ベルーナも全てを打ち明けた。
エリーも母国には戻る気はない。
今後は医療に関わる仕事を二人で学んでいこうと話しており、ベルーナもラオルス公爵家に役立ちそうな勉強はしていなかったが、医療の勉強は始めていた。
解雇されなくても、縁談がなくなった時点で、給料が払えないからと辞めることになって、バスチャン伯爵に解雇された体にするつもりだった。
ランバートも目を付けられてしまった王女は他国に嫁いだので、横槍を入れる心配もなくなった。後は優秀な者ということで、想い人を婚約者にすればいい。
ベルーナは謝罪と、情けない娘とは縁を切って貰っていい、メイアンと二人で生きて行くと手紙を書くと、バスチャン伯爵から、怒りに任せて、縁を切ったという証明書が届いたので、オーカスと結婚した。
そして、そろそろリオードとジュリが、マリクワン侯爵家に行く日が迫っていた。
「あなた」
「折角、ラオルス公爵家と親戚になれるはずだったのに!こんな、こんな、一体、どうしてくれるんだ!」
バスチャン伯爵は、自分が頭を下げて結んだ縁談でもない癖に、荒れた。
今の今まで、ベルーナはマリクワン侯爵家にも、ラオルス公爵家にも求められる素晴らしい娘だと思っていた。
「ベルーナは邸には戻さない」
「でも…」
「あんな恥さらし知るか!勝手をして、白紙に戻されて、恥ずかしい!」
「でも娘もいるのだから」
「知るか!婚約が白紙になったから帰って来るな、娘と勝手に働いて過ごせばいい!どうして私が面倒を看なければならない!そもそも、妻のある者と、子どもを作って、産むなどあり得んだろうが!」
ベルーナが結婚が出来ない相手と言ったことで、今でも妻のある者との子どもだと思っている。実際は今は結婚が出来ない相手という意味であった。
「それはそうだけど…」
「はあ…産ませるべきではなかった!」
「でも…」
マリクワン侯爵家に知られており、隠すことは出来ない以上、子どもに罪はないと、説得したのは夫人である。
「ああ!クソ!娘が他にもいれば!マリクワン侯爵家にも、ラオルス公爵家にも嫁がせられたのに…クソ!」
「…」
「ベルアンジュも、生きていれば!マリクワン侯爵家とも縁は切れなかったのに」
「…あなた」
「助けてやっただろう」
「でも、ベルアンジュは助けていないわ」
「だが、ソアリ伯爵家に援助してやったんだから、ベルアンジュにもということになっただろう!」
誰かにせいにしたいバスチャン伯爵は、ラオルス公爵家の縁談も理由があったからこそで、バスチャン伯爵は一生知ることはない。
「ああ!乳母も解雇だ!」
バスチャン伯爵からベルーナに手紙が届いた。婚約が白紙になったこと、恥さらしは娘と勝手に生きていけ、乳母も解雇すると書かれていた。
「思った通りのことが書いてあるわ、これでしおらしく二人で生きていくと書けばいいわね」
下宿という形にしていたが、実家には住所を義姉の知り合いに借りていたので、バスチャン伯爵夫妻は暮らしている場所すら知らない。
「エリーも解雇ですって」
「ようございました」
「こちらに残るでいいのね?」
「ええ、勿論でございます」
乳母であるエリーも、バスチャン伯爵が絶対に裏切らない相手ということで連れて来た。エリーは父に借金のある男爵家の娘だった。
エリーは同じ男爵令息と結婚し、息子を出産したが、赤子は朝起きると亡くなっていた。悲しみに打ちひしがれるエリーに、夫は寄り添うこともなく、お前のせいだと愛人を作って、離縁させられた。
父親はバスチャン伯爵と同じように恥だと言い、借金を待って貰うためにも、エリーを乳母として差し出した。
ベルーナも最初はどういう女性なのだろうと、いずれはいなくなるだろうなどと思っていたが、エリーはメイアンをとても大事にしてくれた。そしてエリーから、これまでの話を聞き、ベルーナも全てを打ち明けた。
エリーも母国には戻る気はない。
今後は医療に関わる仕事を二人で学んでいこうと話しており、ベルーナもラオルス公爵家に役立ちそうな勉強はしていなかったが、医療の勉強は始めていた。
解雇されなくても、縁談がなくなった時点で、給料が払えないからと辞めることになって、バスチャン伯爵に解雇された体にするつもりだった。
ランバートも目を付けられてしまった王女は他国に嫁いだので、横槍を入れる心配もなくなった。後は優秀な者ということで、想い人を婚約者にすればいい。
ベルーナは謝罪と、情けない娘とは縁を切って貰っていい、メイアンと二人で生きて行くと手紙を書くと、バスチャン伯爵から、怒りに任せて、縁を切ったという証明書が届いたので、オーカスと結婚した。
そして、そろそろリオードとジュリが、マリクワン侯爵家に行く日が迫っていた。
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