5 / 40
第1章 落第勇者の帰還
第4話 落第勇者、家に帰る
しおりを挟む
スキルが使えてしまう事に気づいた俺は、あの後【身体強化】も使ってみた。
勿論先程の事も踏まえて1番弱くだが。
すると——案外簡単に発動してしまった。
まぁその後体が貧弱すぎて筋肉痛が発症してしまったけど。
その後もベッドに体を預けながら色々と試してみた。
今の自分がどれくらいの強度に耐えられるのかや、異世界の時とどれくらい身体能力が落ちているのかなどなど。
その途中で医師たちが来た事には本当に焦った。
いきなり筋肉痛になった事をバレない様にしないといけないし。
記憶の件は「混乱してたからおかしな事を言った」って事にした。
ちょっと苦しい言い訳かもと思ったが、偶にそんな患者も居るらしく特に怪しまれる事は無かった。
偶に居る患者って俺と同じく異世界転移経験者じゃないかと思ったけどね。
その後俺の体は筋肉痛な事以外特に異常はなかったので1週間経った今日、遂に退院となった。
外には俺の家族が車を停めてくれているらしい。
しかし待ってくれている家族には少し申し訳ないが、俺は病院の外に出る前にグルグルと無駄に病院を回ふ事にした。
1週間で現段階での使い方を熟知した【感知】でクラスメイトがまだ居るか調べてみる為だ。
しかし俺がどうやら最後だったらしく既に誰も居なかった。
光輝が居れば感謝を伝えようと思ったんだけど……。
まぁまた直ぐに会えるだろうしその時は異世界での事とかも色々聞いてみよう。
会うとしたら……5年ぶりくらいか。
最後に会ったのは光輝が魔王討伐の旅に出る前だったし。
俺はあのムカつくほど良い奴の顔を思い浮かべて小さく笑みを溢し、俺は踵を返して病院を後にした。
☆☆☆
俺は父さんの運転してくれている10年ぶりに家路についていた。
長く見ていなかったため本当は見慣れているはずの景色が新鮮に感じる。
俺が車の窓からずっと景色を眺めていると父さんが話しかけて来た。
「……どうしたんだ? そんなに景色ばかり眺めて。見慣れたもんだろう?」
「あ、いや、1ヶ月も見てなかったから少し新鮮だったんだ」
「そうか。もう少しで着くから寝るなよ? 寝たらまた遥たちにめちゃくちゃにされるぞ?」
「それはやだな……寝ない様にするよ」
俺は少し焦りながらも言葉を返す。
いきなり話し掛けないでくれよ……久しぶりすぎて家族とどう付き合って行こうか分からなくなってんだから。
俺は深呼吸をしてバクバクと鼓動を刻んでいる心臓を落ち着かせる。
そうしている間に車は家に着き、既に駐車場に車を停めていた。
俺は車の扉を開けて家を見上げる。
記憶に残っている物と全く同じだ。
まぁ此方では1ヶ月しか経ってないから当たり前なのだが。
しかし俺にとっては10年ぶりの我が家。
少し緊張しながら玄関の戸を開ける。
「た、ただいまぁ……」
俺は小さな声でよそよそしく入ろうとすると、リビングの扉が開いて、我が妹である遥が腰までありそうな綺麗な黒髪を靡かせながら、とだとだと走って来た。
そして俺へダイブ。
「おかえりおにぃ!!」
「ちょ、まっ———ぐふっ……」
俺は頑張って受け止めようとするが、異世界の頃の筋肉も無く、1ヶ月の寝たきりによってほぼゼロとなった俺の筋肉は遥の突進に耐えることが出来なかった。
そのまま倒れそうになるが、遅れて入った父さんに抱き止められ、倒れずに済んだ。
「こ、これは一体どう言う事だい?」
「このおバカがか弱い俺に助走をつけてダイブして来たんだ」
「なっ! おにぃ、バカとは何だ! バカとは! 私はこれでも成績優秀なんですっ!」
そう言って自慢げに胸を張る遥。
現在高校1年生の遥は、150後半とそこまで高い身長を持っていないが、その分胸部の装甲が大きく、胸を張った時にぷるんと震える。
その姿を見ると学校では人気なんだろうなと思った。
まぁ俺は何とも思わないのだが。
妹なんてどんな容姿でどんな姿をしていようが妹だ。
シスコンである自覚はあるが、別に欲情したりしない。
「はいはい凄い凄い。そんな賢い遥は今の俺の状態分かるだろ? 分かったら退ける」
「むぅ~~……はーい……」
「よしよしいい子いい子」
俺が遥の背中をトントンとしながら言うと、不祥不詳ながら退けてくれた。
やっぱり久しぶりの遥とのこのノリは案外心地良い。
帰って来たと言う実感が湧いてくる気がする。
俺は遥に手を引かれながらリビングへと移動する。
そこにはテーブルには様々な料理が用意されており、病院の味気ない食事など目でもない程美味しそうな匂いが漂っていた。
俺の口に知らず知らずの内に唾液が溜まっていく。
そしてテーブルの近くの壁には、『退院おめでとう!!』と書いてあるプラカード? みたいな物が付けてあった。
俺が言葉を失っていると、遥がドッキリが成功した様な嬉しそうな笑みを浮かべて、
「どうおにぃ? 私たち頑張って準備したんだよ? 嬉しい?」
俺は笑顔で俺を見ている家族を見ていると、安心したからか分からないが、不意に涙が出て来た。
「おにぃ……? どうしたの?」
「いや……何でもない。——ありがとな遥。それに父さんも母さんも」
「久しぶりの家族揃ってのご飯なんだからこれくらいは余裕よ! まぁ食べられなかったら許さないけどね!」
母さんがそう言って笑う。
俺たちもそれに釣られて笑う。
「それじゃあ食べようか」
父さんの合図で皆んなで椅子に座り食べ始める。
本当に久しぶりの家族との食事は、今までのどの料理よりも美味しくて楽しかった。
俺はそんな皆んなを見て、スキルと言う神からの贈り物はこの人たちのために使おうと、心にそう決めた。
勿論先程の事も踏まえて1番弱くだが。
すると——案外簡単に発動してしまった。
まぁその後体が貧弱すぎて筋肉痛が発症してしまったけど。
その後もベッドに体を預けながら色々と試してみた。
今の自分がどれくらいの強度に耐えられるのかや、異世界の時とどれくらい身体能力が落ちているのかなどなど。
その途中で医師たちが来た事には本当に焦った。
いきなり筋肉痛になった事をバレない様にしないといけないし。
記憶の件は「混乱してたからおかしな事を言った」って事にした。
ちょっと苦しい言い訳かもと思ったが、偶にそんな患者も居るらしく特に怪しまれる事は無かった。
偶に居る患者って俺と同じく異世界転移経験者じゃないかと思ったけどね。
その後俺の体は筋肉痛な事以外特に異常はなかったので1週間経った今日、遂に退院となった。
外には俺の家族が車を停めてくれているらしい。
しかし待ってくれている家族には少し申し訳ないが、俺は病院の外に出る前にグルグルと無駄に病院を回ふ事にした。
1週間で現段階での使い方を熟知した【感知】でクラスメイトがまだ居るか調べてみる為だ。
しかし俺がどうやら最後だったらしく既に誰も居なかった。
光輝が居れば感謝を伝えようと思ったんだけど……。
まぁまた直ぐに会えるだろうしその時は異世界での事とかも色々聞いてみよう。
会うとしたら……5年ぶりくらいか。
最後に会ったのは光輝が魔王討伐の旅に出る前だったし。
俺はあのムカつくほど良い奴の顔を思い浮かべて小さく笑みを溢し、俺は踵を返して病院を後にした。
☆☆☆
俺は父さんの運転してくれている10年ぶりに家路についていた。
長く見ていなかったため本当は見慣れているはずの景色が新鮮に感じる。
俺が車の窓からずっと景色を眺めていると父さんが話しかけて来た。
「……どうしたんだ? そんなに景色ばかり眺めて。見慣れたもんだろう?」
「あ、いや、1ヶ月も見てなかったから少し新鮮だったんだ」
「そうか。もう少しで着くから寝るなよ? 寝たらまた遥たちにめちゃくちゃにされるぞ?」
「それはやだな……寝ない様にするよ」
俺は少し焦りながらも言葉を返す。
いきなり話し掛けないでくれよ……久しぶりすぎて家族とどう付き合って行こうか分からなくなってんだから。
俺は深呼吸をしてバクバクと鼓動を刻んでいる心臓を落ち着かせる。
そうしている間に車は家に着き、既に駐車場に車を停めていた。
俺は車の扉を開けて家を見上げる。
記憶に残っている物と全く同じだ。
まぁ此方では1ヶ月しか経ってないから当たり前なのだが。
しかし俺にとっては10年ぶりの我が家。
少し緊張しながら玄関の戸を開ける。
「た、ただいまぁ……」
俺は小さな声でよそよそしく入ろうとすると、リビングの扉が開いて、我が妹である遥が腰までありそうな綺麗な黒髪を靡かせながら、とだとだと走って来た。
そして俺へダイブ。
「おかえりおにぃ!!」
「ちょ、まっ———ぐふっ……」
俺は頑張って受け止めようとするが、異世界の頃の筋肉も無く、1ヶ月の寝たきりによってほぼゼロとなった俺の筋肉は遥の突進に耐えることが出来なかった。
そのまま倒れそうになるが、遅れて入った父さんに抱き止められ、倒れずに済んだ。
「こ、これは一体どう言う事だい?」
「このおバカがか弱い俺に助走をつけてダイブして来たんだ」
「なっ! おにぃ、バカとは何だ! バカとは! 私はこれでも成績優秀なんですっ!」
そう言って自慢げに胸を張る遥。
現在高校1年生の遥は、150後半とそこまで高い身長を持っていないが、その分胸部の装甲が大きく、胸を張った時にぷるんと震える。
その姿を見ると学校では人気なんだろうなと思った。
まぁ俺は何とも思わないのだが。
妹なんてどんな容姿でどんな姿をしていようが妹だ。
シスコンである自覚はあるが、別に欲情したりしない。
「はいはい凄い凄い。そんな賢い遥は今の俺の状態分かるだろ? 分かったら退ける」
「むぅ~~……はーい……」
「よしよしいい子いい子」
俺が遥の背中をトントンとしながら言うと、不祥不詳ながら退けてくれた。
やっぱり久しぶりの遥とのこのノリは案外心地良い。
帰って来たと言う実感が湧いてくる気がする。
俺は遥に手を引かれながらリビングへと移動する。
そこにはテーブルには様々な料理が用意されており、病院の味気ない食事など目でもない程美味しそうな匂いが漂っていた。
俺の口に知らず知らずの内に唾液が溜まっていく。
そしてテーブルの近くの壁には、『退院おめでとう!!』と書いてあるプラカード? みたいな物が付けてあった。
俺が言葉を失っていると、遥がドッキリが成功した様な嬉しそうな笑みを浮かべて、
「どうおにぃ? 私たち頑張って準備したんだよ? 嬉しい?」
俺は笑顔で俺を見ている家族を見ていると、安心したからか分からないが、不意に涙が出て来た。
「おにぃ……? どうしたの?」
「いや……何でもない。——ありがとな遥。それに父さんも母さんも」
「久しぶりの家族揃ってのご飯なんだからこれくらいは余裕よ! まぁ食べられなかったら許さないけどね!」
母さんがそう言って笑う。
俺たちもそれに釣られて笑う。
「それじゃあ食べようか」
父さんの合図で皆んなで椅子に座り食べ始める。
本当に久しぶりの家族との食事は、今までのどの料理よりも美味しくて楽しかった。
俺はそんな皆んなを見て、スキルと言う神からの贈り物はこの人たちのために使おうと、心にそう決めた。
11
あなたにおすすめの小説
美醜逆転世界の学園に戻ったおっさんは気付かない
仙道
ファンタジー
柴田宏(しばたひろし)は学生時代から不細工といじめられ、ニートになった。
トラックにはねられ転移した先は美醜が逆転した現実世界。
しかも体は学生に戻っていたため、仕方なく学校に行くことに。
先輩、同級生、後輩でハーレムを作ってしまう。
落ちこぼれの貴族、現地の人達を味方に付けて頑張ります!
ユーリ
ファンタジー
気がつくと、見知らぬ部屋のベッドの上で、状況が理解できず混乱していた僕は、鏡の前に立って、あることを思い出した。
ここはリュカとして生きてきた異世界で、僕は“落ちこぼれ貴族の息子”だった。しかも最悪なことに、さっき行われた絶対失敗出来ない召喚の儀で、僕だけが失敗した。
そのせいで、貴族としての評価は確実に地に落ちる。けれど、両親は超が付くほど過保護だから、家から追い出される心配は……たぶん無い。
問題は一つ。
兄様との関係が、どうしようもなく悪い。
僕は両親に甘やかされ、勉強もサボり放題。その積み重ねのせいで、兄様との距離は遠く、話しかけるだけで気まずい空気に。
このまま兄様が家督を継いだら、屋敷から追い出されるかもしれない!
追い出されないように兄様との関係を改善し、いざ追い出されても生きていけるように勉強して強くなる!……のはずが、勉強をサボっていたせいで、一般常識すら分からないところからのスタートだった。
それでも、兄様との距離を縮めようと努力しているのに、なかなか縮まらない! むしろ避けられてる気さえする!!
それでもめげずに、今日も兄様との関係修復、頑張ります!
5/9から小説になろうでも掲載中
異世界帰りの少年は現実世界で冒険者になる
家高菜
ファンタジー
ある日突然、異世界に勇者として召喚された平凡な中学生の小鳥遊優人。
召喚者は優人を含めた5人の勇者に魔王討伐を依頼してきて、優人たちは魔王討伐を引き受ける。
多くの人々の助けを借り4年の月日を経て魔王討伐を成し遂げた優人たちは、なんとか元の世界に帰還を果たした。
しかし優人が帰還した世界には元々は無かったはずのダンジョンと、ダンジョンを探索するのを生業とする冒険者という職業が存在していた。
何故かダンジョンを探索する冒険者を育成する『冒険者育成学園』に入学することになった優人は、新たな仲間と共に冒険に身を投じるのであった。
学生学園長の悪役貴族に転生したので破滅フラグ回避がてらに好き勝手に学校を魔改造にしまくったら生徒たちから好かれまくった
竜頭蛇
ファンタジー
俺はある日、何の予兆もなくゲームの悪役貴族──マウント・ボンボンに転生した。
やがて主人公に成敗されて死ぬ破滅エンドになることを思い出した俺は破滅を避けるために自分の学園長兼学生という立場をフル活用することを決意する。
それからやりたい放題しつつ、主人公のヘイトを避けているといつ間にかヒロインと学生たちからの好感度が上がり、グレートティーチャーと化していた。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~
aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」
勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......?
お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?
異世界で目が覚めたら目の前で俺が死んでました。この世界でオリジナルの俺はとっくに死んでたみたいです
青山喜太
ファンタジー
主人公桜間トオル17歳は家族との旅行中、車の中ではなく突然なんの脈絡もなく遺跡の中で目が覚めてしまう。
混乱する桜間トオルの目の前にいたのは自分と瓜二つ、服装さえ一緒のもう一人の桜間トオルだった。
もう一人の桜間トオルは全身から出血し血を吐きながら、乞う。
「父さんと、母さん……妹をアカリを頼む……!!」
思わず、頷いた桜間トオルはもう一人の自分の最後を看取った。
その時、見知らぬ声が響く。
「私のことがわかるか? 13人の桜間トオル?」
これはただの高校生である桜間トオルが英雄たちとの戦争に巻き込まれていく物語
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる