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そね9 薔薇園にて ルース視点

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途中薔薇園を通るのだが遠目にシャーリーが赤いドレスを纏った女と居るのを見つけた。遅かったか!
早足で気づかれないように近づく。

赤いドレスはレイクルーゼ=アインシュバッツ侯爵令嬢か。

そう彼女が悪役令嬢なのだ。

彼女は殿下が好きなのだ。
当然側妃の座を狙っている。
シャーリーは邪魔な存在だ。
彼女はシャーリーは僕の婚約者と言うことを知らない。
だからあのリボンを勘違いするはずだ。

近くに来たら二人の話声が聞こえた。
僕はすっと二人の後ろのバラの垣根に隠れた。

シャーリーのリボンがない??こっそり気づかれないように探す。
リボンはシャーリーが握りしめていた。
やっぱりリボンのことで何かあったのだ。

しかし以外にも二人の会話は穏やかだった。落ち着いていた。
修羅場ではないらしい。
僕は少し様子をみることにしたてバラの垣根に背を向けるようにしゃがんだ。

そういえばいつもいる取り巻き二人組の姿が見えない。
差しで話をつけているのか?

「形あるものいずれは壊れるのですから。」
シャーリーの声に元気がない。
かなり落ち込んでいるように思える。
やっぱりこいつにいじめられたのか?
出ていくか?いや、もう少し待とう。

「ルーズローツ様にいただいた大切なものなんでしょう?」
「はい、一番初めにいただいたものです。」
「申し訳ありませんでした。」

謝られているんだが何がどうなっているんだ?
なんだか別に僕はでる幕はなさそうなのだ。どうも僕は出ていくタイミングを失ったみたいだ。

「ルースも単に幼馴染の子にあげただけの感じなのでは気にしないと思います。」

はぁ・・やっぱり。シャーリー・・・。
いつも妄想ばかりしてるからこの世界のことには疎い・・かなり疎いよね・・。
君はこの世界に生きているんだからもっと知ろうよ。もう少し世間を知った方がいいと思うんだけどスローライフを夢見てる君には聞く耳ないか。
全くちょっと呆れてしまう。
ほら彼女もそう思っているようだ。

「あなたはルーズローツ様といて幸せですか?」

ん?何質問してるんだ?しかし僕もこの答えは聞きたい。
固唾をのんでシャーリーの答えを待つ。待ったのは本当に僅かな時間だった。

「はい。彼といれることは私の幸せです。」

シャーリーはなんの戸惑いもなく即答した。
その言葉を聞けただけて嬉しい。
なんか泣けてくる…。
シャーリーはやっぱり僕のことが好きなんだ。

レイクルーゼ嬢は殿下も言っていたが悪い人ではないみたいだ。
家柄的に真っすぐなところがあるんだろう。彼女のおかげで僕は良いことを聞けた。
感謝したいくらいだ。

レイクルーゼ嬢が立ち上がった。
「それでは、またお会いしましょう。またお手紙をさせていただきます。」

彼女がバラの垣根を超えたとき目があった。目があってしまった。見つかったか。
しかし何も言わず何かうんざりしたような顔をされた。
その後に何かを溜息交じりに呟いたようだったが聞こえなかった。

シャーリーは1人バラを見ていた。
シャーリーは何を考えてるの?僕の事を考えてくれてる?

「シャーリー、見つけた。」
「ルース。」
目が赤い。目の周りもかなり腫れている。
「どうした?泣いてたの?」
シャーリーは下を向いてリボンを見つめた。僕は静かに後ろに立った。

「破れちゃった・・・大事だったのにな・・・何があってもこれだけは持っていこうを思っていたくらい大事だったのに・・・。」

ずっとリボンを見つめていた。
僕のあげたリボンをそんなに大事にしてくれるなんて本当に嬉しいよ。
シャーリーは知らないけど婚約した記念のリボンなんだ。僕にとっても大事な思い出のものなんだ。

「なんだかこのリボンを大事にしている間はルースと一緒にいられるんだと思ってたんだ。それが破れてしまったのを見たらルースとはもうこれまでなのかな?一緒にいれないのかと思って悲しくなってしまったの。これでは使えないから大事に宝箱にしまっておくことにするわ。せっかくプレゼントしてくれたのに髪にできなくてごめんね。」

「シャーリー、そんなことないよ。リボンが破れても大丈夫。僕は君の側にいるよ。」

目一杯気丈にふるまうシャーリーが愛しくて後ろからシャーリーを抱きしめていた。

「ごめんね」

僕はシャーリーの肩に顔をうずめて首を横に振った。
シャーリーに回した手に冷たいものが当たった。
せっかく泣き止んでいたのにまた泣かしてしまった。

少しの間シャーリーを抱きしめていた。
シャーリーがようやく泣き止んだようだ。
「シャーリー、じっとしてて」
「何??」
僕はポケットからこの間渡せなかったものを取り出した。
青いリボンだ。シャーリーの髪を縛る。
「ほら、似合ってる。」
もともとは入学式の日に渡したかったんだけど少し刺繍に時間かかってしまって遅くなってしまった。だからあの姉様とお茶をした時に渡したかったんだけど殿下が来たから渡せなかったんだ。
やっぱりあの時渡していればよかったな。

「あ、ルース!」
シャーリーの顔が明るくなった。
「今度のものも青が綺麗ね。ルースの瞳みたい。あら、今度のは珍しく刺繍が入っているのね。今度こそ大事にするね。ありがとう。」

そう…今度のはちゃんと紋章入りなんだよ。
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